社労士コラム

2022年03月

子育て支援企業「くるみん認定」が新しくなります

2022.03.31.

次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)により、
労働者を常時101名以上雇用する企業は、
労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」の策定・届出、外部への公表、
および労働者への周知を行うことが義務とされています。

その中でも、一定の基準を満たす企業は「くるみん認定」または「プラチナくるみん認定」を受けることができ、
子育て支援に力を入れている企業として、認定マークを使用、外部にアピールすることができます。

令和4年4月1日から次世代法の施行規則が改正され、
認定の基準が変更され、新たな認定が創設されることとなりました。

主な変更ポイントは、以下3点です。

1.「くるみん認定」、「プラチナくるみん認定」基準の変更
・男性の育休等取得率の基準が
くるみん認定では、現行7%以上から10%以上へ
プラチナくるみん認定では、現行13%以上から30%以上に引き上げられます。

・男性の育休等、育児を目的とする休暇の取得率の基準が
くるみん認定では、現行15%以上から20%以上へ
プラチナくるみん認定では、現行30%以上から、50%以上へ引き上げられます。

・くるみん認定では、
男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」 で公表することが新たに必要となります。

・プラチナくるみん認定では、出産した女性の継続就業に関する基準も改正され
子が1歳になった時点での在職率の基準が、現行55%以上から、70%以上へ引き上げられます。

2.新たな認定基準「トライくるみん認定」の新設
現行のくるみん認定の基準で、新たに「トライくるみん認定」が新設され
認定は全部で3種類になります。

3.不妊治療と仕事の両立支援の認定制度を新設
トライくるみん、くるみん、プラチナくるみん、いずれかの認定基準を満たしたうえで、
不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備に力を入れていることを認定する「プラス」制度が新設されます。
不妊治療を行うための休暇の整備や、
不妊治療に関する理解を促進するための取組みを行うことなどが基準となっており、
認定されると、使用するマークに「プラス」の表記が加わります。

育児介護休業法も見直され、
職場における「育児しやすさ」がさらに注目されつつある昨今、
労働力の確保・定着には、育児環境を整えることが不可欠になってくるかもしれませんね。
詳細は以下リンクより、リーフレットをご参照ください。

参考:厚生労働省 子育てサポート企業「くるみんマーク」が 新しくなります!
リーフレット くるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準等が改正されます!新しい認定制度もスタートします!

(高村)

「育休復帰支援プラン」策定マニュアルについて

2022.03.25.

厚生労働省が作成している「育休復帰支援プラン」策定マニュアルが、
今年2月に改訂されました。
※「育休復帰支援プラン」:中小企業が自社の従業員の円滑な育休の取得及び育休後の職場復帰を支援するために策定するプラン

このマニュアルは、
中小企業が育休復帰支援プランを策定・実施していく上でのポイントを
まとめたものとして今までも公表されていましたが、
これが令和3年の法改正を踏まえた内容に変更されました。

育児休業が取りやすい雇用環境整備とは何をすればよいか
休業取得者が増えた場合、最低限の人員で行っている業務をどうすればよいのか
育児休業取得に関する役所手続きは何があるのか

など、会社ごといろいろな課題や疑問があるのではないでしょうか。

マニュアルの中では、
それぞれの会社が置かれた状況に応じて使用できる様々なツールが用意されています。
例えば、基本的に会社が行わなければならない措置の内容説明、
会社で抱える課題に沿った育休復帰支援プラン作成モデル、
手続きリスト、制度周知用のリーフレットなど多種です。
もちろん、プラン作成は義務ではありませんが、
取り掛かるヒントとして参考になさるのもよいと思います。

法改正内容も含め、行っている取り組みに不足がないか等
現状を確認できるチェックシートも用意されています。
改めて自社の状況を確認し、従業員も会社もより安心できる
育児休業制度を構築するとよいでしょう。

厚生労働省 中小企業のための「育休復帰支援プラン」 策定マニュアル

(金子)

〈改正育児・介護休業法〉有期雇用労働者の休業取得要件緩和

2022.03.18.

2022年4月に施行される改正育児・介護休業法において、
有期雇用労働者が育児・介護休業を取得できる要件が緩和されます。

休業申し出の時点で「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」
という要件が廃止され、無期雇用労働者と同じ要件となります。

他方、労使協定を締結することにより
以下の要件に該当する従業員は適用除外とすることが可能です。
・入社1年未満の従業員
・申し出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 (※)
(育児休業の延長が1歳~1歳半まで、1歳半~2歳まで場合は6か月)
・1週間の所定労働日数が2日以下の従業員 
 (※介護休業は93日以内)

この労使協定は現在施行されている育児・介護休業法にも定めがあり、
一般的に無期雇用者労働者を対象として締結されています。
2022年4月1日以降に労使協定を根拠として
入社1年未満の有期雇用労働者を育児休業・介護休業申出の適用除外とする場合には、
労使協定の再締結が必要があるとしています。
(厚生労働省「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和3年11月30日時点)」Q4-3)

既に労使協定を締結済みの場合であっても、労使協定の有効期間を変更して改めて締結する必要がある点にご注意ください。
(菊沢)

社会保険の取得と喪失の手続きについて(同日得喪)

2022.03.11.

社会保険手続きにおいて、入社時は取得手続により被保険者資格を取得し
退社時は喪失手続きをすることが基本です。

ただ、有期雇用契約の更新やパート社員から正社員への変更などで
退職日の翌日に再入社という場合は、
社会保険手続き上は継続して被保険者とされますので、
喪失と取得の手続きは行いません。
数日の間を空けての再入社の場合も同様です。
会社との関係は継続していると判断されるためです。
厚生労働省通知(数日空けての雇用契約)はこちら

これが60歳以上の人であって、
退職後1日の空白もなく再入社をする場合は
喪失と取得の手続きを行うことができます。
「同日得喪」の特例と呼ばれていますが、
これにより再入社直後から再入社後の給与額
に応じた社会保険料の負担となります。

特例がなければ、再入社に伴い給与が月額50万円から30万円に
減額となった場合でも、随時改定や定時改定のタイミングまでは
50万円の給与に対する社会保険料を負担することになります。

60歳定年後再雇用制度を採用している会社では
多く発生している手続きですが
「60歳以上」で「1日の空白もなく」再入社していればよいので
60歳定年時だけだなくその後の契約更新や
定年と関係なく再入社となる場面でも該当するケースがあります。

「同日得喪」の特例手続きは該当したからといって
義務ではありませんが、社会保険料負担は少ないほうがよいと
考える人も多いので手続きを行うことがほとんどではないでしょうか。
見落としがないよう気を付けたいです。

厚生労働省通知(同日得喪)はこちら

(藤代)

月給制の欠勤分計算方法について

2022.03.04.

完全月給制(欠勤時間があっても、その分を差し引かずに決まった額を支給)の場合を除き、欠勤があった場合は給与を減額して支給します。(ノーワークノーペイの原則)

ではその計算方法はどうするのがよいでしょうか。

実は法的に規定がないので、就業規則等で会社ごとに適切な(合理的で納得感のある)減額方法を決める事になります。

以下一般的な2つの計算方法を見てみましょう。
※例示では 日額単価を算出時に、円未満の端数は控除の場合に切り捨て・支給の場合切り上げして計算しています。

1)月給額を1ヶ月平均の所定労働日数で除して算出

月ごとに欠勤単価が変動しないのが良い点です。
ただし、平均の所定労働日数は年ごとに見直しが必要となる点と
欠勤が多い場合に備え詳細のルールが必要となる点にはご注意ください。

【例1】
月給30万円/月平均所定20.5日/所定22日の月に2日出勤、20日欠勤した場合

●単純に欠勤減額する場合の支給額
300,000円-(300,000円÷20.5日×20日)=7,320円
●出勤分だけ支給する場合の支給額
300,000円÷20.5日×2日=29,270円

→このように、支給方法により受け取り金額が大幅に変動します。ルールが無いと給与計算の時、どのように計算するのが正解か悩んだり、場合により異なる計算をしてしまうなど公平性に欠ける虞があります。
例えば「出勤が○日以上の場合」「出勤が○日未満の場合」等、細かくルールを決めておくと良いです。

2)月給額をその月の所定労働日数で除して算出

月ごとに欠勤単価が変動してしまうという問題があります。
・月給30万円、月所定18日の場合の欠勤日額:16,666円(300,000÷18)
・月給30万円、月所定22日の場合の欠勤日額:13,636円(300,000÷22)

しかし、1)ほどは詳細ルールの検討不要なのが良い点です。

【例1】2)の場合の支給額
月給30万円/月平均所定20.5日/所定22日の月に2日出勤、20日欠勤した場合
・300,000円-(300,000円÷22日×20日)=27,280円

例示ではざっくりと月給30万円で記載しましたが、実際には手当が支払われている事も多く、「欠勤の計算基礎とする月給にどの手当を含めるのか/含めないのか」等細かく決めておく必要があります。

大切なのは、毎回同じルールで計算する事です。
就業規則等に、わかりやすく計算方法が記載されていると安心ですね。

(前田)

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