社労士コラム

2026年06月

7月から障害者法定雇用率が引き上げられます

2026.06.26.

2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率は2.5%から2.7%へ引き上げられます。
これに伴い、障害者雇用義務の対象は、常時雇用する労働者37.5人以上の企業へ拡大されます。
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf
法定雇用率を満たしていない場合、直ちに罰則が科されるわけではありませんが、
状況に応じて次のような措置が講じられることがあります。

①ハローワークによる助言・指導
法定雇用率が未達の場合、まずハローワークによる助言や指導が行われます。
②障害者雇入れ計画の作成命令
改善が必要と認められた場合には、障害者雇入れ計画の作成を命じられることがあります。
③勧告・特別指導
計画の実施状況が悪い企業に対して、勧告や特別指導が行われることがあります。
④企業名の公表
作成した計画が進まず、勧告にも従わない場合には、企業名が公表されることがあります。

【障害者雇用納付金制度】
障害者雇用の水準を高めることを目的とした制度であり、
障害者を多く雇用している企業の経済的負担を軽減し、
企業間の負担の公平を図るものです。

具体的には、常時雇用する労働者が100人超の企業では、法定雇用率を下回ると、
不足する障害者一人当たり月額5万円の障害者雇用納付金が徴収されます。
常時雇用する労働者が100人以下の企業からは徴収されません。

この徴収された納付金は、法定雇用率を達成している企業に対して、
調整金や報酬金として支給されます。
調整金や報奨金は、常時雇用する労働者が100人以下の企業も対象となります。

今回の法定雇用率の引き上げにより、新たに雇用義務の対象となる企業もあります。
自社が対象となるのか、必要となる雇用人数は何人かを確認しておくとよいでしょう。

弊所では、日常的に発生する社員に関する様々な疑問やお悩みを解決、サポートするサービスがございます。
就業規則の改定や社内で活用する社内書類作成や変更などもサポートします。
コチラもぜひご覧ください。

(菊沢)

健康保険の高齢受給者

2026.06.19.

健康保険では、70歳以上74歳までの年齢の方は
「高齢受給者」となります。
(65歳以上で一定の要件により後期高齢者医療制度へ
加入している場合は除きます)

健康保険の自己負担割合は3割ですが、
高齢受給者は収入状況などにより、
現役並み所得者区分に該当する場合は3割負担、
一般区分に該当する場合は2割負担、です。

高齢受給者制度は会社で加入する健康保険でも
個人で加入する国民健康保険でも共通ですが、
以下は会社で加入している健康保険の場合です。

健康保険の加入者が70歳に達すると
マイナ保険証利用者には資格情報のお知らせが、
マイナ保険証を利用していない人には資格確認書が
交付され、負担割合も確認することができます。

負担割合は、標準報酬月額が28万以上の場合は3割(現役並み)、
28万円未満の場合は2割(一般)です。
随時改定や定時改定により標準報酬月額が28万円の前後で
変更する場合は負担割合も変更となり
資格情報のお知らせや資格確認書が改めて交付されます。

標準報酬月額が28万円以上(3割負担)でも
年収383万円未満の場合などは、申告により2割負担となります。
被扶養者がいる場合は被扶養者の年齢や収入も要件ですが、
これらは本人の申告手続きが必要です。

70歳以上で健康保険に加入している従業員に対しては
健康保険組合から会社を通じて資格情報のお知らせ等が
交付されますので、速やかに本人に渡す等確実に対応しましょう。

(藤代)

育児休業からの復職者が多い今こそ確認したい「養育特例」の手続

2026.06.12.

4月の保育園入園を経て、育児休業から職場復帰を迎える従業員は多く、この時期は人事労務担当者にとって休業明けの社会保険手続きが集中する時期です。
その中で見落とされやすいのが、3歳未満の子を養育する期間に標準報酬月額(給与の等級)が下がっても、将来受け取る年金額が下がらないようにする「厚生年金保険 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(養育特例)」です。時短勤務の選択や残業の減少によって給与が下がりやすい復職直後には、従業員の将来の安心を支える制度となります。
この手続きについて、日本年金機構は申出書に関する“不備・誤りの多い事例”を公表しています。よくある誤りとして、次のケースがあります。
●「養育特例開始年月日」に「子の生年月日」を誤記するケース
子どもが生まれた日ではなく、「実際に仕事を再開して養育が始まった日」(原則、休業終了日の翌日=復職日)を記入します。
●産前産後休業または育児休業が終了する前に提出してしまうケース
産前産後休業または育児休業等による保険料免除期間は本特例の対象外となるため、復職(休業終了)後に手続きを行います。

また、注意しておきたい点として本特例は自動適用ではなく「本人の申出」を受けて会社が申請するため、復職時の丁寧な案内が従業員の安心につながります。男女問わず利用できるほか、上の子が3歳になる前に次の子の養育を開始する場合、上の子の休業前に登録されていた等級が引き継がれる仕組みもあります。
復職後の手続きタスクに加えておくなどして、従業員への案内と手続きをスムーズに進められるように準備しましょう。
弊所では、社会保険・労働保険の手続きのアウトソーシングを通じて、企業の事務処理負担軽減をサポートしています。コチラをご覧ください。
(小林)

高齢者の労働災害防止

2026.06.05.

今年4月から、改正労働安全衛生法62条の2(新設)が施行されています。
第62条の2 
事業者は、高年齢者の労働災害の防止を図るため、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。

努力義務ですが、法的な根拠が置かれて高齢者には特化した対応が求められることが明確にされました。企業の安全配慮義務についても念頭に置く必要があります。

事業者が講ずるべき措置について、厚生労働省の指針には1から5まで挙げられています。
高年齢者の労働災害防止のための指針

1、安全衛生管理体制の確立等
(1)経営トップによる方針表明及び体制整備、
安全衛生委員会等における調査審議等
(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
2、職場環境の改善
(1)身体機能の低下を補う設備・装置の導入
(2)高年齢者の特性を考慮した作業管理
3、高年齢者の健康や体力の状況の把握
(1)健康状況の把握
(2)体力の状況の把握
(3)健康や体力の状況に関する情報の取扱い
4、高年齢者の健康や体力の状況に応じた対応
(1)個々の高年齢者の健康や体力の状況を踏まえた措置
(2)高年齢者の状況に応じた業務の提供
(3)心身両面にわたる健康保持増進措置
5、安全衛生教育
(1)高年齢者に対する教育
(2)管理監督者等に対する教育

項目もたくさんありますので、どこから手をつければ…、と思ってしまいますが、
例えばこれからの時期は熱中症対策に気をつけたいところです。
指針では、一般に高年齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しており、身体の調節機能も低下しているので、意識的な水分補給を推奨することが必要とされています。
手すりや滑り止めの設置のようなハード面の設備に意識が向いてしまいますが、このような身体機能の変化を踏まえて短時間勤務を採用する、といったソフト面での対策も重要です。
高年齢労働者自身にも、自らの身体機能等の低下が労働災害リスクにつながることを自覚してもらうよう、安全衛生教育を実施することも有効です。
安全衛生管理規定がある企業では、場合によっては内容を見直すとよいかもしれません。

年齢による変化があることを前提にして、誰もが安心安全に働ける職場環境であるよう、着手できるところから取り組んでいきましょう。

(遠藤)

 
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