社労士コラム

2022年05月

紛らわしい年齢基準の整理(雇用保険育児休業給付)

2022.05.27.

雇用保険の育児休業給付手続では
子の年齢基準がついて回りますが
3月31日(月の末日)生まれの場合の1歳6か月はいつか、
など紛らわしい場面があります。

次のとおりとなっていますので迷わず正しい処理を
していけるとよいと思います。

(1)支給期間はいつまでか
「子が1歳に達する日の前日まで」が給付金の支給期間です。
「達する日」は誕生日前日ですのでその前の日までとなり、
5月27日生まれの子の支給期間は翌年5月25日までです。
延長した場合(1歳6か月または2歳に達する日の前日まで)も
同様に考え、5月27日生まれの1歳6ヶ月までの例では
翌年11月25日までが支給期間です。

月の末日生まれの場合、6か月後に応当する日がない場合は
その月の末日が「達する日」です。
8月31日生まれの子が1歳6か月に達するのは2月28日ですので
支給期間はその前日の2月27日までです。
3月、5月、8月、10月、12月の末日は
6ヶ月後応当日がありません。

なお、各年齢基準より前に育児休業を終了した場合は、
終了した日までが支給期間になります。

(2)復帰の準備(保育所入所申込)はいつの日付で行うべきか
1歳までの育児休業は通常は1歳に達する日(誕生日前日)
までですので復帰のためには1歳に達する日後(1歳の誕生日以降)
に利用可能な保育所入所を準備することになります。
多くの保育所は月のうち1日付での入所のみを認めていますので、
1歳の誕生月の1日付入所申込みを行います。
1日生まれの場合は1日付で入所できれば
1日から復帰が可能です(慣らし保育期間を考えると
実際にはさらに1ヶ月前の入所が必要です)。

育児給付は「1歳または1歳6か月に達する日後」に
保育所に入所できないことを条件に延長受給が可能ですが、
復帰準備と表裏の関係にあます。
延長手続では「保育所入所保留通知書」などで、
いつ準備をしたのか、いつの入所を希望していたのか
実際に誕生日以降どこの保育所にも入れていないのか、
などが確認されます。

「達する日の前日」「達する日」「達する日後」は
似て非なる日にちですので注意が必要です。

(藤代)

令和4年10月~短時間労働者に対する社会保険の適用拡大

2022.05.20.

パートやアルバイトで勤務している従業員は
1週間の所定労働時間、および1ヶ月の所定労働日数が一般従業員と比較して3/4以上となる場合(3/4基準と呼びます)、
健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。

平成28年10月に被保険者の適用拡大が図られ、
3/4基準を満たさなくても、特定適用事業所に勤務していれば、
一定の要件を満たすことで、健康保険、厚生年金保険の被保険者となることとなりました
(短時間労働者と呼びます)。

これが、令和4年10月以降
さらに適用拡大されることとなっていますので、概要をご紹介します。

まず、特定適用事業所とは
これまでは、「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所」とされていたところ、
改正後は「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所」となります。

また、短時間労働者となる「一定の要件」は、これまで、以下の4つとされていました。
1.週の所定労働時間が20時間以上あること
2.雇用期間が1年以上見込まれること
3.賃金の月額が8.8万円以上であること
4.学生でないこと
このうち、2.の「雇用期間が1年以上見込まれること」が、
改正後は 「雇用期間が2カ月を超えて見込まれること(通常の被保険者と同じ)」となります。

対象となる従業員は、令和4年10月以降、被保険者資格取得届の提出が必要ですので、
改正後の特定適用事業所に該当する場合などは、
対象者を早めに確認し、手続きの準備を行う必要があります。

また、要件に該当すれば自動的に被保険者となりますので、
対象となる従業員は基本的に拒むことができません。
保険料の控除が始まり、不満に感じることもあるかもしれませんので、
事前に十分な説明を行うことも重要となります。

なお、令和6年10月以降には
特定適用事業所の要件が「被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所」となり
さらに適用拡大される予定です。

参考:日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

(高村)

インターンシップの注意点

2022.05.13.

インターンシップとは、学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行う事として幅広く捉えられています。
内閣府が令和3年11月に公表した「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査報告書」によりますと約7割の学生がインターンシップに参加した経験があるということで、実施を検討されている企業の方も多いと思われます。

この運営にあたっての検討事項のひとつに、参加する学生の労働者性をどのように扱うかという問題があります。

企業等と学生の間に使用従属関係があると、
名称がインターンシップ生でも労働者となり、労働関係法令が適用される場合があります。

具体的には次のような場合に、労働者と判断されます。
・見学や体験的な要素が少なく、使用者から業務に関わる指揮命令を受けている
・学生が直接企業等の生産活動に従事し、それによる利益・効果が当該企業等に帰属する

労働者と判断される場合には、労働条件通知・労働時間・割増賃金・最低賃金等、労働関連法令を守る必要が生じます。

インターンシップ制度は、学生の学修への動機づけを強めることや企業等と学生のミスマッチ防止等有効性の高いものと考えられますが、受け入れにあたっては参加する学生の位置づけを十分に検討し、ご準備頂くのが安心です。

(前田)

公的年金シミュレーターの試験運用開始

2022.05.06.

厚生労働省が開発した、年金額を簡単に試算できるツール「公的年金シミュレーター」の試験運用が4月25日から開始されています。

生年月日と働き方・暮らし方を入力することで、将来受給できる年金額を試算することができるサービスで、スマートフォンやタブレット、パソコンから利用できます。
ねんきん定期便(2022年4月以降発行のもの)には、二次元コードが記載されており、読み取ると生年月日を入力するだけで、現在の加入状況(加入制度、被保険者種別、標準報酬等)が60歳まで継続すると仮定して試算された年金額が表示されます。

働き方・暮らし方は最大5つまで登録でき、将来、働き方が変わった場合のシミュレーションも可能です。また、就労完了年齢や受給開始年齢をプラスしたりマイナスしたりすることで、グラフで表示された年金見込額が増減するため、受給額がイメージしやすくなっています。

事前登録が不要なため、気軽に利用できるツールとなっています。
ただし、年金制度の仕組みを簡略化して試算されるため、試算結果は実際の年金額と必ずしも一致しません。より詳細な試算は、事前登録が必要ですが「ねんきんネット」を利用するよう案内されています。

今後、利用者の意見を基に改善され、本格実施が開始される予定です。

スマホで簡単に年金額試算「公的年金シミュレーター」を4月25日から試験運用を開始します!

(山田)

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