2023.12.15.
令和5年9月、精神障害の労災認定基準が改正され、「業務による心理的負荷評価表」の見直しが行われ、
「具体的出来事」の中に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(いわゆるカスタマーハラスメント)」が追加されました。
業務による心理的負荷評価表はURLの14ページ~18ページにあります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf
心理的負荷が「強」になる例として、挙げられている具体的出来事は、
・ 顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた
・ 顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 心理的負荷としては「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった
精神障害による労災認定の要件の一つに、
「対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること」があり、
心理的負荷の評価に当たっては、発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる出来事があり、
その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、その心理的負荷の強度を判断します。
心理的負荷の全体を総合的に評価して「強」と判断される場合は、この要件を満たすものとされます。
「強」で例示されている出来事があったからと言って直ちに心理的負荷が「強」となるわけではなく、
その出来事自体や継続性、事後の対応、生じるに至った経緯などから総合的に判断されるので、これはあくまでも例示となります。
カスタマーハラスメントについては厚生労働省の「パワーハラスメントの防止に関する指針」において、
労働者の相談に応じることや、被害者への配慮等をすることが望ましいとされており、
労災リスクを軽減させるためだけでなく、職場環境を良くすることにも繋がります。
カスタマーハラスメント対策リーフレット(厚生労働省)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/casuhara_leaflet6P.pdf
(斎藤)