社労士コラム

次世代法

不妊治療と仕事の両立支援

2025.04.11.

先日、厚生労働省から、不妊治療と仕事との両立について、
最新のサポートハンドブック、マニュアルが発行されました。
厚生労働省「不妊治療と仕事との両立について」

2022年の調査によれば、
全出生児の10人に1人が不妊治療により誕生しており
不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合は全体の22.7%で
4.4組に1組の割合にまで、年々高まっています。

不妊治療では、待ち時間が長い、特定の日に通院しなければならないなど
仕事との両立が難しい一面が報告されており
さらに精神面、体力面の負担が大きいことも
不妊治療を諦めた、または雇用形態を変えたことの理由として挙げられています。

2021年4月には
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画に盛り込むことが望ましい事項に
「不妊治療を行う労働者に配慮した措置の実施」が追加され
会社として、両立支援に取り組むことが求められつつあります。

両立支援の例としては
・休業制度
・短時間勤務制度
・フレックスタイム制
・テレワーク
等が挙げられていますが、
ポイントとしては、
男女問わず利用可能にすること、
非正規雇用の労働者も対象とすること、等と並んで
不妊治療をしていることを周囲には知られたくない人もいることから、
不妊治療のための制度であることを前面に出さないほうがよい場合もあること、が指摘されています。

マニュアルでは導入事例が多く紹介されていますので
社員のニーズに合った支援制度を検討する上で、参考になるのではないでしょうか。

(高村)

男女間の賃金格差解消のためのガイドラインが公表されました。

2025.03.14.

女性の職業生活において個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が2016年に施行され、さらに、女性活躍推進法に基づき常時雇用する労働者301人以上の事業主を対象として、2022年7月からは、男女の賃金の差異の情報公表が義務付けられています。

男女間賃金差異は依然として大きく、一般労働者の男性の平均賃金水準を100としたときに、一般労働者の女性の平均賃金水準は令和5年で74.8%でした。この差異は男女の管理職比率や平均勤続年数に差異があることが主な原因となっています。

管理職比率は長期的には上昇傾向にありますが、国際的に見るとスウェーデン41.7%に対して日本は12.9%と非常に低くなっています。勤続年数についても令和5年で男性13.8年に対して女性9.9年とおおよそ4年も短くなっています。

男女間賃金差異解消のために、賃金・雇用管理に問題がないか、以下3つの視点から見直してみてはいかがでしょうか。
①公正・明確かつ客観的な賃金・雇用管理制度の設計とその透明性の確保
例:出産・育児がハンデにならない評価制度や両立支援制度を整備する
②配置や仕事配分、人材育成など、賃金・雇用管理の運用面における取り扱いの見直し改善
例:男女で異なる取り扱いになっていないか見直しをする
③過去の雇用管理や固定的な男女の役割分担意識によって事実上生じている格差を解消するための取組
例:女性活躍推進法に沿って、自社の女性活躍に関する行動計画を策定し、研修の積極的な実施等への取り組みを行う

男女間の賃金格差解消のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001429995.pdf

男女間賃金差異分析ツールも公表されています。
同業種・同従業員規模の企業データと比較することで、自社の強みや課題の把握、要因分析ができます。また、同業他社の参考値を見ることもできます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

(齋藤)

男女の賃金差の公表の義務化

2022.07.08.

令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正により
情報公表項目に「男女の賃金の差異」が追加され、
常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、
公表が義務づけられることとなりました。

厚生労働省HPに男女の賃金の差異の算出及び公表方法が発表されています。

【厚生労働省HP】男女の賃金の差異の算出及び公表の方法について
〈リーフレット〉女性の活躍に関する「情報公表」が変わります

【算出の手順】
①労働者を男性・女性、また、正規・非正規で4種類に分類
②4種類の労働者それぞれについて、一つの事業年度の総賃金と人員数を算出
③4種類の労働者それぞれについて、平均年間賃金を算出
④正規・非正規の総賃金・人員数を利用して、
 全ての労働者の年間平均賃金を男女別に算出
⑤正規、非正規、全ての労働者の区分ごとに、
(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)により、
 割合(パーセント)算出し公表
  
【公表方法】
・厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページを利用
・「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分での公表が必要
・計算の前提とした重要事項の付記が必要
 (対象期間、対象労働者の範囲、「賃金」の範囲等)

【公表時期】
令和4年7月8日以後、最初に終了する事業年度の実績を
その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表

例えば、
・令和4年 12 月末に事業年度が終了する事業主は、おおむね令和5年3月末までに、
・令和5年3月末に事業年度が終了する事業主は、おおむね令和5年6月末までに、
それぞれ、男女の賃金の差異の初回の公表を行うことになります。

対象となる企業は公表時期など事前に確認しておくとよいでしょう。
(菊沢)

子育て支援企業「くるみん認定」が新しくなります

2022.03.31.

次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)により、
労働者を常時101名以上雇用する企業は、
労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」の策定・届出、外部への公表、
および労働者への周知を行うことが義務とされています。

その中でも、一定の基準を満たす企業は「くるみん認定」または「プラチナくるみん認定」を受けることができ、
子育て支援に力を入れている企業として、認定マークを使用、外部にアピールすることができます。

令和4年4月1日から次世代法の施行規則が改正され、
認定の基準が変更され、新たな認定が創設されることとなりました。

主な変更ポイントは、以下3点です。

1.「くるみん認定」、「プラチナくるみん認定」基準の変更
・男性の育休等取得率の基準が
くるみん認定では、現行7%以上から10%以上へ
プラチナくるみん認定では、現行13%以上から30%以上に引き上げられます。

・男性の育休等、育児を目的とする休暇の取得率の基準が
くるみん認定では、現行15%以上から20%以上へ
プラチナくるみん認定では、現行30%以上から、50%以上へ引き上げられます。

・くるみん認定では、
男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」 で公表することが新たに必要となります。

・プラチナくるみん認定では、出産した女性の継続就業に関する基準も改正され
子が1歳になった時点での在職率の基準が、現行55%以上から、70%以上へ引き上げられます。

2.新たな認定基準「トライくるみん認定」の新設
現行のくるみん認定の基準で、新たに「トライくるみん認定」が新設され
認定は全部で3種類になります。

3.不妊治療と仕事の両立支援の認定制度を新設
トライくるみん、くるみん、プラチナくるみん、いずれかの認定基準を満たしたうえで、
不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備に力を入れていることを認定する「プラス」制度が新設されます。
不妊治療を行うための休暇の整備や、
不妊治療に関する理解を促進するための取組みを行うことなどが基準となっており、
認定されると、使用するマークに「プラス」の表記が加わります。

育児介護休業法も見直され、
職場における「育児しやすさ」がさらに注目されつつある昨今、
労働力の確保・定着には、育児環境を整えることが不可欠になってくるかもしれませんね。
詳細は以下リンクより、リーフレットをご参照ください。

参考:厚生労働省 子育てサポート企業「くるみんマーク」が 新しくなります!
リーフレット くるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準等が改正されます!新しい認定制度もスタートします!

(高村)

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