社労士コラム

2023年06月

障害者の把握・確認の方法

2023.06.30.

従業員が43.5人以上の企業では、毎年6月1日現在の障害者雇用に関する状況を
ハローワークに報告する必要があり、「障害者雇用状況報告書」を提出することが義務付けられています。
企業人数の要件に該当していれば、雇用している障害者の方が0人でも届出の義務があります。

提出義務のある企業には書類が届いているかと存じますが、
報告をしなかった場合には、罰則がありますので提出漏れのないように注意が必要です。

記載にあたっては、従業員で障害者の方の情報を把握しておく必要がありますが、
厚生労働省では「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認のガイドライン」を作成、
呼びかけを行っています。

従業員に対して障害者であることを確認する場合は、
雇用している労働者全員に対してメールやチラシ等の配布で申告を呼びかけることが原則で、
障害者と思われる方がいる部署に対してのみチラシ等を配布することや、
正当な理由がなく、特定の個人を名指しして情報収集の対象とすることは適切ではないとされています。

申告を社内に呼びかける際の社内文書の例文が、
高齢・障害・求職者支援機構(JEED)HPで公開されていますので、参考になると思います。
https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003kphb.html
情報の利用目的を明らかにし、申告を強制するものではないということを伝えることがポイントで、
手帳の更新や障害状態の変更があった際には連絡をいただくように呼びかけておくとよいです。

(斎藤)

令和6年4月~ 労働条件明示のルール変更について

2023.06.23.

令和6年4月1日より、労働条件明示のルールが変更になります。
労働基準法施行規則第5条の改正によるもので、
主な内容は以下4点です。

すべての労働者に対する変更
1.就業場所・業務の変更の範囲の明示
すべての労働契約の締結、有期労働契約の更新のタイミングごとに
雇入れ直後の就業場所、業務内容に加え、契約期間中の変更の範囲も明示することが必要になります。

有期契約労働者に対する変更
2.更新上限の明示
契約の締結と更新のタイミングごとに、
更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要になります。

3.無期転換申し込み機会の明示
無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、
無期転換を申し込むことができる旨の明示が必要になります。

4.無期転換後の労働条件の明示
無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、
無期転換後の労働条件の明示が必要になります。

労働条件の明示はほぼすべての事業所で影響が出てくることと思います。
まだ先ではありますが
変更を想定して、前もって明示すべき内容など整理されるとよいでしょう。

参考:
厚生労働省 リーフレット 「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」

(高村)

36協定 特別条項の発動について

2023.06.16.

本日は36協定の特別条項発動について、記載いたします。
十分ご存じの方も多いと思いますが、36協定と特別条項についても簡単に記載いたします。

□36協定とは
正式名称は「時間外・休日労働に関する協定届」です。
労働者に法定時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて労働させる場合に必要な、労働基準監督署への届出義務がある協定です。
法定時間外労働の限度時間(以下「限度時間」)は、原則として、月45時間以内・年360時間以内とされていますので、この範囲内で協定します。

□特別条項とは
臨時的な特別の事情で限度時間を超える時間外労働の可能性がある場合、36協定に設ける事ができる条項です。この場合であっても、以下の範囲内に収める必要があります。
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について、
 「2か月平均」「3か月平均」「4か月平 均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

□特別条項の発動
特別条項には、発動手続が必要です。

限度時間を超えて労働させる場合にどのような手続をするかは、特別条項に定める事になっています。
厚生労働省の書式では「労働者代表に対する事前申し入れ」などと記載されている事が多いですが、「労使間の協議」「会社からの通告」など会社ごとに適切に発動できる方法を定めます。

この発動自体は、労働基準監督署への届出や報告は不要です。
具体的にどのような方法を取るべきか法律には明記されていませんが、社内では「発動手続に関する記録」と「健康・福祉確保措置の実施状況」の記録を作成して保存する必要があるとされています。
愛知労働局のパンフレット「Q12」に参考となる例があります)

労働時間を管理・把握し、必要なタイミングで特別条項発動の手続と記録ができるよう注意と準備をしておくことが安心です。
(前田)

労働契約と就業規則の優先順位

2023.06.09.

労働条件は、労働契約の締結にあたり労働者と使用者の合意により決定し、個別の労働契約で定められていない部分については就業規則が適用されます(就業規則は、合理的な労働条件が定められており、労働者に周知されていることが前提です)。(労働契約法第7条)
ただし、個別の労働条件が有効となるのは就業規則の基準を上回る場合であり、就業規則で定める基準に達しない場合は、その部分は無効とされ、就業規則が適用されます。(労働契約法第12条)
つまり、労働者にとって有利な条件の方が、労働条件として有効とされます。

例えば、就業規則では時給1,500円と定められているのに、個別の労働契約では時給1,300円と定めた場合は、時給1,300円は無効となり、時給は1,500円に引き上げられます。反対に、個別の労働契約で時給2,000円と定めた場合は、時給2,000円が有効となります。

労働契約を締結する際には、就業規則を下回っていないかどうか確認が必要です。

(山田)

算定基礎届における支払基礎日数の考え方

2023.06.02.

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の標準報酬月額は、
原則として7月1日現在のすべての被保険者について
毎年4月から6月に支払われた給与を平均した額で見直しが行われます。

2022年10月には101人以上の
社会保険の適用拡大が行われていることもあり、
支払基礎日数の考え方を整理してみました。

支払基礎日数とは、報酬を計算する基礎となる日数のことです。
・月給制の場合
 出勤日数に関係なく歴日数。ただし、欠勤により給与が減額される場合には
 就業規則等に基づき、企業が定めた日数から欠勤日数を差し引いた日数
・時給制、日給制の場合
 出勤日数に有給休暇の日数を加えた日数

支払基礎日数の取り扱いの基準は正社員(一般の被保険者)、
パートタイム労働者(短時間就労者)、短時間労働者の3つに分けられます。

【正社員】
17日以上の月が対象

【パートタイム労働者】 ※1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
17日以上の月があればその月。なければ15日以上の月が対象。

【短時間労働者】  ※社会保険の適用拡大により加入要件に該当した者(注)
11日以上の月が対象

原則は上記のとおりですが、すべての月で支払基礎日数が
基準未満の場合は、従前の標準報酬月額で決定されます。

なお、随時改定(月額変更届)の場合は、
正社員、パートタイム労働者は継続した3か月とも17日以上の月が基準となりますが、
短時間労働者は11日以上です。

日本年金機構から令和5年度の算定基礎届の記入・提出ガイドブックが公表されているので
内容を確認しておくと安心です。
《日本年金機構 算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和5年度》

(注)パートタイム労働者の基準を満たさない場合であっても、特定適用事業所に勤務し週所定労働時間が20時間以上等の条件に該当する場合に被保険者となります
(菊沢)

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