社労士コラム

2022年10月

雇用保険は原則二重の資格取得ができません

2022.10.28.

1週間の所定労働時間が20時間以上であって、
31日以上の雇用見込みがある場合には
雇用保険に加入することになります。

副業、兼業、ダブルワークと呼ばれる
働き方もありますが、資格取得は「主たる賃金を
受ける事業所」で行います。

雇用保険では65歳以上の一定の場合(マルチジョブホルダー制度に
該当する場合)を除き二重の資格取得はできませんので、
いずれか1つの事業所での加入となります。
二以上勤務の仕組みがある社会保険とは異なります。

また、転職時に有休利用などのため雇用期間が転職前後の
事業所で重複することがあります。
現実にある事象ではありますが二重の資格取得は
できませんので、手続上は資格喪失日または資格取得日を
調整する必要が出てきます。
どちらを調整するかは影響範囲についての確認を含め
ハローワークに相談するとよいでしょう。

(藤代)

令和4年10月1日より後に特定適用事業所に該当したとき(社会保険の適用拡大)

2022.10.21.

今年10月1日より、常時100人を超える被保険者を使用する企業(特定適用事業所)で
社会保険の適用拡大が始まっていますが、10月1日(施行日)よりも後に100人を超え、
特定適用事業所に該当することとなった場合の扱いについてご紹介します。

特定適用事業所の要件は被保険者の総数が常時100人を超える事業所となっており、
法人事業所の場合は、全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上100人を超えることが見込まれる場合を指します。
(個人事業所の場合は、適用事業所ごと)

被保険者とは、厚生年金保険の被保険者の総数になり、
適用拡大の対象となる短時間労働者や70歳以上の健康保険のみの加入者は含みません。

特定適用事業所に該当する可能性のある事業所には事前に通知が届きます。
日本年金機構より、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が直近11か月のうち、5か月100人を超えたことが確認できた場合は、対象の適用事業所に対して、「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」が送付されます。

5か月目の翌月も被保険者の総数が100人を超え、特定適用事業所に該当する場合は、「特定適用事業所該当届」を事業所から年金機構に提出します。

特定適用事業所に該当し、「特定適用事業所該当届」が提出されない場合は、
年金機構より対象事業所へ「特定適用事業所該当通知書」が送付され、特定適用事業所に該当したものとして扱われます。

新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、被保険者資格取得届の提出も必要となります。

これから特定適用事業所に該当する可能性のある企業においては、
適用拡大の対象者の確認や社内通知などの事前準備も必要になります。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和4年10月施行分)

(斎藤)

マイナンバーカードによる失業認定

2022.10.14.

マイナンバーカードが健康保険証、運転免許証と一体となる計画が話題になっていますが
雇用保険の失業認定の際にも、マイナンバーカードが活用できるようになりました。

令和4年10月1日以降に失業認定を受ける際、
マイナンバーカードによる本人認証を希望することで、
受給資格者証に添付する顔写真が省略できるほか、毎回の受給資格者証の持参が不要になります。
かわりに、毎回備え付けのタブレット端末で4桁のパスワードを入力することになります。
ただし、3回連続でパスワードを間違えると、住民票がある市区町村の窓口でパスワードの再設定を行わなければならなくなってしまいますので
パスワードの管理は慎重に行う必要がありそうです。

なお、初回に希望しなければ通常の失業認定を行うことも可能ですが、途中での変更はできません。
少しずつマイナンバーカードの活用が広がっている印象です。

参考:マイナンバーカードで失業手続きができるようになります

(高村)

時間単位の年次有給休暇

2022.10.07.

年次有給休暇は1日単位で付与されますが、労使協定の締結等により年5日の範囲内で時間を単位として取得が可能となります。年次有給休暇の取得促進や仕事と生活の調和の観点から導入可能となったものです。
(会社の判断で時間単位の年次有給休暇付与は行わないという事でも全く問題ありません。)

導入する場合に必要な対応と、注意点などを記載致します。

■労使協定で定めること
・時間単位年休の対象労働者の範囲
・時間単位年休の日数(前年からの繰越も含め、年5日の範囲内)
・時間単位年休1日の時間数(1日の所定労働時間数〘端数があれば切上〙を元に決める)
・1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数(2時間、3時間など)

■就業規則に追記すること
・年次有給休暇を時間単位で取得可能な事
・労使協定で規定した4項目の概要
・取得時の賃金の支払い方法

※取得時の賃金額
(いずれとするかは日単位の年次有給休暇取得と同様とします)
1) 平均賃金÷その日の所定労働時間数
2) 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金÷その日の所定労働時間数
3) 標準報酬日額÷その日の所定労働時間数

■注意点
・残日数や残時間・繰越日数や繰越時間・所定労働時間変更時の管理が複雑となります。
・時間単位の年次有給休暇は、法定年次有給休暇が10日以上の労働者に確実に取得させる必要がある5日間からは差し引く事が出来ません。
・年次有給休暇の計画的付与として時間単位の年次有給休暇を与えることは出来ません。
・時間単位で取得出来ない部署への異動の可能性等があれば、取扱を決めておくと安心です。

(前田)

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