社労士コラム

労災保険

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(後遺症)の労災認定

2022.06.10.

業務による新型コロナウイルス感染症への感染は労災保険給付の対象となりますが、感染症の消失後にみられる倦怠感、息切れ、思考力や記憶力低下等の罹患後症状、いわゆる後遺症も労災保険給付の対象となります。

具体的には、下記取り扱いとなります。(労災認定は、労働基準監督署にて個別に判断されます)
①「診療の手引き」に記載の症状等から、医師により療養が必要と認められる場合
→療養補償給付の対象
②休業の必要性が医師により認められる場合
→休業補償給付の対象
③十分な治療を行ってもなお症状の改善の見込みがなく、症状固定と判断され、後遺障害が残存する場合
→障害補償給付の対象

後遺症と呼ばれることが多いですが、一般的には時間の経過とともに改善が見込まれます。リハビリを含め、対症療法や経過観察での療養は、③の指す後遺障害とは異なるため、①療養補償給付の対象となります。

また、罹患後症状のある労働者を職場復帰させる際には、就業上の措置や治療に対する配慮が必要な場合があります。産業医や主治医から情報提供を受ける等連携して、労働者の症状に応じた個別の検討を行うことが望ましいです。

新型コロナウイルス感染症による罹患後症状の労災補償における取扱い等について

(山田)

業務災害と通勤災害の違い

2022.01.31.

業務中や通勤途中にケガをしたり病気にかかった時は、労災保険から給付を受けられます。
業務災害と通勤災害で給付の内容はほぼ同じですが
細かな違いがありますので、簡単に説明したいと思います。

業務災害が起こった場合、
事業主は労働者の治療にかかる費用負担や休業補償等の義務を負うことが
労働基準法で定められています。
(労働基準法第75条~80条)

一方で、通勤災害については、労働基準法上での補償義務はありません。

このことから、以下のような取り扱いの違いが発生します。
①業務災害は自己負担金がない(通勤災害は200円の自己負担金がある)
②業務災害の待期3日間について事業主が休業補償を行う義務がある(通勤災害にはない)
③業務災害の休業期間中とその後30日間は解雇制限がある(通勤災害にはない)
④業務災害の時に受ける給付には療養補償給付、休業補償給付等、「補償」という名称が使われる(通勤災害は療養給付、休業給付、、となる)

また、単純に業務災害と通勤災害では、請求に使用する様式が異なります。
細かいですが、労働保険料のメリット制が適用されている事業所では、
通勤災害が起こっても労災保険率には影響がないという点も違いとして挙げられます。

事故のタイミングや場所によっては、業務災害なのか通勤災害なのか、悩むケースもあるかもしれません。
労働者への影響も少なからずありますので、
事実確認をしっかり行い、不明点は請求前に問い合わせるなどして、よく確認するのがよいでしょう。

参考:東京労働局「労災保険とは」

(高村)

勤務間インターバルについて

2021.11.12.

令和3年9月、脳・心臓疾患の労災認定基準が改正され、業務の過重性の評価に「勤務間インターバルが短い勤務」が追加されました。

勤務間インターバルは、終業から次の始業までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることです。
働く方の生活時間や睡眠時間を確保することが目的です。
「勤務間インターバル」制度とは(東京労働局ホームページ)

制度の導入は努力義務です。
厚生労働省が行った令和2年の調査では、労働者数30人以上の企業のうち、制度導入している企業は4.2%でした。
導入しない理由は、半数以上の企業が「超過勤務の機会が少なく必要性を感じない」と回答していますが、「業務に支障が出る」という回答もありました。10.7%は制度自体を知りませんでした。
(「令和2年就労条件総合調査の概況」より)

令和3年7月30日には、令和7年までに、制度を知らなかった企業を5%未満、導入している企業を15%以上にするという目標が設定されました。
特に、導入率が低い中小企業への導入に向けた取組を推進するとされています。
(「過労死等の防止のための対策に関する大綱」より)

導入方法や導入結果については、導入事例が参考になると思います。
数十人から数万人まで、様々な従業員規模の企業が掲載されています。
勤務間インターバル制度導入事例一覧

事例では、従業員が導入のための労使の話し合いでインターバルが必要になるような時間外勤務をなくしたいという意識に変わったり、導入後に定時で仕事を終えるためにどうするかを考えるようになった企業がありました。業務効率化に繋がり、時間外労働が減ったという結果が出ているようです。

また、都道府県労働局には働き方・休み方改善コンサルタントが配置され、無料でアドバイスや資料提供等の支援をしてもらえます。

労働環境見直しや業務効率化の検討に、参考にしてみてはいかがでしょうか。

(山田)

職場の安全衛生管理体制

2021.10.15.

先月より、脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されています。
詳細は〈こちら〉

この機に安全衛生管理体制を再確認してみたいと思います。

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保する・快適な職場環境の形成を促進する・労災を防ぐ などを目的としており、業種や労働者の人数ごとに安全衛生管理体制を整える事も定めています。

届出が必要な事項があるのは労働者50人以上の事業所ですが、実は労働者1人以上から枠組みは決まっています。

□労働者の人数規模に対する安全衛生の管理者
1人から9人 :事業者
10人から49人:(安全)衛生推進者(事業者が専任)
50人以上から :産業医、衛生管理者、業種により安全衛生管理者、など(事業者が選任)

詳細は、〈こちら〉〈こちら〉をご確認下さい。

労働者が50人以上の場合、開催すべき委員会[(安全)衛生委員会]も定められています。
委員会では、参加者や審議する事項がある程度決められており、ルール通り開催すると経営者も労災リスクや問題点を確認することができ、改善案を検討できるなど、取り組み方次第かもしれませんが、案外(?)効果を感じられるものと思います。

重篤な労災などが生じると労使双方辛く大変なものです。
今一度会社の安全衛生管理体制を見直し、必要であれば法律で定めらていない規模でも委員会を定期開催するなど、積極的にご検討いただくと安心です。

(前田)

脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました

2021.09.27.

令和3年9月、脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました。
前の改正から20年が経過しており、働き方の変化や最新の医学的知見を踏まえたうえで検討された内容となっています。

具体的な変更ポイントは以下4点です。

①労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、
1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について
業務と発症との関係が強いと評価できることを示していました。
改正後は、上記の時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働を行った場合には、
「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価できることを明確にしました。

②過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し
これまでは、拘束時間の長い業務、出張の多い業務、作業環境(温度変化や騒音)なとの要因がありましたが
改正後は、休日のない連続業務、作業間インターバルの短い業務、等が新たに追加されました。

③短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合、
業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合、等の例が示されました。

④対象疾病に「重篤な心不全」を追加
これまで心不全症状は、対象疾病の「心停止(心臓性突然死を含む)」に含めて取り扱っていましたが
心停止と心不全は別の病態であることから、新たな項目を設けました。

こうした動きを確認しつつ
業務環境を整えて、労災の発生を未然に防いでいけるとよいですね。

参考:厚生労働省 リーフレット
   厚生労働省 脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました

(高村)

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