社労士コラム

2024年11月

マイナンバー連携による養育特例の添付書類省略

2024.11.29.

マイナンバーを活用した行政機関間の情報連携の本格運用が開始され、一部の手続きで戸籍関係情報の書類提出が省略できるようになりました。その中の1つに、養育特例(養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置)があります。

養育特例は、3歳未満の子の養育期間中に社会保険の標準報酬月額が低下した場合であっても、将来受け取る年金額には影響しない(該当の子を養育する前の標準報酬月額に基づいた年金額を受け取ることができる)制度です。

養育特例が適用されるためには、会社が被保険者からの申出を受けて、「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を日本年金機構へ提出する必要があります。

添付書類は原則、「戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書」と「住民票の写し」が必要ですが、次の①②どちらも満たす場合は添付書類の省略が可能となります(省略した場合、審査完了までに1ヶ月程度期間を要する場合があります)。
①被保険者と養育する子に日本の戸籍があること
②被保険者と養育する子のマイナンバーを申出書に記載すること
※今までは、住民票の写しのみ省略可能でしたが、令和6年11月1日からはどちらも省略可能となりました。

手続きの詳細は、日本年金機構のホームページからご確認いただけます。
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

(山田)

「第20回 社会保障審議会年金部会」の資料公表

2024.11.21.

厚生労働省から、令和6年11月15日開催の「第20回 社会保障審議会年金部会」の資料が公表されました。

今回の議事は、
(1)被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応について
(2)脱退一時金について
です。

社会保険の適用拡大については、今年10月に従業員数50人超の企業等に適用拡大されたところですが、
以下の要件の撤廃について議論すべきとしています。
・労働時間要件(週所定労働時間20時間以上)
 雇用保険の加入要件の拡大(週10時間以上)に伴い要件引き下げや撤廃すべき
・賃金要件(月額8.8万円以上(年収106万円以上))
 就業調整できない程度の水準まで要件引き下げや撤廃すべき
・企業規模要件(50人超)
 勤務先の企業規模や業種によって被用者保険の適用の有無があることは不合理なため、要件撤廃すべき

また、被用者保険の保険料は原則として労使折半ですが、
被用者保険の適用に伴う保険料負担の発生や
手取り収入の減少を回避するために就業調整を行う層に対し、
従業員と事業主との合意に基づき、
事業主が被保険者の保険料負担を軽減し、
事業主負担の割合を増加させることを認める特例の制度の導入案が示されましたが、
大企業しか負担が増やせないなどとの意見があったようです。

今後も議論を続け、年末までに改革案の方向性をまとめる予定とされ、来年の通常国会に年金改革関連法案を提出を目指すとされています。 
影響が大きいと考えられるので動向を注目したいと思います。

第20回 社会保障審議会年金部会 資料
(菊沢)

高年齢労働者の増加と労災について

2024.11.15.

高年齢労働者が増加しています。
令和5年には雇用者の60歳以上の人が占める割合は18.7%でした。
この傾向は長く続いています
(厚生労働省令和5年高年齢労働者の労働災害発生状況より)。

会社には65歳までの雇用確保義務があるところ、
定年を60歳とし再雇用嘱託社員として65歳まで雇用を継続する制度を
採用する会社が多いですが、定年を65歳とする会社も増えています。
令和3年には70歳までの就業確保が努力義務となりましたし、
人不足という状況からしても、今後もこの傾向は続くのでしょう。

高年齢労働者の増加と比例して増加しているのが労働災害です。
国は労働災害減少のため「労働災害防止計画」にて
重点的に取り組む事項を定めていますが、
年齢を切り口とした防止対策は2つが挙げられています。
・労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進
・高年齢労働者の労働災害防止対策の推進
詳細はこちら
(厚生労働省)労働災害防止計画について

墜落・転落事故は特に男性において、
転倒による骨折等は特に女性において
年齢とともに増加している実態もあります。

建設や製造の業務と限らず、事務業務においても
リスクは無いか、予防策が無いか、
検討・対策をする意義がありそうです。
(藤代)

健康保険証の新規発行終了と資格確認書

2024.11.08.

2024年12月2日より現行の保険証の新規発行は終了し、
マイナ保険証を利用することとなりますが、
現行の保険証の終了に伴い、「資格確認書」が運用されます。

資格確認書とは、マイナンバーカードを持っていない方や、
マイナンバーカードを保険証として利用登録していない方が、
病院を受診する際に使用するカードです。
被保険者資格取得届、被扶養者異動届の用紙の
資格確認書発行要否欄の「発行が必要」にチェックを入れることで、
発行申請ができます。

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202410/1018.html

資格確認書は有効期限が最大5年となっており、
有効期限内に会社を退職した場合は、資格確認書の回収が必要になります。

なお、在籍中の方の現行の保険証は、
2025年12月1日までが有効期限となっており、
有効期限内に退職した場合は回収が必要ですが、
2025年12月2日以降の退職の場合は、回収不要です。

マイナ保険証、資格確認書については、こちらもご確認ください。※協会けんぽの場合
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/other/mynumber_jigyounushi_2411.pdf

入社・退職手続き時の確認事項を見直す必要があるかもしれませんので、
協会けんぽや健康保険組合の情報を確認しておき、準備しておくとよいです。

(斎藤)

二以上事業所勤務被保険者の同日得喪手続き

2024.11.01.

副業兼業の広がりや社会保険の適用拡大により、
複数の事業所で社会保険に加入する労働者が増えてくることが予想されます。

本コラムでも何度か二以上事業所勤務被保険者に関する手続きについて
紹介してきました。
参照:複数の社会保険適用事業所で勤務する場合の手続き
   二以上事業所勤務被保険者の随時改定(月額変更届)

今回は、60歳以上の二以上事業所勤務被保険者が退職し、
1日の空白なく再雇用された場合に喪失と取得を同時に行う、同日得喪の手続きをご紹介します。
定年再雇用後に給与金額が変更になった場合に
随時改定を待たずに当月から保険料額を変更することが可能です。

通常の同日得喪手続きは
・資格喪失届
・資格取得届
・退職日の確認、継続して再雇用したことが確認できる添付書類
を提出することになります。

これにプラスし、二以上事業所勤務被保険者の場合は
被保険者が改めて「二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。
また、提出先は「主たる事業所を管轄する保険者」となりますので、お間違いないようにご注意ください。

二以上勤務者に関わる手続きは通常よりも時間がかかることが多く
届出が後手になりますと、保険料の精算が必要になる場合もあります。
できるだけ事前に把握し対応できるよう、
体制を整えておくのがよいでしょう。

参考:60歳以上の方を、退職後1日の間もなく再雇用したとき(日本年金機構)
   複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き(日本年金機構)

(髙村)

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