2023.06.02.
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の標準報酬月額は、
原則として7月1日現在のすべての被保険者について
毎年4月から6月に支払われた給与を平均した額で見直しが行われます。
2022年10月には101人以上の
社会保険の適用拡大が行われていることもあり、
支払基礎日数の考え方を整理してみました。
支払基礎日数とは、報酬を計算する基礎となる日数のことです。
・月給制の場合
出勤日数に関係なく歴日数。ただし、欠勤により給与が減額される場合には
就業規則等に基づき、企業が定めた日数から欠勤日数を差し引いた日数
・時給制、日給制の場合
出勤日数に有給休暇の日数を加えた日数
支払基礎日数の取り扱いの基準は正社員(一般の被保険者)、
パートタイム労働者(短時間就労者)、短時間労働者の3つに分けられます。
【正社員】
17日以上の月が対象
【パートタイム労働者】 ※1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
17日以上の月があればその月。なければ15日以上の月が対象。
【短時間労働者】 ※社会保険の適用拡大により加入要件に該当した者(注)
11日以上の月が対象
原則は上記のとおりですが、すべての月で支払基礎日数が
基準未満の場合は、従前の標準報酬月額で決定されます。
なお、随時改定(月額変更届)の場合は、
正社員、パートタイム労働者は継続した3か月とも17日以上の月が基準となりますが、
短時間労働者は11日以上です。
日本年金機構から令和5年度の算定基礎届の記入・提出ガイドブックが公表されているので
内容を確認しておくと安心です。
《日本年金機構 算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和5年度》
(注)パートタイム労働者の基準を満たさない場合であっても、特定適用事業所に勤務し週所定労働時間が20時間以上等の条件に該当する場合に被保険者となります
(菊沢)
2023.05.26.
マイナ保険証では限度額適用認定証を準備することなく
高額療養費制度を利用することができるようになっています。
医療費には自己負担限度額があり、
入院や手術などで高額な医療費を要した場合でも
限度額を超える費用は自己負担の必要がありません(高額療養費制度)。
この高額療養費制度を利用するには、
医療機関で医療費支払後に健保組合に対して限度超過額の払戻請求をするか、
予め健保組合から「限度額適用認定証」の交付を受けることが必要です。
限度額適用認定証の交付を受けた場合は、医療機関での支払いが
限度額までとなるため立替と払戻請求は必要ありません。
限度額適用認定証は健保組合に申請しますが、
電子申請は対応しておらず、紙のやり取りが発生し、
数日の時間も要します。
自己負担限度額は各人の標準報酬月額により異なるため、
健康保険証では医療期間側で自己負担限度額が確認できず、
限度額適用認定証が必要とされます。
マイナ保険証を含めマイナンバーカードについては
令和5年5月現在で問題・課題面が多く話題になっていますが、
限度額適用認定証は急に必要となる場面も想定されますので
制度利用者には便利な仕組みと言えるのではと思います。
(藤代)
2023.05.19.
事務所衛生基準規則では、
事務所において、事業者が空気調和設備を設置している場合、
労働者が常時就業する室の気温は18℃以上28℃以下になるように
努めなければならないとされています。(努力義務)
この目標温度は、2022年4月の法改正以前は17℃以上28℃以下とされていましたが、
世界保健機関(WHO)が冬期の高齢者における血圧上昇に対する影響等を考慮して
ガイドラインにおいて室内温度の低温側の基準について18℃以上を勧告したこと及び同様の観点から
建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令で居室における温度等の基準の改正が行われたことを踏まえ、
事務所衛生基準規則においても18℃以上と改正されました。
気温のほかに、照明の照度や便所の設置個数についても基準が定められており、
厚生労働省よりリーフレットが公開されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000905329.pdf
ちなみに、自宅等でテレワークを行う場合には、
事務所衛生基準規則は一般には適用されませんが、
安全衛生に配慮したテレワークが実施され、
これらの衛生基準と同等の作業環境となるよう、
事業者はテレワークを行う労働者に教育・助言等を行うことが望ましいとされています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01603.html
(斎藤)
2023.05.12.
令和5年5月8日より、新型コロナウィルス感染症の感染症法上の位置付けが
5類感染症へ変更されました。
これに伴い、健康保険の傷病手当金の申請方法に変更がありました。
これまで、新型コロナウィルスに感染したことに係る傷病手当金の申請には、
療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明の添付を不要としておりましたが
申請期間の初日が令和5年5月8日以降の傷病手当金の支給申請については、
他の傷病による支給申請と同様に、
傷病手当金支給申請書の療養担当者意見欄に医師の証明が必要となります。
参考:協会けんぽ「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の申請について」
健保組合でも案内を出しているようですので
取り扱いをよく確認しておくとよいでしょう。
また、令和5年5月1日付で、
厚生労働省から、新型コロナとテレワークに関するリーフレットが公表されています。
参考:テレワーク総合ポータルサイト
リーフレット:新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けの変更等に伴うテレワークの取扱いについて
リーフレットによりますと、
一度、就業規則等で定めた(=労働条件とした)テレワークを、
会社から一方的に取りやめて出社させることはできず、
取り扱いの変更には、労使間でよく話し合うことが望ましいとされています。
テレワークには感染症対策以外にも多くのメリットがあると記載されていますが
もちろん、出社することの意義もあると思いますので
感染状況にかかわらず、会社の状況や業務内容に応じて、バランスよく取り入れるのがよいのではないでしょうか。
(高村)
2023.05.02.
稀に、残念ながら入社したその月のうちに退職してしまうケースを見かけます。
そんな場合の社会保険料はどうなるか、また注意点について記載致します。
■社会保険料は、原則、次のようなルールで発生します。
1)月の途中から入社した場合
保険料は月単位で発生しますので入社した月の保険料から支払う必要があります。
2)月の途中で退職した場合
資格喪失(退職等)した日の翌日に社会保険の被保険者資格を喪失することとなります。
保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める必要があります。
なお、月の「末日」に退職した場合は、翌月1日が資格喪失日となりますので、退職した月分までの保険料を納める必要があります。
■入社した月の途中で退職をした場合(同月得喪)
資格を取得した月にその資格を喪失した場合は、その月の保険料が(厚生年金は一旦)発生します。
【厚生年金保険料の還付があるケース】
退職後、引き続き厚生年金保険又は国民年金の資格を取得した場合は、同月得喪により納付した保険料は不要になり還付されます。
本人が新たな保険の手続をした後、年金事務所から対象の会社に厚生年金保険料の還付についてのお知らせが届きます。対象となった会社では、現金還付か通常の保険料との相殺かなどを選択します(何もしなければ通常保険料と相殺されます)。還付された保険料のうち、被保険者負担分については、会社から被保険者であった方へ返金することになります。
※健康保険料についてはこのような制度はありませんので、同月得喪の月はそれぞれの保険者にひと月分の保険料を納める必要があります。
■同月得喪の人が発生したら次の点に注意しましょう
1)年金事務所からの還付についてのお知らせに注意しておく。
※同月得喪した人が次の年金の手続をした後届く為、忘れた頃に届く事もあります。
2)本人への返金を忘れない
3)源泉徴収票を既に交付していた場合は修正し差替が必要
(前田)