社労士コラム

労働時間

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 就業者の範囲

2025.01.10.

東京都では令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されますが、昨年12月に「指針(ガイドライン)」が公表されました。
カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)

条例では、カスタマー・ハラスメントは「①顧客等から就業者に対し、②その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、③就業環境を害するものをいう」と定義されています。
条例の禁止規定に違反した場合の罰則規定はありませんが、刑法等の法律に基づく罰則を受ける可能性はあります。

被害者となり得る就業者とは、有償・無償を問わず、都内で業務を行うすべての者を指すとされています。
企業・国の機関・地方公共団体で働く者、企業経営者、個人事業主、フリーランス、ボランティア活動に従事する者、インターンシップ生、PTA活動に従事する保護者、議員等が該当します。業務には社会的な活動も含まれるため、自治会等の防犯・清掃活動の従事者や生活困窮者を訪問する巡回相談員等も該当します。

都内とは、法人登記や開業届等により事務所・事業所が都の区域内であること、その他、都内で事業を行っている実態があることを意味するとされています。
一方、都内企業で勤務する会社員が都外でテレワークを行う場合や、都外のコールセンターで勤務する会社員が都内の事業者への問合せに電話で対応する場合等、都内以外で業務に従事する場合も事業との間に合理的関連性が認められる場合は、就業者に含まれます。

対象範囲が広いため、都内以外の事業者も条例を確認しておく必要があるでしょう。

(山田)

賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)

2024.09.13.

厚生労働省から、賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)が公表されています。

令和5年の結果は以下のとおりです。
・件数    :21,349件(前年比818件増)
・対象労働者数:181,903人(同2,260人増)
・金額    :101億9,353万円(同19億2,963万円減)

是正事例では、割増賃金が適正に支払われていなかったケースや労働時間が適正に把握されていなかったケースが紹介されています。

・月60時間超に対する割増賃金率は50%以上である必要があります。
・①~⑦以外の賃金は、割増賃金の基礎に算入しなければなりません。
①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
・固定残業代は、就業規則等にて通常の労働時間と割増賃金にあたる部分を判別できるようにしておき、実際の労働時間が固定残業代分を上回った場合は差額支給が必要です。
・労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、制服に着替える時間や業務終了後の清掃時間等も労働時間に該当します。
・労働時間の適正な把握のため、労働日ごとの始業・終業時刻の適正な記録が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html

(山田)

令和5年度の監督指導結果を公表

2024.08.15.

厚生労働省は、7/25付のプレスリリースにて
「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」をとりまとめ公表しました。
(令和5年4月から令和6年3月までに実施)

発表によると、
・各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり 80 時間を超えていると考えられる事業場
・長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場
等、26,117事業場を対象として監督指導を行い、
そのうち11,610事業場(44.5%)で違法な時間外労働を確認し、指導を行ったとのことです。

その他の違反内容としては
・過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場が5,848事業場(22.4%)
・賃金不払残業が見られたのが1,821事業場(7.0%)
と続きます。

また、11 月には「過重労働解消キャンペーン」を実施し、
期間中は重点的な監督指導を行うことと発表しています。

実際のプレスリリースには、詳細な集計結果や指導事例、
長時間労働削減のための取り組み例などがまとめてありますので
労働時間管理の参考にされるとよいでしょう。

厚生労働省 「長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します」

(高村)

割増賃金計算の基礎となる手当について

2024.04.26.

法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を
超えて労働をさせた場合は
割増賃金の支払いが必要になりますが、
この割増賃金の計算の基礎を確認しましょう。

労働基準法(37条5項・同施行規則21条)では、
割増賃金計算の基礎に算入しない賃金が
定められています。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

手当の種類ごとに判定するというよりは、
上記の手当以外は計算の基礎に算入する必要がある点に
注意が必要でしょう。

一方、そもそも賃金でなければ算入の必要はありません。
例えば在宅勤務手当について、
事業経営のために必要な実費を弁償するものとして
支給されていると整理される場合は、
賃金に該当しないため
割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しないことが
通達(割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて)で確認されています。

(藤代)

アルバイトの労働条件を確かめるキャンペーン

2024.04.05.

厚生労働省が、全国の大学生等を対象として、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施しています。
このキャンペーンは平成27年から毎年実施されているものだそうです。

■重点的に呼びかける事項
 (1)労働条件の明示
 (2)シフト制労働者の適切な雇用管理
 (3)労働時間の適正な把握
 (4)商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
 (5)労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

■主な実施方法
 (1)都道府県労働局による大学等への出張相談の実施
 (2)大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発
 (3)都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応

■学生に周知されるポイント
 (1)労働条件の確認(労働条件通知書)
 (2)賃金支払ルール(毎月1回以上払い、一定期日払い)
 (3)残業すれば残業手当がもらえること
 (4)要件を満たすと有給休暇を取得できること
 (5)仕事中のけがは労災であること
 (6)アルバイトでも自由に解雇する事はできないこと
 (7)何かあった時の相談先

「重点的に呼びかける事項」「学生に周知されるポイント」いずれの項目も、問題ない体制となっているか、念のためご確認いただくのが安心です。
特に労働条件の明示ルールは本年4月の法改正もございました。
まだ見直していない場合には、この機に見直していただくとよいです。
(前田)

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