社労士コラム

2025年09月

令和7年度の最低賃金

2025.09.22.

令和7年度の最低賃金について
すべての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされ、
厚生労働省が結果を取りまとめ、公表しました。

それによると、最高額は東京都の1,226円(引上げ額64円)、
最低額は高知県・宮崎県・沖縄県の1,023円(引上げ額はいずれも71円)で、
最高額に対する最低額の比率(83.4%)は改善されました。

この後手続きを経て令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に
都道府県ごとに発効となります。
発効の時期は最大で6か月異なりますので注意が必要です。

過去最高とも言われる上げ幅ですが、
「賃上げ支援助成金パッケージ」として
各種助成金が用意されています。
単に賃金額を引き上げるだけでなく
生産性向上に資する計画や、労働時間削減の取組計画が必要など
各助成金によって要件があります。
申請集中のため時間に余裕を持った提出が呼びかけられてもいますので
対応はに早めに取り組む必要がありそうです。

最低賃金の大幅な上昇が続いています。
一部の助成金の要件にもなっていますが
生産性の向上には労使ともに、また各労働者レベルで
本気で取り組む必要性を強く感じます。

各情報はこちらから確認することができます。
すべての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました(厚生労働省
「賃上げ」支援助成金パッケージ(厚生労働省)

(藤代)

二暦日にわたる勤務と休日

2025.09.19.

夜間の勤務が必要になって、0時をはさみ暦日二日にわたって働いた場合、その労働は一日と数えるのでしょうか。二日と数えるのでしょうか。
原則では労働日は暦日ごとに数えますが、「継続勤務が二暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とするものであること」とされています。
昭和63年1月1日基発第一号

0時でリセット、としてしまうと、休憩時間の付与や時間外労働を算定する際に労働者の不利益が大きくなってしまうためです。
例えば土曜日の午後6時に勤務を開始して、日曜日の午前3時に終業した場合は、始業時刻が属する土曜日の一日の労働と数えることになります。

しかし休日の扱いは、(交替制など規定された特別な場合をのぞき)午前0時から午後12時の暦日である必要があります。
上記の例で日曜日を法定休日としている事業所なら、0時以降は休日労働の割増賃金を支払う必要があります。
また、すでに午前0時から午前3時まで勤務をしているため、その後の時間で勤務がなかったとしてもその日は休日を与えたことにはならない、ということにも注意する必要があります。

さきに「始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とする」として土曜日の一日の労働と数えたのに、休日は暦日午前0時から、と考えるところが混乱しやすいように思います。
勤怠システムの設定を確認しておけば、自動的に判定してくれる場合が多いでしょうが、原則の考え方を知っておくと突発的な勤務が生じたときなど安心です。
賃金についてはもちろん、午後10時から午前5時までの時間帯の勤務には深夜労働の割増も必要になります。

(遠藤)

職場の健康診断実施強化月間

2025.09.12.

9月は「職場の健康診断実施強化月間」です。
健康診断を実施した際には事業主が実施しなければならない事項があります。
1.定期健康診断結果の労働者への通知と保管義務
事業者は受診者全員に所見の有無にかかわらず健康診断結果を文書で通知する必要があります。また、事業主は健康診断個人票の作成と5年間の保存義務があります。
2.定期健康診断後の措置の実施
事業主は有所見者に対する医師からの意見聴取、医師の意見を勘案した必要な事後措置①就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等。②作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備。③医師の意見の衛生委員会等への報告等を講じなければな  りません。
3.定期健康診断の結果に基づく保健指導の実施
有所見者で特に必要な人に対して、医師等(医師、保健師)による食生活等の保健指導を行うよう努め、労働者自身も保健指導等を利用して、その健康の保持に努める必要があります。

産業医の選任義務のない事業場においては、医師からの意見聴取の機会を作るのが難しいこともあるかと思います。利用回数に制限はありますが、地域産業保健センターでは労働者50人未満の小規模事業場の事業主や小規模事業場で働く労働者を対象として、労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)に係る相談・健康診断の結果について医師からの意見聴取・長時間労働者及び高ストレス者に対する面接指導・個別訪問による産業保健指導のサービスを無料で提供していますので、利用してみてはいかがでしょうか。

社員の健康増進は、社員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化につながると期待されます。これを機会に有所見率改善に向けて取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。

厚生労働省リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001547048.pdf

(齋藤)

教育訓練休暇給付金(令和7年10月~)

2025.09.05.

令和7年10月から教育訓練休暇給付金が新設されます。

「教育訓練休暇給付金」は、労働者が自発的に教育訓練を受けるために休暇を取得した場合、
雇用保険から失業等給付の基本手当相当の給付を行う制度です。

□給付金の対象となる休暇
・就業規則等に規定された制度に基づく休暇であること
・労働者本人が教育訓練を受講するため「自発的に」取得することを希望し、
会社の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇であること
・学校教育法に基づく大学・大学院などが提供する教育訓練や、
教育訓練給付金の指定講座を実施している法人が提供する教育訓練を受けるための休暇であること

□被保険者の要件
・休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
・休暇開始前に5年以上雇用保険に加入していた期間があること

□手続きの流れ
①休暇開始から10日以内に会社からハローワークへ
「教育訓練休暇開始時賃金月額証明書」を提出。(休暇制度が規定されている就業規則等を添付)
②ハローワークから会社へ賃金月額証明票・教育訓練休暇給付金支給申請書が交付されるので、労働者に交付。
③②で受け取った書類に記載して本人からハローワークへ提出。
以降、30日ごとに本人が手続き、ハローワークで審査・支給決定。

注意点としては、就業規則等に教育訓練を目的とした休暇制度が規定されていることが前提となることや、
あくまで労働者が教育訓練休暇を自主的に希望した場合を想定しているので、
会社の業務命令で資格を取得させたい場合には受給できません。
会社からの案内がきっかけでも、労働者本人の意思で休暇取得を希望した場合は対象となります。
また、教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合、被保険者期間はリセットされるので、
一定期間は失業等給付が受け取れないことが発生します。

社内での問い合わせに備え、リーフレットをご確認いただくとよいと思います。

リーフレット(詳細版)
https://www.mhlw.go.jp/content/001543278.pdf

(斎藤)

エキップオリジナルサービス
給与計算改善コンサルティング
RECRUIT
給与計算の最強チェックリスト
濱田京子著 出版書籍
濱田京子コラム
社労士コラム

お電話でのお問い合わせ

03-5422-6550

受付時間: 平日 9:00 〜 17:00

メールでのお問い合わせ