社労士コラム

2022年07月

新型コロナウィルスと傷病手当金に関するQ&Aが更新されました

2022.07.28.

新型コロナウィルスに罹患した場合、多くは傷病手当金の支給対象となります。
その取り扱いについてのQ&Aに項目が追加されました。

「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改訂について

追加されたのは、後遺症について、みなし陽性について、申請時の添付書類についてなど7項目です。
新型コロナウィルスの後遺症により労務不能である場合や、
検査はしていないものの、状況から医師により陽性と判断された(いわゆるみなし陽性)場合でも、
傷病手当金の支給対象になり得るとしています。
また、通常、傷病手当金の申請には医師等の証明が必要となりますが
保健所等が発行する「宿泊・自宅療養証明書」の添付は不要としています。

詳細は、それぞれの健康保険組合等も案内している場合がありますので
申請する際は前もって確認しておくとよいでしょう。

(高村)

休職規定について

2022.07.22.

就業規則に休職規定はありますか?
休職を設けることは法律では定められておらず、なくても問題ではありません。
休職を設ける設けない・どの程度の期間とするかなど、会社が自由に決めて良い部分となっています。

休職について、一般的には以下のようなことを定めます。
① 休職事由
② 休職の起算日
③ 休職期間
④ 休職中の賃金支払有無等
⑤ 休職中の報告(労動者から、会社へ)
⑥ 復職の条件
⑦ 休職期間満了後、復職できない場合の取り扱い

休職起算日については、「私傷病による欠勤が○日を超えた場合に休職となる」等と定めてあることが多いです。この「欠勤」とは「有給休暇」も含めるのか「連続」なのか「断続」も含めるのか等、解釈が分かれる虞のある部分は分かりやすく記載してあると安心です。
休職期間については勤続年数に応じて定める会社もあります。
復職条件については本人の主治医だけでなく、会社が指定する医師の判断も加味するとしている場合もあります。
納得感のある、運用し易い決まりを作り、休職者が発生した時に困らないよう準備してあると安心です。

休職規定が無い場合、労動者が私傷病で長期間労務提供ができないと解雇等による雇用関係終了が考えられます。
このような場合、どのタイミングで誰が雇用関係終了の決定を行うか等判断に迷うかもしれません。また、労動者側も数週間の入院をするために仕事を失ってしまうかもしれないとなれば安心して働けない方もいるでしょう。

こうしたことから、義務ではないですが、妥当な範囲で休職規定を定めておくこともご検討頂くと良いと思います。

(前田)

社会保険の報酬ー住宅に関係するものー

2022.07.15.

会社から、住宅手当を支給したり、社宅や寮を提供する場合があります。
住宅に関係するものは、社会保険の標準報酬月額を決める基になる「報酬」にあたるのでしょうか。

健康保険法、厚生年金保険法では、報酬について「労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。」と定められています。

さらに報酬は、通貨で支給されるものと、現物で支給されるものに分けられます。
●通貨で支給され、報酬にあたるもの
:賃貸住宅の家賃補助、持ち家の住宅ローンの補助 など
●現物で支給され、報酬にあたるもの
:社宅、寮 など
※ただし、本人から現物給与の価格以上を徴収している場合は、報酬となりません。

現物で支給する場合は、部屋の広さを通貨に換算して価格を決定します。
対象は、居住用の室です。玄関・台所・トイレ・浴室・廊下など居住用ではない室や、店・事務室など営業用の室は含めません。

都道府県ごとに畳1畳あたりの単価が定められています。東京は畳1畳につき2,830円です(2022/7/15現在)。畳を敷いていない居住用の室は1.65㎡(平方メートル)を1畳に換算して算出します。
間取りが1Kで居住用の室が6畳の場合、報酬は次のように換算します。
(東京の場合)2,830円×6畳=16,980円
本人が家賃を一部負担している場合は、換算した価格から本人負担分を差し引いた金額が報酬となります。

例えば、今まで上記物件を寮として本人負担2万円で提供していたところ、寮の提供をやめて、賃貸住宅の家賃補助手当の支給に変更したとします。この場合、寮のときは本人負担が現物給与の価格以上だったため報酬となりませんでしたが、家賃補助手当の支給へ変更後は手当が全て報酬となります。

住宅に関するものでも、通貨で支給するのか現物で支給するのかにより、取り扱いが異なります。

都道府県別現物給与価格とQ&A

(山田)

男女の賃金差の公表の義務化

2022.07.08.

令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正により
情報公表項目に「男女の賃金の差異」が追加され、
常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、
公表が義務づけられることとなりました。

厚生労働省HPに男女の賃金の差異の算出及び公表方法が発表されています。

【厚生労働省HP】男女の賃金の差異の算出及び公表の方法について
〈リーフレット〉女性の活躍に関する「情報公表」が変わります

【算出の手順】
①労働者を男性・女性、また、正規・非正規で4種類に分類
②4種類の労働者それぞれについて、一つの事業年度の総賃金と人員数を算出
③4種類の労働者それぞれについて、平均年間賃金を算出
④正規・非正規の総賃金・人員数を利用して、
 全ての労働者の年間平均賃金を男女別に算出
⑤正規、非正規、全ての労働者の区分ごとに、
(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)により、
 割合(パーセント)算出し公表
  
【公表方法】
・厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページを利用
・「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分での公表が必要
・計算の前提とした重要事項の付記が必要
 (対象期間、対象労働者の範囲、「賃金」の範囲等)

【公表時期】
令和4年7月8日以後、最初に終了する事業年度の実績を
その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表

例えば、
・令和4年 12 月末に事業年度が終了する事業主は、おおむね令和5年3月末までに、
・令和5年3月末に事業年度が終了する事業主は、おおむね令和5年6月末までに、
それぞれ、男女の賃金の差異の初回の公表を行うことになります。

対象となる企業は公表時期など事前に確認しておくとよいでしょう。
(菊沢)

養育特例申出は提出期日に注意を

2022.07.01.

将来受け取る年金額は、標準報酬月額に基づいて計算されます。
標準報酬月額は給与に基づいて決定しますので、
給与が下がる→標準報酬月額が下がる→将来の年金額が下がる、
と連動するのが原則です。

特例として、給与低下が子どもが3歳までの間のことであれば
申出により将来の年金額に影響しないようにすることができます
(養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置)。

給与低下の理由は限定されませんので
時短勤務の場合だけでなく残業が減少した場合も対象になります。

この手続は子の養育開始以降可能です。
本人の申出により会社を経由して行いますが
本人のアクションが必要なことや、
すぐには影響がないことなどから、先延ばしにしている
と思われるケースが度々あります。

ですが、申出日よりも前の期間について
みなし措置が認められるのは申出日の前月までの2年間ですので
あまり先延ばしにしているとせっかくの措置が受けられない
ことになってしまいます。

給与が下がり標準報酬月額が下がるかどうかが不明でも
申出は行うことができますので、
早めに対処することがよいでしょう。

(藤代)

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