「エキップ社会保険労務士法人」の人事に役立つ社労士コラム  

厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定

2020-09-17

令和2年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限が、
第31等級:62万円(報酬月額605,000円以上)から
第32等級:65万円(報酬月額635,000円以上)に、変更になりました。

改定後の新等級に該当する被保険者の方がいる対象の事業主に対しては、
令和2年9月下旬以降に日本年金機構より「標準報酬改定通知書」が発送されることとなっています。
(特別な手続きは不要です)

この改定により、令和2年9月に適用される標準報酬月額と実際に被保険者が受けている報酬との間に大きな乖離が生じるケースにおいては、
事業主からの届出により、標準報酬月額の特例的な改定を行うことができる場合があります。

具体的には、

①従前(定時決定)の標準報酬月額が62万円(報酬月額635,000円未満)であったところ、
5月に昇給(固定的賃金の変動)があり、3ヶ月の平均報酬月額が635,000円以上となった
→8月時点で随時改定には該当しないため、従前の報酬月額により9月以降の標準報酬月額は62万円と決定
※9月の月額変更(62万円→65万円)を届け出ることができます

②従前(定時決定)の標準報酬月額が62万円(報酬月額635,000円以上)であったところ
5月または6月に降給(固定的賃金の変動)があり、3ヶ月の平均報酬月額が605,000円以上635,000未満となった
→8月時点で随時改定には該当しないため、従前の報酬月額により9月以降の標準報酬月額は65万円と決定
※9月の月額変更(65万円→62万円)を届け出ることができます

のようなケースが考えられます。
なお、届出は紙媒体のみとなります。

まもなく通知書が発送されることとなりますが、
適切に処理できるよう、事前に社内の対象者を確認するなど、準備をすすめておくのが望ましいでしょう。

参考
日本年金機構 厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定

(高村)

労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて

2020-09-14

厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会が開催され、
36協定届等労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて
方針案が示されました。

厚生労働省 第163回労働政策審議会労働条件分科会(8月27日)

方針(案)は下記のとおりです。
・使用者及び労働者の押印欄の削除ならびに法令上、押印又は署名を求めないこととする
・36協定届をはじめとする過半数代表者の記載のある法令様式については
 様式上に協定当事者が適格であることについてのチェックボックスを設け、
 使用者がチェックした上で、労働基準監督署長に届け出ることとする

今回の押印廃止は、あくまで行政に届け出る協定届に対してであって、
労使協定を締結する際の労使の押印に及ぶものではありません。
したがって、36協定届については、
36協定届が労使間で締結した36協定書を実務上兼ねている場合、
従来通り、労使双方の押印が必要です。
押印なしの協定届を届け出る場合、
それとは別に労使双方の署名押印の入った労使協定(36協定書)を作成する必要があると考えられます。
今後の動向に注意していきたいと思います。
(菊沢)

「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック」が公開されました

2020-08-31

経済産業省から掲題のガイドブックが公開されました。

経済産業省発表ニュース_ガイドラインについて

主な対象とされているのは、パーソナルデータの利活用によりプライバシーへの配慮が
迫られることが想定される企業やその取引先企業で、
新事業の検討や問題対応の場面での活用が想定されています。
(パーソナルデータとは、個人情報保護法の個人情報だけではなく、
個人に関連するあらゆる情報を指す、としています。)

直接的な法律に基づくものではありませんが、
ガイドラインという形になったことや、対象企業や関係者も広い範囲で想定されていることのほか、
個人情報保護法を遵守していてもそれだけでは関係各者から満足を得られないとの指摘もされていて、
プライバシー保護要請の高まりを感じます。

採用や労務管理の場面でも個人情報保護法の範囲だけでなく
関連する多くの情報を扱いますので、
プライバシー保護という視点も意識して取り組むべきと思います。
(藤代)

雇用保険の「被保険者期間」算定方法が変わります

2020-08-13

失業等給付の受給資格を得るためには、
離職日以前2年間に、「被保険者期間」が通算12ヶ月以上あることが必要です。

「被保険者期間」は、これまで
離職日から1か⽉ごとに区切っていった期間に、賃⾦⽀払の基礎となる日数が11日以上ある月を1か月と計算していました。

これが、令和2年8月1日以降の退職者を対象に、
離職日から1か⽉ごとに区切っていった期間に、賃⾦⽀払の基礎となる日数が11日以上ある月 に加え、
賃⾦⽀払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月 も、1か月として計算できるようになりました。

たとえば、1日8時間、10日間勤務した月があった場合、
今までは被保険者期間に含むことはできませんでしたが、
今後は、離職証明書⑬備考欄に「80時間」と記載することで、1ヶ月とカウントできることとなります。

これは、雇用継続給付(育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢雇用継続給付金)の受給資格確認にも適用されます。

労働者にとっては、給付金が支給されるかされないかの重要な要件となりますので
トラブルにならないよう、離職証明書、賃金証明書の作成には注意が必要です。

参考:
リーフレット「失業等給付の受給資格を得るために必要な「被保険者期間」の算定方法が変わります」

(高村)

標準報酬月額の特例改定について

2020-08-04

新型コロナウイルス感染症の影響により
休業した被保険者で、休業により著しく報酬が下がった場合に
一定の条件に該当する場合は、健康保険・厚生年金保険料の
標準報酬月額を、通常の方法(報酬が下がった4ヶ月目に改定)によらず
特例により翌月から改定可能となりました。

条件は下記のとおりです。
①事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含む)をさせたことにより、
 令和2年4月~7月の間に報酬が著しく低下した月があること
②著しく報酬が低下した月に支払われた報酬の総額(1ヶ月分)がこれまでの標準報酬月額に
 比べて2等級以上下がっていること
 ※固定的賃金(基本給等)の変動がない場合も対象となります。
③この特例措置による改定内容に本人が書面により事前に同意していること

申請は一人1回のみで、受付期間は令和3年2月1日までです。
また、申請時には事業主の申立書の添付が必要となります。

日本年金機構 【事業主の皆様へ】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定のご案内

この特例改定により保険料が下がりますが、
改定後の標準報酬月額に基づき傷病手当、出産手当金及び年金額が算出されますので、
本人に十分理解してもらったうえでの同意を得ておく必要があります。

給与が減ったにもかかわらず、社会保険料を払い続けるのは、
金銭面だけではなく気分的にも負担が大きいはずです。
それぞれの状況や考え方にもよりますが、
給付金の受給額や将来の年金額の計算に響くなどのデメリットを
納得できているのであれば、活用してみてもよいのではないでしょうか。
(菊沢)

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