社労士コラム

定期健康診断の実施義務

2026.02.13.

会社は1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を行わなくてはならないことが
安全衛生法で決められています。
今回は定期健康診断の義務の範囲を確認したいと思います。

●対象者について
常時使用する労働者が対象です。
パートアルバイトや有期契約の社員は
契約期間の定めがないか1年以上の期間が予定され、かつ、
週所定労働時間がフルタイム社員に比べて4分の3以上の人が対象です。
契約期間が1年未満の場合や1年以上であっても週所定労働時間が短い人についての
健康診断は義務ではありません。
4分の3未満であっても2分の1以上であれば
実施が望ましい(短時間有期雇用法の施行に関する通達)とされていますが
義務ではなく任意の対応です。

●費用について
法定の検査項目に要する費用は会社が負担する必要があります。
法令で具体的は記載はありませんが、会社に健康診断実施の義務があることから
その費用は当然会社が負担すべき(安全衛生法通達)、となっています。
例えば人間ドックや婦人科健診は法定の検査項目にはありません。
健康診断の申込時に「法定の検査項目」と指定すると
必要最小限の項目での検査となります。
検診実施機関によっては法定項目と任意項目とに分けて
会計をしてくれますので、会社負担と自己負担を区別することもできます。

●時間について
費用と同様に法令での具体的な記載はありませんが
安全衛生法通達に記載があり、
時間は当然には会社が負担するべきものではない、となっています。
健康診断は業務との関連して行われるものではないというのが
その理由ですが、一方で健康確保は事業運営に必要とも考えられ
時間も会社が負担(賃金を支払う)することが望ましいとされます。
就業時間内での健康診断を認めている例は少なくないと思いますが、
月給者のみ賃金を支払い時給者には賃金を支払っていないケースは
同一労働同一賃金の点で適切でない可能性があります。

健康診断に要する費用や時間をめぐっては
社員が想定していた内容と異なると不満となることがあるので
義務の範囲をふまえルールを明確にしたり
予め説明するなど対応があるとよいでしょう。

(藤代)

私傷病による労務不能での解雇はできるのか

2026.02.06.

従業員が健康を害してしまい、働くことができなくなってしまうことがあります。
厚生労働省のモデル就業規則では「解雇」の条項の中に「精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき」という項目があるので、自社の就業規則におなじように規定している例も多いと思います。
健康を事由に労務の提供ができない事態が起こった場合、すぐに就業規則を当てはめる前に確認したいのが、労働契約法第16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とあることです。

ともすれば何十年もの長期間にわたる従業員の雇用において、例えば風邪など数日程度の労務の提供不能で解雇としてしまっては「社会通念上相当」とは言い難いのは想像しやすいと思います。では解雇権の濫用とされない、「社会通念上相当」な労務の提供不能とはどういった状態か、ということを判断する必要があります。
また、本来の業務へ就くことができなくても、総合職など業務内容や職種を限定されない形で雇用契約をしている場合、人事異動等によって労務の提供ができる業務があるなら、なお労務の提供がある状態(会社側は解雇を回避するための措置をとれるはず)とされた事例もあります。

このようなことを考えると、労務を提供するという契約を履行できない場合には従業員側の契約不履行なので「客観的に合理的な理由」があり「社会通念上相当」であるという要件を満たせば普通解雇が可能、しかし、すぐに適切な判断をすることが大変難しい、ということがわかります。

実務的には休職制度を利用すると運用しやすいと言えます。私傷病による労務の提供不能が申し出られた際には休職を発令できるよう規定しておき、休職期間満了時に復職できない場合には自然退職となる旨を定めておくことができます。休職自体は法律に定めのあるものでなく、各会社の就業規則によるものなので制度設計が必要、休職が規定されていない場合もあると思いますが、規定する利点として解雇の猶予措置として運用できること、自然退職としておくと復職できない場合に一種の合意退職となるのでトラブルになりにくいことが挙げられます。
もちろん、休職期間に休養してもらい健康を回復して復職していただくことが趣旨です。

(遠藤)

短時間労働者の社会保険加入拡大

2026.01.30.

短時間労働者の社会保険の加入について、
現在は、以下の4つの要件を満たす必要があります。
①所定内賃金が月額8万8千円以上であること
②週所定労働時間が20時間以上であること
③2か月を超える雇用見込みがあること
④学生でないこと
※厚生年金保険の被保険者が51人以上の企業

しかし、令和7年度の地域別最低賃金が1,016円を超えたことにより、
週20時間以上働く学生でない方は、月額賃金が8万8千円以上となるため、
2026年10月に、この8万8千円以上という賃金要件(いわゆる106万円の壁)
が撤廃される予定となり、社会保険加入となる短時間労働者の要件は、②~④のみとなります。

企業規模について、現在は厚生年金保険の被保険者が
51人以上の企業となっておりますが、
以下のスケジュールで拡大予定で、最終的にはすべての企業で
短時間労働者は社会保険に加入することとなります。

令和9(2027)年10月〜:36人以上の企業
令和11(2029)年10月〜:21人以上の企業
令和14(2032)年10月〜:11人以上の企業
令和17(2035)年10月〜:すべての企業

これまで社会保険料負担のなかった
アルバイト・パートにも保険料負担が発生するので、
対象者の確認等の準備をしておくとよいと思います。

参考:
・短時間労働者の社会保険加入拡大のポイント
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf
・社会保険適用拡大ガイドブック
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kouseinenkin.files/jigyounushi_guidebook.pdf

(斎藤)

事業所での自転車利用について

2026.01.23.

自転車通勤をしている従業員がいる場合
事業活動に自転車を利用している場合、
社内でしっかりとルール化できているでしょうか。

道路交通法の改正により、
令和8年4月から、自転車に交通反則通告制度(青切符)が導入されます。
16歳以上の運転者に一定の違反があれば、反則金対象となるという内容です。
令和6年11月にも、ながらスマホや飲酒運転の罰則強化を伴う改正があったばかりで、
自転車利用上の安全に関する取り締まりは年々厳しくなっています。
警視庁「道路交通法の改正について(青切符についても含む)

もし事業活動中に従業員が事故を起こした場合、
以下の3つの要件を満たしたとき、使用者責任が問われることとされています。
・従業員が不法行為責任を負う場合
(故意または過失によって他人の権利または利益を侵害する行為(民法709条)
・不法行為当時、使用者と被用者に使用関係がある場合
・事業の執行において第三者に損害を与えた場合

逆に、
従業員の不法行為が成立しない場合、
従業員の選任および事業の監督について相当の注意をしていた場合
などは、使用者責任が免責される可能性があります。

したがって、事業活動に自転車を活用する場合は
利用上のルールを明確にしておくこと、
利用する従業員への安全教育および自転車の安全点検を徹底すること、
万一に備えて、自転車損害賠償責任保険へ加入しておくこと、などの対応が必要です。

自転車通勤を認める場合も、
安全の確保、駐輪場の手配、通勤費に関することなど
様々な検討が必要です。

参考:自転車通勤導入に関する手引き

業務の効率化など利用するメリットもあることと思いますので
しっかりルール化して安心して活用できるとよいですね。

(高村)

令和7年の障害者雇用状況の集計結果

2026.01.15.

令和7年の障害者雇用状況の集計結果が公表されました。
現在の民間企業の法定雇用率は2.5%であり、常用労働者数が40人以上の企業には障害者の雇用が義務付けられていますが、今回は令和7年6月1日現在の身体障害者・知的障害者・精神障害者の雇用状況の集計結果となっています。

雇用障害者数は704,610.0人(対前年比4.0%増加)となり、22年連続で過去最高を更新しています。
うち、身体障害者は373,914.5人(対前年比1.3%増)、知的障害者は162,153.5人(同2.8%増)、精神障害者は168,542.0人(同11.8%増)となり、特に精神障害者の伸び率が大きくなりました。

実雇用率は2.41%(前年同率、小数点以下第3位で比較した場合は前年より上昇)となりました。
企業規模別では、1,000人以上規模は2.69%(前年2.64%)と前年より上昇し、法定雇用率を上回りましたが、その他の規模では前年より低下し、法定雇用率も下回っています。

法定雇用率達成企業の割合は46.0%(前年同率)でした。
企業規模別では、100~300人未満・300~500人未満の規模は、前年より低下しました。

(低下に関しては、昨年比で除外率が10ポイント下がったことによる影響が含まれています)

令和7年 障害者雇用状況の集計結果

令和8年7月からは、民間企業の法定雇用率が2.7%に引き上げられることが決定しており、常用労働者数が37.5人以上の企業が対象となります。

厚生労働省では、これから障害者雇用を始める事業主の方等に向けたパンフレットを公表しています。
障害者雇用のご案内~共に働くを当たり前に~

(山田)

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