社労士コラム

(令和9年1月から)源泉徴収票のみなし提出の特例

2026.05.15.

令和5年度税制改正により、令和9年1月1日以後に提出する
「給与所得の源泉徴収票」および「公的年金等の源泉徴収票」について、
「みなし提出」の特例が創設されました。

この特例は、給与支払報告書または公的年金等支払報告書を
市区町村へ提出した場合には、
税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされます。

対象となるのは、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票からです。
つまり令和8年分以後の源泉徴収票からが対象となります。

今後は、市区町村へ支払報告書を提出することで、
税務署提出用の源泉徴収票を別途作成・提出する必要がなくなります。

市区町村への提出については、
eLTAX(地方税ポータルシステム)、
光ディスク等、書面のいずれの方法でも、
この特例が適用されます。

国税庁では、この「源泉徴収票のみなし提出の特例」について
特設ページを設けており、Q&Aも公開しています。
源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)
例えば、次のようなQ&Aが取り上げられています。

Q:合計表についてはどのような取り扱いとなりますか
A:合計表(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)は、
法定調書を税務署に提出する場合に併せて提出するものです。
みなし提出の特例により源泉徴収票の税務署提出が不要となると、
原則として合計表も提出不要となります。
ただし、給与以外の法定調書(退職所得の源泉徴収票など)を
税務署に提出する必要がある場合は、合計表の提出が必要です。
その際、給与所得の源泉徴収票に関する記載は不要となります。

Q:法定調書の電子的提出の義務はどのように判定しますか
A:令和9年1月1日以後に提出すべき法定調書については、
基準年に提出すべきであった法定調書の枚数が30枚以上の場合、
e-Tax等による電子的提出が必要になります。
なお、源泉徴収票の枚数については、令和9年1月1日以後も
改正前の提出範囲で税務署に提出すべきであった枚数で判定します。

源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ
なお、受給者本人へ交付する源泉徴収票については、
これまでどおり作成・交付が必要です。
改正内容については、給与計算システムなどの対応状況も含め
事前に確認しておきたいところです。
(菊沢)

クールワークキャンペーンが始まりました

2026.05.08.

厚生労働省では、職場における熱中症予防対策を呼びかける
「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を5月から開始しました。
期間は9月まで、そのうち7月は重点取組期間です。
キャンペーンについてはこちらから確認できます。

安全衛生法では昨年6月から事業者に対して
熱中症防止措置を義務付けていますので、対応が必要です。

義務の内容は、
WBGT(湿球黒球温度)28度以上または気温31度以上の環境下で
連続1時間以上または1日4時間を超える業務を行う場合に、
熱中症の自覚・他覚症状の報告体制の整備を整備・周知し、
熱中症を重症化させないための措置を講じることです。

このほか、今年3月には「職場における熱中症防止のためのガイドライン」
が定められました。
また、4月から混在作業所においては労働者だけでなく
個人事業者等を含む「作業従事者」に対応の範囲が拡大されています。

5月には熱中症による重篤な事象が確認され、
6月・7月にはその数が急増する傾向にあります。

暑い時期が早く到来するようになり、
ドレスコード(ネクタイやシャツの着用)の内容や適用時期を見直したり、
制服がある場合は夏服への切り替え時期を早めるなどの動きも見られます。
各所から出されている資料・情報も参考に自社に応じた対応が必要です。
(藤代)

36協定の提出様式の種類と選び方

2026.05.01.

年度の切り替わり前後を36協定(時間外・休日労働に関する協定届)の見直し時期としている企業も多いと思います。
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(通称:働き方改革関連法)の施行で36協定のルールが整理され、36協定の様式は一般条項・特別条項に加えて業種別特例が整備され、以前より複雑になりました。
今回は様式の種類と選び方について整理します。

36協定の様式は3つの系統に分類されます
・一般条項(様式第9号)
・特別条項付き(様式第9号の2)
・業種別特例(建設・運転・医師・研究開発)

■一般条項(様式第9号)
時間外労働が月45時間かつ年360時間以内に収まる場合に使用する標準様式です。
【作成前の確認ポイント】
・時間外労働の上限時間を超えないか
・休日労働の有無
・対象労働者の範囲
・労働者代表の選出手続
(管理監督者は代表になれない、会社が指名してはならない、民主的な選出が必要)

■特別条項付き(様式第9号の2)
繁忙期など月45時間を超える、または年間で360時間を超える可能性がある場合に使用します。
※休日労働は時間外労働の上限時間(月45時間・年360時間)には含まれませんが、特別条項の上限規制(下記参照)には算入されます。
【作成前の確認ポイント】
・特別条項の発動要件(理由・手続・対象者など)を明確にする
・上限規制を遵守すること
年720時間以内、2~6か月平均80時間以内(休日労働含む)、月100時間未満(休日労働含む)、発動は年6回以内

■業種別特例(専用様式)
建設業・自動車運転・医師・研究開発など、上限規制に特例がある業務は専用様式を使用します。
•建設業:9号の3の2(一般)/3の3(特別)
•自動車運転:9号の3の4(一般)/3の5(特別)
•医師:9号の4(一般)/9号の5(特別)
•研究開発:9号の3

■提出様式を決めるときの考え方
①一般条項で足りるか
②特別条項が必要か
③業種別特例の対象か

締結に向けて、繁忙期の見込みや業務内容を早めに確認しましょう。
参考:厚生労働省 東京労働局「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
(小林)

ポータルサイト「みんなの労働ナビ」開設

2026.04.24.

令和8年3月、厚生労働省は労働に関する情報のポータルサイト「みんなの労働ナビ」を開設しました。

「みんなの労働ナビ」
https://www.mhlw.go.jp/roudou-navi/

働き方が多様化する中で、企業側、求職者側の双方から労働に関して信頼性の高い情報へ
アクセスしたいというニーズが高まっており、それらの声に答えた形ということです。

トップページから
◆求職者(就職・転職希望者、学生)
◆在職者(キャリア形成、働き方)
◆企業、事業主
◆支援者(キャリアコンサルタント、教育機関など)
と利用者別にメニューが選べるほか、「分野別で探す」「統計・労働市場分析」といったメニューもあります。

企業・事業主向けのメニューの中から、試しに〈自社の制度や働き方を見直したい〉というページを見てみると、
【働き方や環境の見直し】
【給与の見直し】
【多様な働き方に関する情報】
等のトピックがあります。

【働き方や環境の見直し】を選択すると、働き方改革の簡単な概要説明がされたあとに
「無期転換ルールや正社員への転換について」「テレワーク総合ポータルサイト」「育児休業制度特設サイト」などのサイトに移動できるようになっています。
ポータルサイト(情報の入口)ということで、最終的に行き着く先は従来からあるウェブサイトですが、いままでは全く違う検索ワードでしか表示されなかったそれぞれの情報に、【働き方や環境の見直し】という階層構造からたどり着けるようになりました。関心のある分野について横断的な情報収集をすることができると思います。

従来、知りたい情報をインターネットで検索しても「どれが正確な情報なのかわからない」「公的情報だと、どこに必要な情報があるのか探しにくい」といった状況がありました。公的情報は、実はインターネット上にも豊富にありますので、今回ポータルサイトができたことにより、活用のしやすさが向上することと思います。

この春から総務・人事部門に新しく配属になられた方も多いと思いますが、まずはこちらのポータルサイトを利用し〈雇用についての基礎知識〉ページから確認してみてはいかがでしょうか。

(遠藤)

保険料調整制度

2026.04.17.

社会保険の適用拡大は年々進んでおり
現在は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上で特定適用事業所となり
短時間労働者が被保険者となりますが
令和9年10月からは、対象が同36人以上の事業所へ拡大する予定となっています。

それを見越して、今年R8年10月から、
保険料調整制度が開始されます。
この制度を利用した場合、事業主が被保険者の保険料を一時的に負担することにより、
対象となる被保険者の健康保険・厚生年金保険の保険料負担を、通算3年間軽減することができます。
事業主が一時的に負担した保険料は
一定期間経過後に追加負担分を調整することとなっており、
最終的に事業主が納付する保険料は増えません。
また、被保険者が将来受け取る年金額にも影響はありません。

対象となる事業所は以下、いずれかに該当する事業所です。
(1)令和8年10月1日以降、任意特定適用事業所になる事業所
(2)令和9年10月1日以降、順次対象となる事業所

対象となる被保険者は、以下いずれにも該当する被保険者です。
(1)短時間労働者として健康保険・厚生年金保険に加入する被保険者
(2)標準報酬月額が126,000円以下の被保険者

保険料の負担割合は、
制度利用の年数と、被保険者の標準報酬月額ごとに細かく定められています。

制度を利用するには、事業所が保険料調整制度の対象となった日から2年以内に、事業主からの申し出が必要です。
様式などはこれから発表になるようです。

適用拡大により被保険者となる労働者にとっては、保険料負担はネックの一つになりますので
通常よりも少ない負担で社会保険に加入できることはメリットと言えるでしょう。
一方で、事業主にとっては一時的とはいえ負担が増加することや
給与処理時、保険料の確認が煩雑になることが予想されます。

来年の適用拡大による影響と照らし合わせて
制度を利用するかどうか、検討する必要がありそうです。

日本年金機構「保険料調整制度のご案内」

(髙村)

 
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