2023.10.09.
ヤマト運輸が「変形労働時間制」の適用をめぐり訴訟になっていることはこのニュースで知りました。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f5c9248ad1d5962539fd3b2d29af0c2e9245b21c
4年かけて争っているようですが、この報道によると今年の7月に大阪高裁で和解したとのこと。
そして、ヤマト運輸は今年の4月から変形労働時間制を廃止していたようです。
最近では、マクドナルドの事件で1か月変形労働時間制の適用が無効とされた判決が出たこともあり、変形労働時間制を正しく運用することの難しさをしみじみ感じています。
実際に顧問先企業でもかなり大きな問題になり、人数も多いとシステムでどこまで管理ができるのか、という問題に直面しています。
1か月変形労働時間制では守らなければならないことは沢山あるのですが、一番ポイントとなることは、変形労働時間が始まる前までに決めたシフト(勤務時間)を変更したときには、変更前のシフトで時間外労働を算出する、ということではないでしょうか。
そんなことをしたら変更する(振替える)意味がないじゃない!となるわけですが、理由が整備されていれば振替を命ずること自体はできるのです。しかし、時間外労働の算出においては予め決めていたシフトをもとに算出しなければならないので、時間外労働時間、手当においては変形労働時間制にしている効果がない、ということになります。
要するに、勤務を命ずることはできるけど、時間とお金は振替える前の情報から算出せねばならないわけです。
このような状況なので、シフト変更はしないという運用にすることが確実ではあります。
いやいや、本当に複雑な話です。
多くの1か月変形労働時間制を導入している会社は、勤務時間を柔軟に変更させたいから変形労働時間制にしているようなところがあります。しかしそれはできないのが現実です。
変形労働時間制が認められないと、1日8時間週40時間の原則に戻りますので、時間外労働はかなり増えるはずです。
今後運用が緩和されることはないと思いますので(労働者が不利になるので)、正しく運用できていない会社は、そもそも変形労働時間制を適用させるのかという原点に戻ってよく検討されることをおすすめします。
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夏から事務所で過ごしている我が家のプルメリアの木ですが、元気に葉っぱが出ています。来年には花が咲いてくれるといいなーと思っていますが、どうでしょうかー??