社労士コラム

2023年03月

新型コロナウィルス 5類感染症に変更後の労災補償

2023.03.31.

新型コロナウィルス感染症が、令和5年5月8日より、感染症法上、第5類感染症に位置づけられることが決まっています。
これに伴い、新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)の労災補償に関する事項が更新されました。

QAの中の7労災補償 問1、および問13によりますと
5類感染症に変更になった後も、業務に起因して感染したものと認められる場合には
これまで同様、労災保険給付の対象となります。
ただし、これまでは、新型コロナウィルス感染症に関する労災給付は
メリット制の対象外として、保険料に影響を与えない特例を設けていましたが、
5類感染症に変更後に発症した場合の労災保険給付については、
メリット制による労災保険料への影響があり得ることとなりました。

5類感染症になったとしても、引き続き一定の感染対策は必要と感じますが
特に、医療機関など感染リスクの高い労働環境では、
労災の影響も意識する必要がありそうです。

(高村)

障害者雇用促進法の法定雇用率・除外率・支援策など

2023.03.24.

当コラムでも既に取り上げておりますが、障害者雇用率が段階的に上がります。
(現状2.3%→令和6年4月2.5%→令和8年7月2.7%)

また、一部の業種(障害者の就労が困難と認められる業種)では、障害者雇用の除外率が設定されていますが、この除外率も令和7年4月から15年ぶりに、各業種10%引き下げられます。

雇用率引き上げ・除外率引き下げに伴い、障害者を新たに採用する必要がある企業が増えますが、以下のような施策も行われます。

・精神障害者の算定特例の延長
 精神障害者の雇用促進のため、週所定労働時間20~30時間未満の精神障害者の算定特例(本来0.5人のところ1人とカウントできる)を当面延長

・一部の所定労働時間20時間未満の方を雇用率へ算定(令和6年4月以降)
 従来はカウントできなかった週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び知的障害者を0.5人カウントとして算定可とする。

・助成金の新設、拡充(今後発表予定)

また、◇こちら◇のパンフレットには、障害者雇用のさまざまな支援制度や相談先が掲載されています。初めて障害者の採用を予定される場合は、一度ご確認いただくと具体的にイメージがし易いかもしれません。

(前田)

令和5年4月からの現物給与価額と労働保険の現物給与価額の取り扱い

2023.03.17.

令和5年4月からの現物給与価額が公表されました。
東京は令和4年から変更はありませんでしたが、価額改定された府県もありますので、詳細は下記からご覧ください。

社会保険:日本年金機構 全国現物給与価額一覧表
労働保険:厚生労働省 現物給与の価額改定について(令和5年度)

社会保険と労働保険は、食事と住居の現物給与価額は同じですが、現物給与と判断する基準が異なります。

労働保険では、食事と住居について次のように取り扱います。

【食事が現物給与とされる場合】
・住込労働者で1日2食以上食事が提供されることが常態にある場合
・上記以外では、次の全てに該当する場合には福利厚生として取り扱う(現物給与とはしない)
①食事の提供によって賃金の減額を伴わないこと
②労働協約、就業規則等に定められて明確な労働条件の内容となっていないこと
③食事の提供による客観的評価額が、社会通念上僅少なものと認められる場合であること

【住居が現物給与とされる場合】
・社宅を借りていない労働者に対して、社宅を借りている労働者とのバランスを保つための定額の均衡手当が一律に支給される場合

上記は本人負担がない場合の取り扱いです。
本人が費用を一部負担する場合は、次のように取り扱います。

【本人が費用を一部負担する場合】
・本人の負担額が現物給与価額の3分の1を超える場合
→現物給与には該当しない
・本人の負担額が現物給与価額の3分の1以下の場合
→現物給与価額の3分の1の金額と本人負担額との差額が現物給与に該当する

厚生労働省 現物給与制度の概要

社会保険の住宅の現物給与については、2022年7月15日のコラムをご参照ください。

(山田)

36協定 労働者の過半数代表者

2023.03.10.

労働者に法定労働時間を超えて労働させる場合や休日労働させる場合は
「時間外・休日労働に関する協定届(36協定)」の締結が必要ですが、
36協定を締結する際は、労働者の過半数で組織する労働組合か、
労働組合が組織されていない場合に労働者の過半数を代表する者を
選出する必要があります。

この過半数代表者が正しく選任できていないと
36協定が無効となる場合がありますので、とても重要です。

過半数代表者選出のポイントは次のとおりです。
・ 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
・ 36協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにして
  実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること。

選出するにあたって、全ての労働者(パート、アルバイト含む)が
参加した民主的な手続きがとられていることが必要で、
使用者が一方的に指名するなど、使用者の意向によって労働者代表が選出された場合、
その36協定は無効になります。

なお、36協定を締結後、労働者代表が退職・異動した場合や、
過半数代表者の要件に該当しなくなった場合でも
過半数代表者の要件は協定成立時に求められるものなので、
再選出する必要はありません。

4月が起算日の36協定を締結しているところは多いと思います。
労使間で合意した起算日から有効とするために、
起算日前までに労基署へ届出しましょう。

(菊沢)

出生時育児休業に関する手続きの注意点

2023.03.03.

昨年10月の改正育児介護休業法施行から数ヶ月が経ち、
改正により新設された出生時育児休業取得の実績も積み上がってきました。
女性が取得の中心だったこれまでの育児休業と比べ、
期間の長短や取得時期が様々であるという実態も見え、
それに応じた注意点も出てきました。
そこで実務上注意が必要な点をピックアップします。

・取得可能な期間と日数の管理
出生時育児休業は出生日又は予定日のいずれか遅い方から
56日までの期間内に28日間を限度に取得が可能です。
56日がいつなのか、残り何日間が取得可能なのか、
予め管理しておくことで本人申出時に適切に対応できます。
56日経過は雇用保険の給付金申請開始のタイミングでもあります。

・社会保険料免除手続のタイミング
出生時育児休業は予定日からの取得が可能ですが
手続上記載が必要な日にちは出生日です。
休業を開始していても出生前には届出ができない点と、
保険料の本人給与での免除処理と年金事務所又は健保組合への
納付免除の開始月が一致しない可能性がある点に注意が必要です。

・厚生年金養育特例申出手続きのタイミング
この特例は次の出生時育児休業や育児休業の
保険料免除期間が開始すると自動的に終了します。
複数回の保険料免除を伴う休業を取得する場合は、
いつ提出することが適切なのか確認するとよいでしょう。
標準報酬が下がらないなど、状況によっては
養育特例申出手続を提出する実益がないかもしれません。
事前に整理できていると本人にも案内がしやすいです。

社内の管理簿や本人案内の場面において上記注意点を
入れておくと効率的ではないでしょうか。

(藤代)

エキップオリジナルサービス
給与計算改善コンサルティング
RECRUIT
給与計算の最強チェックリスト
濱田京子著 出版書籍
濱田京子コラム
社労士コラム

お電話でのお問い合わせ

03-5422-6550

受付時間: 平日 9:00 〜 17:00

メールでのお問い合わせ