社労士コラム

手続全般

医療費の返還が必要になったとき 協会けんぽの保険者間調整制度

2026.05.29.

退職後など、資格を喪失した後に以前の資格で医療機関を受診してしまった場合は
医療費の返還と、退職後に加入した健康保険へ医療費の請求を行う必要があります。

そこで利用できるのが保険者間調整制度です。
申請により、返還と請求の調整を保険者間で直接行うこととなりますので
被保険者本人は、各保険者との金銭のやり取りをする必要がなくなります。
ただし、協会けんぽの資格を喪失した後、国民健康保険に加入した場合に限られますので
状況をよく確認する必要がありますが
可能性があれば、案内できるように準備しておくとよいかもしれません。

具体的な手続きとしては、
1.保険者間調整 同意書兼委任状
2.保険者間調整 申請書
を記入し、加入していた協会けんぽへ提出します。
2.の申請書は(療養費用)と(高額療養費用)に分かれていますので、該当する方を使用します。
1人当たり1枚ずつ提出が必要ですので
被保険者の方など複数の受診があった場合は、人数分の準備が必要です。

協会けんぽ 保険者間調整

いずれにしても、まずは資格喪失後の資格を使って医療機関を受診しないよう、注意を促すことが大切です。
マイナ保険証の場合は、マイナポータルで新しい資格情報に変更されていることを確認してから
使用するのが安全でしょう。

(髙村)

「同一労働同一賃金」に関する施行規則と告示の改正

2026.05.22.

パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるために、「同一労働同一賃金」に関する施行規則と告示が改正され、2026年10月1日に施行されます。
厚生労働省のホームページでは、改正内容をまとめたリーフレット、モデル労働条件通知書等が公表されています。

厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ

主な改正事項は次の3点です。
①雇い入れ時の労働条件明示事項の追加
現行の明示事項は「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」ですが、10月1日以降の入社者には、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨の明示も必要となります。
(違反者は10万円以下の過料に処されます)

②同一労働同一賃金ガイドラインの改正
ガイドラインは、正社員と非正規社員との間の待遇差について、不合理か不合理でないかの原則となる考え方と具体例が示されています。
今回の改正では、最高裁判決を踏まえた、待遇に関する記載の追加や内容の充実等が行われました。

③雇用管理の改善等に関する措置内容(雇用管理指針)の改正
会社は、パートタイム・有期雇用労働者から、正社員との待遇差について説明を求められた場合は、対象の労働者が内容を理解できるように、口頭、または説明すべき事項をすべて記載した分かりやすい内容の資料を交付する等の方法により、説明することになります。
なお、口頭説明も可能ですが、関連資料を交付することが望ましいとされています。

施行に向けて、労働条件通知書の見直しや待遇差の説明が求められた時の対応方法の準備等を行っておくと良いでしょう。

(山田)

(令和9年1月から)源泉徴収票のみなし提出の特例

2026.05.15.

令和5年度税制改正により、令和9年1月1日以後に提出する
「給与所得の源泉徴収票」および「公的年金等の源泉徴収票」について、
「みなし提出」の特例が創設されました。

この特例は、給与支払報告書または公的年金等支払報告書を
市区町村へ提出した場合には、
税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされます。

対象となるのは、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票からです。
つまり令和8年分以後の源泉徴収票からが対象となります。

今後は、市区町村へ支払報告書を提出することで、
税務署提出用の源泉徴収票を別途作成・提出する必要がなくなります。

市区町村への提出については、
eLTAX(地方税ポータルシステム)、
光ディスク等、書面のいずれの方法でも、
この特例が適用されます。

国税庁では、この「源泉徴収票のみなし提出の特例」について
特設ページを設けており、Q&Aも公開しています。
源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)
例えば、次のようなQ&Aが取り上げられています。

Q:合計表についてはどのような取り扱いとなりますか
A:合計表(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)は、
法定調書を税務署に提出する場合に併せて提出するものです。
みなし提出の特例により源泉徴収票の税務署提出が不要となると、
原則として合計表も提出不要となります。
ただし、給与以外の法定調書(退職所得の源泉徴収票など)を
税務署に提出する必要がある場合は、合計表の提出が必要です。
その際、給与所得の源泉徴収票に関する記載は不要となります。

Q:法定調書の電子的提出の義務はどのように判定しますか
A:令和9年1月1日以後に提出すべき法定調書については、
基準年に提出すべきであった法定調書の枚数が30枚以上の場合、
e-Tax等による電子的提出が必要になります。
なお、源泉徴収票の枚数については、令和9年1月1日以後も
改正前の提出範囲で税務署に提出すべきであった枚数で判定します。

源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ
なお、受給者本人へ交付する源泉徴収票については、
これまでどおり作成・交付が必要です。
改正内容については、給与計算システムなどの対応状況も含め
事前に確認しておきたいところです。
(菊沢)

カスハラに関する実態調査結果

2026.04.10.

令和8年10月1日からカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化されますが、東京都では令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されており、事業者には指針に基づき、体制整備・カスハラを受けた就業者への配慮・カスハラ防止手引の作成等の努力義務が定められています。

この度、東京都産業労働局から「令和7年度 カスタマーハラスメントに関する実態調査 報告書」が公表されましたので、企業アンケートの調査結果の一部をご紹介します。

・過去1年間の従業員からの相談
 相談を受けたことがある 12.4%
 相談を受けたことはないが、見聞きしたことはある 13.1%

・事案
 継続的な、執拗な言動(頻繁なクレーム、同じ質問を繰り返す) 61.8%
 威圧的な言動(大声で責める、反社会的な者とのつながりをほのめかす等) 55.5%
 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の要求等) 50.4%

・被った損害や被害
 従業員の仕事への意欲・やりがいの低下 77.0%
 通常業務の遂行への悪影響 65.1%
 従業員の離職 15.5%

・防止対策の具体的な取組状況
 相談窓口の整備 65.7%
 実態把握のための調査 52.9%
 カスハラを受けた従業員のケア 50.9%
 教育・研修等の実施 47.8%
 基本方針等の作成 43.0%
 就業規則の整備(準ずるものを含む) 42.7%
 労働者や労働組合等との意見交換・衛生委員会の活用等 42.3%

・防止対策を進める上での課題
 正当なクレームとの判断の難しさ 71.1%
 ノウハウ不足 30.7%
 発生状況の把握が困難 30.4%

・防止のために特に効果があると思う取組
 カスハラを受けた従業員が相談できる窓口の整備 44.3%
 実態把握のための調査 41.1%
 カスハラを受けた従業員のケア 39.2%

・カスハラを受けた従業員のケアに関する取組状況
 上司や同僚によるサポート 65.7%
 現場における対応の引き継ぎ 52.9%
 カスハラを受けた従業員が相談できる窓口の整備 50.9%

カスハラ対策の義務化まで残り半年となりました。
弊所でもハラスメント規程策定サービス・相談窓口サービスハラスメント研修等を実施していますので、ご相談いただければと思います。

令和7年度 カスタマーハラスメントに関する実態調査 報告書

(山田)

現物給与の価額改正

2026.04.03.

健康保険、厚生年金保険、労働保険などで用いる現物給与の価額について、
一部改正が行われ、令和8年4月1日と令和8年10月1日から順次適用されます。
日本年金機構からは、Q&A付きの資料が公表されています。
【日本年金機構】令和8年4月から現物給与の価額改正されます

今回の改正は、見直しが2段階で行われます。
4月1日からは、「食事で支払われる報酬等に係る現物給与の価額」、
10月1日からは、「住宅で支払われる報酬等に係る現物給与の価額」が改正されます。

なかでも特に注意したいのは住宅の取扱いです。
今回は単に価額が見直されるのではなく、算出方法そのものが変更されます。

従来は、居住面積1畳当たりの価額をもとに計算していましたが、
10月1日以降は、総面積1㎡当たりの価額をもとに計算する方法に変わります。
また、これまではリビング、ダイニング、寝室など居住用の室を対象とし、
玄関、キッチン、トイレ、浴室、廊下などは含めていませんでしたが、
10月1日以降は、居住する住宅の床面積の合計(総面積)を対象として計算することになります。

現物給与として食事や住宅を扱っている企業では、
4月は食事、10月は住宅という適用時期の違いを押さえるとともに、
特に住宅については計算の前提が変わる点を早めに確認しておくと安心です。

弊所では、社会保険手続きや給与計算業務などのアウトソーシングを通じて、
企業の業務負担軽減と実務の適正化をサポートしております。
詳しくはこちらをご覧ください。

(菊沢)

 
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