社労士コラム

労災保険

「労働者死傷病報告」の提出期限を確認しましょう

2026.07.24.

労働安全衛生法に基づき、労働者が業務中の事故などで死亡または休業した場合、事業者は所轄の労働基準監督署へ「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません。労災保険の給付請求をしていない場合でも提出は必須です。
4日以上の休業や死亡の場合は、災害発生後「遅滞なく」提出が必要です。一方、4日未満(1日~3日)の休業は以下の通り四半期ごとに提出期限が定められています。
1〜3月分:4月末日
4〜6月分:7月末日
7〜9月分:10月末日
10〜12月分:翌年1月末日

なお、労働災害に限らず、事業場内や附属建物内での負傷、窒息、急性中毒によって死亡または休業した場合も報告対象となります。また、休業が1日もない場合は報告対象外です。

令和7年1月1日より原則として電子申請での提出が義務化され、これに伴い報告様式も変更されています。対象となる事案の有無を改めて確認し、期日までに申請を完了させましょう。
(小林)

クールワークキャンペーンが始まりました

2026.05.08.

厚生労働省では、職場における熱中症予防対策を呼びかける
「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を5月から開始しました。
期間は9月まで、そのうち7月は重点取組期間です。
キャンペーンについてはこちらから確認できます。

安全衛生法では昨年6月から事業者に対して
熱中症防止措置を義務付けていますので、対応が必要です。

義務の内容は、
WBGT(湿球黒球温度)28度以上または気温31度以上の環境下で
連続1時間以上または1日4時間を超える業務を行う場合に、
熱中症の自覚・他覚症状の報告体制の整備を整備・周知し、
熱中症を重症化させないための措置を講じることです。

このほか、今年3月には「職場における熱中症防止のためのガイドライン」
が定められました。
また、4月から混在作業所においては労働者だけでなく
個人事業者等を含む「作業従事者」に対応の範囲が拡大されています。

5月には熱中症による重篤な事象が確認され、
6月・7月にはその数が急増する傾向にあります。

暑い時期が早く到来するようになり、
ドレスコード(ネクタイやシャツの着用)の内容や適用時期を見直したり、
制服がある場合は夏服への切り替え時期を早めるなどの動きも見られます。
各所から出されている資料・情報も参考に自社に応じた対応が必要です。
(藤代)

令和8年度の労災保険料率・雇用保険料率が発表されました。

2026.03.13.

令和8年度の労災保険料率・雇用保険料率が発表されました。

労災保険料率は、令和8年度は令和7年度から変更はありません。
労災保険料は事業主が全額負担する保険料であり、
労働者から徴収することはなく、
変更があっても給与計算上は影響しません。
例年6月に行う労働保険料の年度更新では、
労災保険料の申告を行うので、
自社の業種区分や料率の確認を改めて行うと確実です。

一方、雇用保険料率には変更があり、
昨年より引き下げで決定されました。
一般の事業の場合の労働者負担分は0.5%となりました。
労働者負担分は給与計算で控除するため、
給与計算ソフトの料率の変更適用が必要です。
労働保険料の年度更新では、
令和8年度の概算保険料は新しい料率を適用します。

また、3月分保険料から、健康保険・介護保険の料率の変更(協会けんぽ東京)や、
4月分保険料から子ども子育て支援金の創設もあり、
給与計算時の保険料控除について注意が必要です。

参考:
・令和8年度労災保険料率
https://www.mhlw.go.jp/content/roumuhiritu_r05.pdf
・令和8年度雇用保険料率
https://www.mhlw.go.jp/content/001672589.pdf
・健康保険・介護保険の料額表(協会けんぽ東京支部)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r8/ippan/R8_13tokyo.pdf
・子ども子育て支援金制度
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fb3dbb28-102a-4840-90a5-00ad2e0d117f/0049a2f8/20260226policies-kodomokosodateshienkinseido-11.pdf

(斎藤)

休業補償の待期3日間

2025.12.19.

労災事故に遭った従業員が働けず、休業が必要になる場合があります。
①業務上の事由や通勤による負傷・疾病で療養するため、②労働することができず、③賃金が受けられない、という3要件を満たすと休業4日目以降について労災保険より休業補償等給付が支給されます(労災保険法第14条)。

では、最初の3日間(待期期間といいます)は補償がないのかというと、業務災害の場合には労働基準法にて事業主に補償の義務があります(労基法第76条)。

休業補償は、まず労基法76条で事業主に補償の義務があり、労災法14条により4日目以降は労災保険の給付があることから、労基法84条「この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる」として、事業主の補償責任が労災保険に委ねられているという構造になっているのです。
ちなみに通勤災害は労災法の規定で、労基法には規定がないので、事業主に待期期間の補償の義務はありません。

そうなると「初日はどこから数え、待期3日間はいつまでか」が重要になります。
これは労災が起こった時刻も関係していて、
(1)所定労働時間中に発生、所定労働時間中に一部休業して受診=労災事故発生日を初日
(2)所定労働時間中に発生、所定労働時間中は就業した後に受診、翌日から休業=労災事故発生翌日を初日
(3)所定労働時間外(残業中)に発生して受診、翌日から休業=労災事故発生翌日を初日
などのパターンがあります。

待期期間中、事業主は平均賃金の60%の補償を行う義務がありますが、(1)の一部休業の日において、計算の確認をしてみましょう。
平均賃金が10,000円の労働者が労災事故に遭い、その日の労働に対する賃金として4,000円が支払われていたとき、補償するべき額は平均賃金の60%である6,000円と、実際に支払った賃金4,000円の差額、2,000円としてしまいそうになります。
正しくは、事業主は平均賃金から実際に支払われた賃金を除いた部分に対して60%を補償する義務がありますので、平均賃金10,000円と、実際に支払った賃金4,000円の差額、6,000円に対しての60%、3,600円の補償が必要になります。

また、労基法76条に基づく休業補償は所得税法上、非課税所得となるので(所得税法施行令第20条)、給与に合算して支払う場合には誤って所得税の計算に算入しないよう注意が必要です。

労災による休業は頻繁にあることではないと思いますので、労災保険の申請方法のほうに気をとられてしまいますが、業務災害の場合、最初の3日間は事業主に補償の義務があることを見落とさないようにしましょう。

文中の「平均賃金」については千葉労働局の資料に詳しい解説がありました。
千葉労働局>労働基準部賃金室_平均賃金について
https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/heikinchingin.pdf

(遠藤)

11月は「過労死等防止啓発月間」です

2025.10.17.

厚生労働省では11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、
過労死等をなくすためのシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。
この月間は「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、
過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めるため、毎年11月に実施しているものです。

厚生労働省「11月は過労死等防止啓発月間です」

過労死等の定義とは以下のように定められています。
(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
(3)死亡には至らないが、これらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害

令和6年「過労死等の労災補償状況」によると、

脳、心臓疾患に関する労災補償状況は
支給決定件数は241件で前年度比25件の増加
※うち死亡件数は前年度比9件増の67件

精神障害に関する労災補償状況は
支給決定件数は1,055件で前年度比172件の増加
※うち未遂を含む自殺の件数は前年度比9件増の88件

有休取得の推奨などライフワークバランスの充実を目標に
様々な取り組みは行っているところではありますが、
件数だけ見ると、年々増加惟傾向にあります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html

今年の過重労働解消キャンペーンとしては
・使用者団体や労働組合に対し、長時間労働削減に向けた取組に関する周知・啓発等について協力要請を行い、労使の主体的な取組を促す
・積極的な長時間労働解消のための取り組み事例の情報収集
・過去に実際に過労死が発生した事業所など各情報に基づく重点監督の実施
・過重労働解消相談ダイヤルの開設
・過重労働解消のためのセミナー開催
等を行うことと発表しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html

この機会に、自社の労働状況を改めて見直し
長時間労働の削減に向けた取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

(高村)

 
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