濱田京子コラム

2023年10月

キャリアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース

2023.10.30.

  

「年収の壁」問題で助成金が準備されていますが、10/20にパンフレットやQ&Aが出ています。
月末にはコールテンターが設置されるようですが、そもそもどのようなケースで活用を検討する余地があるのか、整理してみました。

以前からの課題としてあげられていますが、労働時間が延びることで社会保険に加入すると保険料負担が発生し、結果的に手取りが減るので働く時間を短くしたいというパート・アルバイトは多いです。
そこで、社会保険に加入しても手取りが減らないような措置として考えられたのが今回の助成金です。

したがって、「社会保険に絶対に加入したくない」と考えるパート・アルバイトに対しては何もできませんので、
その点を最初に理解しておきましょう。
絶対に加入したくないという考えの背景には、配偶者の会社の家族手当の支給要件の問題もあります。

では、対象者と助成の対象の範囲を整理しましょう。
【対象者】
・10月以降新たに短時間労働者として社保の加入要件を満たす人がいる
もしくは条件次第で労働時間を延長して加入することがOKな人がいること
・対象者は6か月以上継続雇用されていて、2年以内に同じ会社で社会保険に加入していないこと

【何をすれば助成金の対象になるのか】
・「社会保険適用促進手当」という名称で、社会保険料の本人負担分相当額を支給すること
(毎月支給、もしくは賞与でまとめて支給のいずれか)
・それにより、結果的に賃金が15%以上追加支給となること
・「社会保険適用促進手当」の支給はしなくても(もちろん併用も可)
所定労働時間を延長して社保加入とすること
(延長する時間に応じて賃金増額の制限もあります)

【助成額】
助成金は会社に支給され、労働者本人に支給されるものではありません。
会社が手当支給などの取り組みを6か月継続したらその後2か月以内に助成金申請ができる、という仕組みで
助成額は手当支給で1年目が6が月ごとに10万円✕2回、労働時間延長で6か月で30万円、両方とも実施すると1年目は6ヶ月毎に10万円✕2回 が助成されます。

【注意ポイント(現時点で考えられること)】
・2年間の限定措置なので、中長期的に所定定労働時間を延ばして働く意思がある人が対象となることが前提、もしくは処遇をよくする(時給アップとか)ことが前提
・毎月の給与で社会保険適用促進手当を支給すると割増単価がアップするため、手当額以上の賃金アップにもなる
・標準報酬月額が10.4万円までの人が対象のため、結果的に大幅に給与がアップする人は対象外となる可能性がある
・会社が負担するのは、会社負担分の社会保険料、社会保険適用促進手当(一部助成されますが、同額ではない)、さらに加算する場合はその手当(時給)分となる

以上のことから、
助成金の対象者となる人だけに処遇改善をするのか、
(対象外となる人との差は説明しづらいので難しい)
助成金の終了後はどうするのか、
(パート・アルバイトの働き方をどのような位置づけにするのか)
などを検討したうえで、ご準備されることをおすすめします。

パンフレットはこちら
https://www.mhlw.go.jp/content/001159290.pdf

事業主向けのQ&Aはこちら
https://www.mhlw.go.jp/content/001159130.pdf

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たまに作るカレー、タンパク質をとるため、ゆで卵も一緒です。

  

新入社員意識調査結果(日本能率協会)

2023.10.23.

  

今年も調査結果が公表されています。
https://jma-news.com/archives/6230

少し気になった結果は以下のとおりです。

●理想だと思う上司、先輩
第1位は、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」

●仕事上で抵抗を感じる事例
第1位は「上司や先輩からの指示が曖昧でも、質問をしないで、とりあえず作業を進める」

●仕事をしていく上での不安トップ3は
「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」
「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」
「仕事での失敗やミス」

●転職を考えるシチュエーション
第1位は「会社の将来性が見込めなくなったとき」
第2位は「社風や企業文化が自分に合わないと感じたとき」
第3位は「昇給(月給が上がること)が見込めないとき」

どの程度丁寧に指導するのがいいのか、難しいですね。
「作業」ではなく「仕事」なので、目的をしっかり伝えていければと思っています。

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マウイ島を応援しよう!ということで購入したのですが、とても可愛くてお気に入りです。
ウミガメのカイくんのぬいぐるみは、以前から我が家にいるのですが、一緒に記念撮影してみました。

  

人手不足企業の割合 68.0%(東京商工会議所調査)

2023.10.16.

  

東京商工会議所の「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(全国の中小企業6,031社を対象、回答は3,120社)によると、人手不足だと回答した企業は68.0%となったようです。

https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1201013

コロナ前の2019年が66.4%だったので、コロナ前を超える水準で人手不足と考えている企業が多いということです。
この調査ではそのほかにも、以下のような結果が公表されています。
・女性のキャリアアップ支援の必要性を感じている企業が84.3%
・仕事と育児の両立支援推進の必要性を感じている企業84.1%
・外国人材の受入を拡大すべき、業種・地域に限って拡大すべきと感じている企業が67.8%

外国人採用に関するお問い合わせが多くなってきたと感じますし、両立支援制度についてのご相談も多いです。
働き方が多様化していますので、幅広い視点で検討する必要があると思います。

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写真は、ゴルフ場で食べたお蕎麦です。
ゴルフ場のランチには担々麺がよくあるのですが、夏はお蕎麦ですね。

3

  

変形労働時間制を正しく運用することの難しさ

2023.10.09.

  

ヤマト運輸が「変形労働時間制」の適用をめぐり訴訟になっていることはこのニュースで知りました。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f5c9248ad1d5962539fd3b2d29af0c2e9245b21c

4年かけて争っているようですが、この報道によると今年の7月に大阪高裁で和解したとのこと。
そして、ヤマト運輸は今年の4月から変形労働時間制を廃止していたようです。

最近では、マクドナルドの事件で1か月変形労働時間制の適用が無効とされた判決が出たこともあり、変形労働時間制を正しく運用することの難しさをしみじみ感じています。
実際に顧問先企業でもかなり大きな問題になり、人数も多いとシステムでどこまで管理ができるのか、という問題に直面しています。

1か月変形労働時間制では守らなければならないことは沢山あるのですが、一番ポイントとなることは、変形労働時間が始まる前までに決めたシフト(勤務時間)を変更したときには、変更前のシフトで時間外労働を算出する、ということではないでしょうか。
そんなことをしたら変更する(振替える)意味がないじゃない!となるわけですが、理由が整備されていれば振替を命ずること自体はできるのです。しかし、時間外労働の算出においては予め決めていたシフトをもとに算出しなければならないので、時間外労働時間、手当においては変形労働時間制にしている効果がない、ということになります。
要するに、勤務を命ずることはできるけど、時間とお金は振替える前の情報から算出せねばならないわけです。
このような状況なので、シフト変更はしないという運用にすることが確実ではあります。
いやいや、本当に複雑な話です。

多くの1か月変形労働時間制を導入している会社は、勤務時間を柔軟に変更させたいから変形労働時間制にしているようなところがあります。しかしそれはできないのが現実です。

変形労働時間制が認められないと、1日8時間週40時間の原則に戻りますので、時間外労働はかなり増えるはずです。
今後運用が緩和されることはないと思いますので(労働者が不利になるので)、正しく運用できていない会社は、そもそも変形労働時間制を適用させるのかという原点に戻ってよく検討されることをおすすめします。

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夏から事務所で過ごしている我が家のプルメリアの木ですが、元気に葉っぱが出ています。来年には花が咲いてくれるといいなーと思っていますが、どうでしょうかー??

  

年収の壁・支援強化パッケージ

2023.10.02.

  

先週はやはりこのニュースが一番話題になっていたので、こちらでもご紹介します。

https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_2023_00002.html

現在、扶養の範囲で働きたいと考える人が多いのですが、その主な理由は
配偶者の会社から家族手当が支給されていると扶養から外れるとそれが支給停止になってしまうことや
扶養から外れて、自ら社会保険料を負担すると手取りが減ってしまうこと
などであると、考えられています。
そこで、手取りが増えるように会社が手当を支給することを助成する
という方法などが公表されているわけです。

助成金については2年間のようですが、その後はどうなるのか少し心配ですね。
また詳細な情報が出てきたときに、いろいろ検討したいとは思いますが、
年収200万円以上の給与になるまで仕事をすれば、手取りが減ることもなくなり
かつ年金が加算されることになりますので、沢山働きキャリアアップすることが
いいのではないかと私は思っています。

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遅くなったひまわりですが、ちゃんと咲いてくれました!
夏が終わってしまうのは少し寂しい気もしますが、秋らしい風が吹くようになりました。

  
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