「労災保険」一覧

複数の事業場に雇用される労働者の労災認定

2020-12-25

令和2年9月1日、労働者災害補償保険法が改正されました。
主な変更点は以下の通りです。

複数の事業場に雇用されている労働者(複数事業労働者)を対象に
①休業、死亡、または障害が残った場合の給付額が、すべての事業場の賃金を合算した額をもとに計算されます
②すべての事業場の負荷(労働時間、ストレス等)を総合的に評価して労災認定されます

令和2年9月1日以降に発生した傷病が対象で、
それより前に発生したものは従来通りの取り扱いになります。

改正前は、事故が起こった事業場で支払われている賃金のみが給付額の基礎とされていました。
また、脳・心臓疾患や精神障害等の労災認定については、
1つの事業場でかかる負荷を評価し、基準に達していなければ対象外でした。
働き方改革によって副業、兼業が推進され、普及しつつあることから
より、労働者の実態に即した補償がされるようになったといえます。

なお、今回の改正点については、メリット制には影響しないとされています。

この改正に伴って、提出書類の様式も変更になっていますので
最新の様式であることを確認しましょう。

どのような場合に複数事業労働者となるか、申請書類の記入例等、詳細なパンフレットが準備されています。
複数事業労働者への労災保険給付わかりやすい解説

また、この改正に伴って
「精神障害の労災認定」リーフレットも改訂され、複数事業労働者に関する記述が追加されています。

参考
厚生労働省 労働者災害補償保険法の改正について

(高村)

令和3年度からの労災保険率について

2020-11-30

厚生労働省から、令和3年度からの労災保険率について、
令和2年度から変更が無いことが公表されました。

労災保険料率は、原則として3年ごとに見直しており、
通常であれば次回は令和3年4月に改定予定となっておりましたが、
改定を見送ることになりました。
これにより、令和3年度も現行の労災保険率、特別加入保険料率及び労務費率のままとなります。

令和3年からの3年間は現行の労災保険料率に据え置かれますが、
今後の新型コロナウイルス感染拡大による労災の増加、各事業への影響から、
労災保険料率の動向について注視する必要があると考えます。

【厚生労働省:令和3年度の労災保険率について~令和2年度から変更ありません~】

(菊沢)

労働保険事務組合の存在意義とメリット・デメリット

2020-06-30

労働保険事務組合とは、
事業主が行うべき労働保険の事務処理を、その事業主の委託を
受けて行うことについて、厚生労働大臣の認可を受けた
中小事業主等の団体のことをいいます。
多くは、事業協同組合や商工会などが、その事業の一環として
行っています。

労働保険料の申告・納付等の労働保険事務を事業主に代わって
処理しますので、中小事業主の事務処理の負担が軽減されるとともに、
労働保険の適用促進や労働保険料の適正な徴収を図ることが可能となります。

労働保険事務組合に加入することについては、次のようなメリット・
デメリットがありますので、参考にしてみてください。

(メリット)
・労働保険料の申告・納付等の事務処理負担を軽減できる
・労働保険料の額にかかわらず、労働保険料を3回に分割納付できる
※労働保険事務組合に委託していない場合は、概算保険料額が
40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ
成立している場合は20万円)を超えないと分割納付することが
できません)
・労災保険に加入できない事業主や家族従事者なども特別加入することができる

(デメリット)
・労働保険事務組合への委託手数料がかかる

なお、労働保険事務組合に委託するには、常時雇用する労働者数の制限があり、
また委託できない事務もありますのでご注意ください。
詳細は、厚生労働省ホームページに掲載されておりますので、宜しければ
ご確認ください。
〈参考〉厚生労働省 労働保険事務組合制度

(金子)

社会保険及び労働保険 出向者の取り扱い

2020-06-12

出向者についての社会保険・労働保険の取り扱いは、
保険の種類によって違いがあります。

そもそも出向とは、自社との雇用契約はそのままで
他の企業において勤務させるものであり、自社との
雇用契約を終了させて他の企業で新たに雇用契約を
締結する転籍とは区別されます。
転籍は、転職のときのように新しい会社と雇用関係を
結ぶことになるため、社会保険・労働保険の取り扱いについて
複雑な問題は生じませんので、ここでは、出向元と出向先両方
との雇用関係が生じる出向のケースについてみてみましょう。

●社会保険(健康保険・厚生年金保険)・・・基本的に賃金を支払う側で適用

出向元及び出向先それぞれと雇用関係があり、どちらか一方を
選択して適用することになりますが、実務上では賃金を支払う
側でその支払う賃金に基づいて保険料を納付します。
   
●労災保険・・・出向先で適用

現実に労務を提供するのは出向先なので、出向先の事業内容に
基づく保険料率で保険料を納付します。
実務上注意する点は、出向先で保険料申告の手続きをする際には、
出向元から支払われる賃金があればその金額も合計して保険料を
算出することです。

●雇用保険・・・生計を維持するために必要な主たる賃金を払っている側で適用

2つの雇用関係を有することになるため、支払う賃金額が多い方で
適用となり、その支払う賃金に基づいて保険料を納付します。
従って、出向先で支払われる賃金が多い場合には、出向元で資格喪失、
出向先では資格取得の手続き行うことが必要です。
従たる賃金を支払う側では適用されず、従たる賃金を合算して保険料を
算出する必要もありません。

社会保険や労災保険の手続きでは、出向元、出向先とで賃金データの
共有が必要となる場合がありますので、漏れのないように行いましょう。

(金子)

労災保険 海外特別加入制度と令和2年4月1日以降の手続き変更点について

2020-05-14

労災保険は、本来、国内にある事業所に適用され、そこで就労する労働者が給付の対象となる制度なので、
海外の事業所で就労する人は対象となりません。
国内の事業所で就労していた人が国内事業所との雇用契約は継続しつつ、転勤などにより
海外の事業所で仕事をする場合、通常は現地の労災保険が適用になります。
しかし、海外の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分ではない可能性を想定して、
国内で働いている場合と同等の労災保険給付が受けることができる「特別加入」に
加入することができます。

【特別加入者の範囲】(①~③いずれかに該当する場合)
①日本国内の事業主から、海外で行われる事業で労働者となる人
②日本国内の事業主から、海外にある中小規模(業種により企業規模の規定あり)の事業に事業主等
(労働者ではない立場)となる人(例:海外の事業所の役員として働く場合)
③独立行政法人国際協力機構など発展途上地域に対する技術協力の実施の事業に従事する人

現地採用された人や、単なる留学が目的の人は特別加入の対象外です。
また、商談、打ち合わせ、市場調査などで海外出張のする場合も、
出張期間中に海外で労務提供をしているにすぎず、国内の事業場に所属しその事業場の使用者の指揮に
従って勤務する労働者であるため、たとえ海外出張中に被災しても国内の労災保険が適用となります。
したがって、海外出張の期間は特別加入の対象にはなりません。

【特別加入の手続き】
特別加入の手続きは、国内事業者が特別加入予定者をまとめて「特別加入申請書」に記入し、
所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長あてに提出することにより可能です。
この手続きは加入希望日の30日前から申請書を提出することができ、過去に遡って加入申請はできません。
海外特別加入手続きについては、事前申請だということを忘れないようにしましょう。

【令和2年4月1日からの手続き変更点】
令和2年4月1日以降に提出される申請から、加入手続き事務負担軽減により、
「海外派遣に関する報告書」が不要になりました。
海外派遣に関する報告書の廃止に伴う注意事項や記入見本が厚生労働省のHPから確認できますので、
よかったら確認してみてください。

厚生労働省特別加入制度のしおり<海外派遣者用>

(松原)

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