濱田京子コラム

2010年12月

都内の中小企業賃金事情

2010.12.29.

  

東京都産業労働局が調査した、都内の中小企業の賃金事情の
結果が発表されました。

従業員300人未満の企業3500社に調査し、回答を得た1388社の今年の7月末現在の結果です。

平均年齢    41.5歳
平均勤続年数 10.7年
月額給与    371,436円(所定内:345,716円 所定外:25,720円)

前年と比較すると、10,318円(3.1%)の増加となったとのこと。
しかし、平成20年秋のリーマンショック以前の水準までにはまだ回復していないようです。

ちなみに、平成21年の年間給与支払額の平均は5,187,025円で
平成20年よりも242,185円(-4.5%)の減少という結果です。

全体の平均値に意味があるのか、という問題もありますが
一つの目安としては参考になるのではないでしょうか。

最低賃金も、全国で最も高い東京ですし
東京の中小企業の平均値は、比較的高いと感じます。

賞与に関してですが、
全体の80%が賞与の支給をしていますが、
賞与に個人的な査定結果の格差は10%未満が約4割
10~20%の格差がある企業が約3割で、20%以上の格差をつけている企業が7割以上という結果でした。

この結果から、比較的メリハリのある賞与の支給をしていることがわかります。

  

社会保険労務士の仕事は?

2010.12.28.

  

先日も、初めてお目にかかった方から
「社会保険労務士のお仕事って、あまりイメージが湧かない」
と言われました。
確かに社会保険労務士は、まだまだマイナーな国家資格です。

社会保険労務士は、全国に約33,000人が登録していて
東京には、約8,000人います。
しかし実は、そのうち3,500人だけが私のように「開業」登録しているので
事務所を設立し、独立している社労士はまだまだ少ないのかもしれません。
(社会保険労務士には、自ら事務所を設立している「開業」以外に
企業内に勤務して自社の手続きだけをする「勤務」という登録もあります)

ちなみに、税理士は全国に約71,000人、
東京には19,000人の登録ですから、圧倒的に人数が多いです。

社会保険労務士は、社会保険や労働保険の事務手続きはもちろんですが、
社員を雇用している企業に必要なルール作り(就業規則等)や
人事制度の構築などのお手伝いも専門分野です。

具体的に最初にお仕事の依頼をいただくことが多いケースは
やはり、社員との揉めごとが起きた時の対処方法のご相談でしょうか。

社員が多くなってきて、雇用形態や給与などの待遇について
検討していく必要が出てきた時や、
逆に、雇用調整を考えていかないといけないケースなど
企業で働く「人」に関わるご相談のお手伝いをさせていただいています。

残念ながら、労働法令は労働者を保護する法律で
経営者を守ってはくれません。

社会保険労務士は、労務のプロとして経営者の味方になれる存在です。

(今日は宣伝コラムになってしまいました・・・)

  

年末年始の休日数と残業単価について

2010.12.27.

  

今年も残すところ数日となりました。
明日が年内最後の営業日という企業も多いのではないでしょうか。
(当事務所は29日まで営業いたします!)

年末年始の休日を何日にするかというのは、
単に休みの数が多くなるという問題ではなく、
実は、残業手当の単価が変わってくるというのをご存知でしょうか。

年末年始に企業が一斉にお休みとなるのは、「休日」です。
この「休日」と「休暇」では大きな違いがあるのです。

端的に違いを表現すると、
休日は、労働義務がない日
休暇は、労働義務はあるが、労働を免除された日
となります。

つまり、休日はもともと働く必要がない日なのですが
休暇は労働者が個別に日を指定して、労働が免除される日というわけです。

年末年始の休日を増やすなど
年間休日を増やした場合は、年間を通じて労働時間が減ることになります。

すると、残業計算をする際の月平均の所定労働時間も減ることになるわけです。

このことから、休日数が増えることで、残業単価も上がるとなるわけです。

就業規則の見直しをする際などに、容易に休日数を変更するケースがありますが
影響範囲をよく考えて決めていく必要があります。

  

うつ病患者の休職

2010.12.24.

  

来年1月にメンタルヘルス対策事例の講演会を予定しています。

講演会のご依頼をいただいた時に、テーマを何にするか打ち合わせをしていて
最近多い問題の一つとしてメンタルヘルス対策の話題になり
主催者の方のご要望が強く、このテーマに決まったという経緯があります。

このように、ご相談の多くにうつ病患者の対応というものがあります。

今年の3月の東京地裁の判決で企業のメンタルヘルス対策の不備を問われるものがありました。
(東京地判平22.3.24 J学園事件)

うつ病休職を繰り返し職務遂行に支障があるため解雇したという事案ですが
復職の時期の問題や、主治医への意見聴取をしなかったなどが企業側のメンタルヘルス対策の不備とみなされ、
解雇の合理性を欠くとされた内容です。

あたり前ではありますが、まずは就業規則で定めている休職ルール通りに
運用することが基本です。
休職となる条件についてや休職を命ずる手続きなど
基準に則って行わなければなりません。
また、休職期間満了となるタイミングや解雇とせざる得ないことになった時
本人が主治医の意見を聞いてほしいと言ってきた場合は
状況確認のためにも、意見徴取をすることが望ましいと考えます。

ケースバイケースではありますが、
特に解雇となる場合には、企業側の誠意ある説明と確認が必要だと言えます。

  

通勤費ナシはOKか?

2010.12.22.

  

通勤費の条件について、最近よくご質問をいただいたので
今日は、少しご説明しようと思います。

通勤費は、給与のように法的に支払わなければならない
という制限はないものです。
(給与は最低賃金が定められていて、支払う義務があります)

しかし、実際には労働条件として実費がかかる通勤費は
会社が負担する企業がほとんどです。
(派遣の場合などは、通勤費が支給されないケースが多いです)

ということで、タイトルの「通勤費ナシはOKか?」の答えは
「OKです!」となります。

通勤費について定めている給与規程に「実費を支給する」とだけ
書かれているケースがありますが、この定め方では、
本人が実費申請をすれば全部支給されるいうことに
なってしまいますので、あまり望ましくないです。

あくまでも支給する通勤費は会社に決定権があるという規定方法のほうが
運用はしやすいと考えます。
つまり、「会社が認めた経路」「実費相当額を会社が決定」
などの表現にしておくと、定義が明確になるということです。

細かいことですが、もめることが多いポイントでもありますので
規程を見直してみてはいかがでしょうか。

  
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