社労士コラム

2023年12月

賞与支払届(退職者の対応)

2023.12.27.

12月に賞与を支給するケースは多いと思います。

賞与を支給した際には社会保険料の控除や
賞与支払届の提出が必要となりますが、
退職者に賞与を支給した場合は
どのようになるでしょうか。

賞与支給日と退職日の関係によって以下のようになります。

①賞与支給日 12/5 ・退職日 12/20 (社会保険喪失日12/21)
□社会保険料
 12月が社会保険喪失月となるため控除なし
□賞与支払届
 社会保険喪失月に支給した賞与で、
 社会保険喪失日の前日までに支給された賞与の場合、
 賞与支払届の提出必要(年度:4月~翌年3月の累計額に算入※)

②賞与支給日 12/25 ・退職日 12/20 (社会保険喪失日12/21)
□社会保険料
 12月が社会保険喪失月となるため控除なし
□賞与支払届
 賞与支払届の提出不要

③賞与支給日 12/5 ・退職日 12/31 (社会保険喪失日1/1)
□社会保険料
 12月が社会保険喪失月ではないため(1月が喪失月)控除必要
□賞与支払届
 賞与支払届の提出必要

賞与を支給する際には要注意です。

なお、どのパターンでも雇用保険料の控除は必要です。
【参考:日本年金機構 従業員に賞与を支給したときの手続き】

※賞与に関する健康保険料の上限が1年間(4月から翌年3月)に支払われた賞与金額の累計額(573万円)となるため
(菊沢)

2024年の所定労働日数と所定労働時間

2023.12.22.

来年のカレンダーを目にする機会が増える時期となりました。
1月からの1年間でスケジュールを管理している会社では
すでにカレンダーの確認は済んでいる時期でしょうか。

土日以外を労働日とするなど曜日を基準に所定労働日数を決めている場合は
曜日の並びにより、各年により年間所定労働日数が変動しますが、
月給者の残業計算に影響がありますので、確認しておきましょう。

法定時間外労働や深夜労働時の割増賃金計算では、
「1年間における1か月平均所定労働時間数」を用いるため、
1年が改まる度に確認が必要となります。
割増賃金は、月額給与÷1か月平均所定労働時間✕割増率✕時間、で計算します。
なお、月額給与のうち出来高に応じた手当は
その月の総労働時間数を用いて計算するため
所定労働時間数に左右されません。

割増賃金計算は法律での規定事項(労働基準法施行規則第19条)であって
これを上回る(割増計算結果を大きくする)基準に問題はありませんが、
下回ることはできません。

1か月平均所定労働時間には、休日(労働義務がない)を含まず、
休暇(労働義務はあるが免除している)は含むことにも注意が必要です。

就業規則では、法令と同じく「1年間における1月平均所定労働日数」と定めている
場合のほか、「160時間」など具体的に数字を定めている場合もあります。
1年の始期を規定ではなく運用で決めていることもあります。
会社での規定方法と実際の計算で用いている数字が適切な数字となっているか
毎年の確認事項とすると確実です。

(藤代)

カスタマーハラスメントの労災認定基準への追加について

2023.12.15.

令和5年9月、精神障害の労災認定基準が改正され、「業務による心理的負荷評価表」の見直しが行われ、
「具体的出来事」の中に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(いわゆるカスタマーハラスメント)」が追加されました。

業務による心理的負荷評価表はURLの14ページ~18ページにあります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf

心理的負荷が「強」になる例として、挙げられている具体的出来事は、
・ 顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた
・ 顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 心理的負荷としては「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった

精神障害による労災認定の要件の一つに、
「対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること」があり、
心理的負荷の評価に当たっては、発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる出来事があり、
その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、その心理的負荷の強度を判断します。
心理的負荷の全体を総合的に評価して「強」と判断される場合は、この要件を満たすものとされます。

「強」で例示されている出来事があったからと言って直ちに心理的負荷が「強」となるわけではなく、
その出来事自体や継続性、事後の対応、生じるに至った経緯などから総合的に判断されるので、これはあくまでも例示となります。

カスタマーハラスメントについては厚生労働省の「パワーハラスメントの防止に関する指針」において、
労働者の相談に応じることや、被害者への配慮等をすることが望ましいとされており、
労災リスクを軽減させるためだけでなく、職場環境を良くすることにも繋がります。

カスタマーハラスメント対策リーフレット(厚生労働省)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/casuhara_leaflet6P.pdf
(斎藤)

雇用保険手続きの押印廃止について

2023.12.08.

労働関係の手続き書類について、事業主や申請者の押印は大方廃止されてきていますが
令和5年10月1日より、雇用保険関係で一部まだ押印が必要とされていた手続きについて
押印不要となる範囲が拡大されました。

今回、廃止の対象となった主な手続きとしては、
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険事業主事業所各種変更届
・高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
・雇用保険被保険者六十歳到達時賃金証明書
・再就職手当支給申請書
・就業促進定着手当支給申請書
・常用就職支度手当支給申請書

などがあげられています。

押印が不要になる代わりに、
個人情報保護の観点から、申請時に社員証や委任状の提示が必要になるケースがありますので
詳細はリンク先のリーフレットをご参照ください。
なお、日雇い労働者に関する書類は、引き続き押印が必要です。
混同しないように整理しておきましょう。

参考:愛知労働局リーフレット「雇用保険関係の申請・届出への押印が不要となる手続きの範囲を拡大します!」

(高村)

裁量労働制に関する改正について

2023.12.01.

来年(2024年)4月に、裁量労働制に関して改正された省令・告示が施行となります。

裁量労働制を新たに導入する場合だけでなく、有効期間内の裁量労働制を継続する場合も2024年4月1日迄に別途手続きが必要となりますのでご注意ください。

変更内容としては、本人の同意を得たり、同意の撤回の手続きを定めたりすることのほか、企画業務型裁量労働制では、労使委員会に賃金・評価制度を説明したり、労使委員会の開催頻度を6ヶ月に1回として運営規程に盛り込むことなどがあります。

◆簡潔版のリーフレットは◇こちら◇です。

 これらの改正点を含んだ制度の内容について、先日厚生労働省から詳しいパンフレットが公開されました。「必須」であるか「望ましい」のかを区別して記載されており、わかりやすくなっています。

◆企画業務型裁量労働制については◇こちら◇

◆専門業務型裁量労働制については◇こちら◇

また、8月に公開されていたQ&Aも情報を追加して公開されました。

◆Q&Aは◇こちら◇

裁量労働制を導入している事業所では来年の施行にあわせて、必ず対応が必要になります。

 また、協定届や決議届、報告の様式も変更になっています。公開された資料を確認の上、早めに対応を進めるのが安心です。
(既に改正に合わせて協定してある事業所は、不足がないか確認すると安心です。)
(前田)

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