社労士コラム

2022年02月

兼務役員の雇用保険手続き

2022.02.25.

会社と雇用契約を結ぶ労働者は、原則、雇用保険の被保険者となります。
一方、委任契約を結ぶ取締役や役員は労働者でないため、雇用保険の被保険者とはなりません。
しかし、役員であると同時に、部長・支店長・工場長等、従業員としての身分を兼ねる場合があります(兼務役員といいます)。この場合、労働者性が強いと、被保険者として取り扱われます。

労働者性が強いかどうかは、下記により判断されます。
・労働者として支払われる賃金と、役員として支払われる役員報酬を比較し、賃金のほうが多い
・他の労働者と同様に、就業規則が適用されている
・勤務場所や勤務時間等が拘束され、勤怠管理されている

以下に該当する場合は、ハローワークへの届出が必要です。
・兼務役員として新たに雇用された
・労働者から兼務役員へ、または兼務役員から従業員へ変わった
・賃金と役員報酬の比率に変動があった

届出の際は、「兼務役員雇用実態証明書」を提出します。
労働者性を判断するため、添付書類も必要です。添付書類は状況により変わります。
<添付書類の一例>
登記簿謄本・賃金台帳・出勤簿・定款・雇用契約書・役員会議事録・就業規則・労働者名簿 等

被保険者と認定された後は雇用保険料が発生します。給与からの控除が必要です。
雇用保険料の対象は、労働者として支払われた賃金部分のみです。労働保険の年度更新の計算対象や離職票に記載する賃金も、役員報酬は含めません。
賃金と役員報酬は、はっきり分けておく必要があります。

兼務役員の手続きは普段行う業務ではないため、抜けてしまいやすいです。添付書類の事前準備も必要なため、人事異動の際には注意しましょう。

(山田)

老齢厚生年金額の在職定時改定制度が導入されます

2022.02.24.

令和4年4月より、老齢厚生年金に在職定時改定制度が導入されます。

これまで、在職中に支払った保険料は
退職等により被保険者の資格を喪失しないと、年金額に反映されませんでした。
今後は、65歳以上で在職中の老齢厚生年金受給者に対し、毎年10月に年金額の改定が行われ
それまで支払った保険料分の年金が上乗せして支給されるようになります。

令和3年4月の高年齢者雇用安定法の改正により、
70歳までの就業機会の確保等が努力義務化されたこともあり、
今後さらに増えるであろう65歳以上の就業者にとっては、
ひとつのモチベーションとなり得るのではないでしょうか。

また、老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給開始年齢の選択幅が
現状の60~70歳から、60~75歳へ拡大するなど
令和4年4月以降、高年齢者を対象とした制度の改正がいくつか施行されます。
60歳以上の労働者が就業している事業所では
一度確認しておくのがよいでしょう。

参考:厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました

(高村)

育児休業給付金延長-保育園入園募集がないときの添付書類について

2022.02.18.

育児休業は、
原則として子供が1歳になるまでの間取得することができますが、
保育園に入れなかった等の延長事由に該当する場合には、
1歳または1歳6か月に達した日後も育児休業を延長することができます。
そして併せて育児休業給付金の受給も延長することができます。

保育園に入れなかったために育児休業給付金の受給延長を申請する場合には、
1歳または1歳6か月の誕生日に保育園に入れていないことの証明、
すなわち誕生日月の保育園保留通知書が添付書類として必要となります。
前もって自治体への確認・申し込み等の準備が必要ですので注意が必要です。

しかしながら、例年2・3月は入園募集をしていない自治体も多く、
入園申し込み自体ができないことがあります。
その場合には、
・募集がされていないため保育園に入れていない旨を記載した疎明書
・「募集をしていない」ことがわかる自治体の通知書や入園申込案内、
ホームページの写し等
を用意することで申請ができます。
その後の直近で募集がある月の保留通知書等を提出する必要はなく、
あくまで1歳または1歳6か月の誕生日時点で保育園に
入れていないことが証明できれば、それぞれ1歳6か月、
2歳まで延長することは可能です。

育児と仕事の両立が言われている昨今では、
役所側も様々な事情に応じて、極力受給延長できるようにと
検討してくれている印象は受けますが、確実に手続きが行えるよう、
早めに対象となる労働者へ案内するとよいでしょう。

厚労省リーフレット「育児休業給付金の延長申請について」
厚労省リーフレット「育児休業給付金の支給対象期間延長について」

(金子)

就業規則を変更した際の届出

2022.02.10.

2022年4月より育児介護休業法が施行されることに伴い、
就業規則の改定を行う企業も多いと思います。

就業規則を変更した場合は
就業規則(変更)届、労働者代表の意見書、変更後の就業規則を
労働基準監督署へ届出します。

・過半数代表者の選出
過半数代表者は以下のいずれにも該当する必要があります。
1.労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと
2.過半数代表者を選出するための正しい手続きに基づいて選ばれた代表であること

就業規則変更のための労働者代表を選出することを明らかにして、
投票や挙手など民主的な方法で選出します。
過半数代表選出の母数には管理監督者やパート・アルバイト等も含まれます。

・意見聴取
あくまでも意見を聴くことが求められているので、
届出する就業規則の内容に同意を取る必要まではありません。
意見書の内容は「特に意見なし」でも問題ありません。

パートタイマーの就業規則を変更した場合の意見聴取は
あくまで事業場の全従業員の過半数代表者の意見を聴くことになっていまが、
パートタイマーの過半数代表者から意見を聴くことが望ましいとされています。

なお、就業規則の効力は労働基準書への届出だけでは生じません。
労働者に周知して有効になりますので、適切な方法で周知しましょう。

就業規則の周知についてはこちらのコラムをご覧下さい。
(菊沢)

未成年の労働者について

2022.02.04.

今年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます(民法改正)。
労務管理の分野で「未成年」が出てくる場面は限らていますので
実務への影響は小さいと考えますが、その内容と合わせて
未成年者に関する従来からのルールを確認しておきましょう。

1)成年年齢引き下げによる労務管理の分野への影響
親権者等は労働契約が「未成年者」にとって不利と認める場合に
契約を解除することができますが、この範囲が狭まります。
18歳や19歳の労働者と契約をした場合、
親権者が契約を解除する可能性がありましたが
4月以降は18歳と19歳は未成年ではありませんので、これがなくなります。

2)従来からのルール(今後も変更なし)
①15歳の3月31日まで
原則労働者として使用することはできません。
映画演劇関係や労基署の許可を受けた場合などの例外があります。

②18歳未満
労働者として使用することはできますが
年齢証明書の備付義務、深夜業原則禁止、危険業務禁止(ボイラ-取扱など)、
残業原則禁止、変形労働時間制の適用原則禁止、などの制約があります。
15歳と異なり誕生日が基準になります。

参考:法務省 民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について

(藤代)

エキップオリジナルサービス
給与計算改善コンサルティング
RECRUIT
給与計算の最強チェックリスト
濱田京子著 出版書籍
濱田京子コラム
社労士コラム

お電話でのお問い合わせ

03-5422-6550

受付時間: 平日 9:00 〜 17:00

メールでのお問い合わせ