社労士コラム

労働時間

賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)

2024.09.13.

厚生労働省から、賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)が公表されています。

令和5年の結果は以下のとおりです。
・件数    :21,349件(前年比818件増)
・対象労働者数:181,903人(同2,260人増)
・金額    :101億9,353万円(同19億2,963万円減)

是正事例では、割増賃金が適正に支払われていなかったケースや労働時間が適正に把握されていなかったケースが紹介されています。

・月60時間超に対する割増賃金率は50%以上である必要があります。
・①~⑦以外の賃金は、割増賃金の基礎に算入しなければなりません。
①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
・固定残業代は、就業規則等にて通常の労働時間と割増賃金にあたる部分を判別できるようにしておき、実際の労働時間が固定残業代分を上回った場合は差額支給が必要です。
・労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、制服に着替える時間や業務終了後の清掃時間等も労働時間に該当します。
・労働時間の適正な把握のため、労働日ごとの始業・終業時刻の適正な記録が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html

(山田)

令和5年度の監督指導結果を公表

2024.08.15.

厚生労働省は、7/25付のプレスリリースにて
「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」をとりまとめ公表しました。
(令和5年4月から令和6年3月までに実施)

発表によると、
・各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり 80 時間を超えていると考えられる事業場
・長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場
等、26,117事業場を対象として監督指導を行い、
そのうち11,610事業場(44.5%)で違法な時間外労働を確認し、指導を行ったとのことです。

その他の違反内容としては
・過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場が5,848事業場(22.4%)
・賃金不払残業が見られたのが1,821事業場(7.0%)
と続きます。

また、11 月には「過重労働解消キャンペーン」を実施し、
期間中は重点的な監督指導を行うことと発表しています。

実際のプレスリリースには、詳細な集計結果や指導事例、
長時間労働削減のための取り組み例などがまとめてありますので
労働時間管理の参考にされるとよいでしょう。

厚生労働省 「長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します」

(高村)

割増賃金計算の基礎となる手当について

2024.04.26.

法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を
超えて労働をさせた場合は
割増賃金の支払いが必要になりますが、
この割増賃金の計算の基礎を確認しましょう。

労働基準法(37条5項・同施行規則21条)では、
割増賃金計算の基礎に算入しない賃金が
定められています。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

手当の種類ごとに判定するというよりは、
上記の手当以外は計算の基礎に算入する必要がある点に
注意が必要でしょう。

一方、そもそも賃金でなければ算入の必要はありません。
例えば在宅勤務手当について、
事業経営のために必要な実費を弁償するものとして
支給されていると整理される場合は、
賃金に該当しないため
割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しないことが
通達(割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて)で確認されています。

(藤代)

アルバイトの労働条件を確かめるキャンペーン

2024.04.05.

厚生労働省が、全国の大学生等を対象として、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施しています。
このキャンペーンは平成27年から毎年実施されているものだそうです。

■重点的に呼びかける事項
 (1)労働条件の明示
 (2)シフト制労働者の適切な雇用管理
 (3)労働時間の適正な把握
 (4)商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
 (5)労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

■主な実施方法
 (1)都道府県労働局による大学等への出張相談の実施
 (2)大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発
 (3)都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応

■学生に周知されるポイント
 (1)労働条件の確認(労働条件通知書)
 (2)賃金支払ルール(毎月1回以上払い、一定期日払い)
 (3)残業すれば残業手当がもらえること
 (4)要件を満たすと有給休暇を取得できること
 (5)仕事中のけがは労災であること
 (6)アルバイトでも自由に解雇する事はできないこと
 (7)何かあった時の相談先

「重点的に呼びかける事項」「学生に周知されるポイント」いずれの項目も、問題ない体制となっているか、念のためご確認いただくのが安心です。
特に労働条件の明示ルールは本年4月の法改正もございました。
まだ見直していない場合には、この機に見直していただくとよいです。
(前田)

36協定届に記載する労働保険番号と法人番号

2024.03.15.

36協定は法所定様式で届出を行う必要がありますが、
この様式には労働保険番号と法人番号を記載する欄があります。

令和6年4月以降に有効期間が始まる36協定では、
この欄の記載が必須となります。
これまでは記載がなくても受付されていた
実態もあったようですが改まります。

労働保険番号は1社で複数有していることもあり
迷いやすいですが適切に記載しましょう。

未記載時には届出先労基署で受付がされない可能性があります。
記載番号が不明の場合は、その対応を事前に確認しておくなど
適切な36協定を作成する準備が必要です。
注意喚起をしている労働局もあります。
こちら(福井労働局)

記載欄自体はこれまでも設けられていましたので
法定様式で提出していた場合には影響がないかもしれません。

法定様式の届出事項を満たしていれば
任意様式での届出も認められていますが、
任意様式の場合は労働保険番号と法人番号が
記載されているか注意しましょう。

(藤代)

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