社労士コラム

労災保険

36協定届に記載する労働保険番号と法人番号

2024.03.15.

36協定は法所定様式で届出を行う必要がありますが、
この様式には労働保険番号と法人番号を記載する欄があります。

令和6年4月以降に有効期間が始まる36協定では、
この欄の記載が必須となります。
これまでは記載がなくても受付されていた
実態もあったようですが改まります。

労働保険番号は1社で複数有していることもあり
迷いやすいですが適切に記載しましょう。

未記載時には届出先労基署で受付がされない可能性があります。
記載番号が不明の場合は、その対応を事前に確認しておくなど
適切な36協定を作成する準備が必要です。
注意喚起をしている労働局もあります。
こちら(福井労働局)

記載欄自体はこれまでも設けられていましたので
法定様式で提出していた場合には影響がないかもしれません。

法定様式の届出事項を満たしていれば
任意様式での届出も認められていますが、
任意様式の場合は労働保険番号と法人番号が
記載されているか注意しましょう。

(藤代)

令和6年度 労災保険料率の改定

2024.03.01.

令和6年4月~の労災保険料率、雇用保険料率が発表になりました。

労災保険料率は、複数の業種で料率が改定されます。
雇用保険料率は、令和5年度から据え置きです。

労災保険料率は、平成30年以来の改定となります。
多くの業種で料率引き下げとなっていますが、一部、引き上げられた業種もあります。
同時に、第二種特別加入(一人親方など)の料率も一部の区分で改定、
請負工事等の労務比率も改定されています。

事業所の料率について、年度更新前に一度確認しておくとよいでしょう。
以下リンクより、各料率について改定前後の一覧を確認できます。

参考
厚生労働省 労災保険・雇用保険の特徴

(高村)

カスタマーハラスメントの労災認定基準への追加について

2023.12.15.

令和5年9月、精神障害の労災認定基準が改正され、「業務による心理的負荷評価表」の見直しが行われ、
「具体的出来事」の中に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(いわゆるカスタマーハラスメント)」が追加されました。

業務による心理的負荷評価表はURLの14ページ~18ページにあります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf

心理的負荷が「強」になる例として、挙げられている具体的出来事は、
・ 顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた
・ 顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた
・ 心理的負荷としては「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった

精神障害による労災認定の要件の一つに、
「対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること」があり、
心理的負荷の評価に当たっては、発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる出来事があり、
その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、その心理的負荷の強度を判断します。
心理的負荷の全体を総合的に評価して「強」と判断される場合は、この要件を満たすものとされます。

「強」で例示されている出来事があったからと言って直ちに心理的負荷が「強」となるわけではなく、
その出来事自体や継続性、事後の対応、生じるに至った経緯などから総合的に判断されるので、これはあくまでも例示となります。

カスタマーハラスメントについては厚生労働省の「パワーハラスメントの防止に関する指針」において、
労働者の相談に応じることや、被害者への配慮等をすることが望ましいとされており、
労災リスクを軽減させるためだけでなく、職場環境を良くすることにも繋がります。

カスタマーハラスメント対策リーフレット(厚生労働省)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/casuhara_leaflet6P.pdf
(斎藤)

精神障害の労災認定基準

2023.09.08.

令和5年9月、精神障害の労災認定基準が改正されました。

精神障害の労災保険給付請求件数は年々増加してきており、審査の迅速化や効率化を図る必要性が生じ、今回の改正となったようです。
基本的な認定要件と改正された点を確認します。

【精神障害の労災認定要件】(下記①~③いずれも満たす場合)
認知基準の対象となる精神障害を発病していること
  疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回改訂版(「ICD-10」)第Ⅴ章
  「精神及び行動の障害」に分類される精神障害であって
   器質性のもの及び有害物質に起因するものを除きます。
  また、心身症は認定基準対象の精神障害に含まれません。
認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること  
   ・発病前概ね6ヶ月の間に起きた業務による出来事を
    「業務による心理的負荷評価表」にあてはめて判断します。   
   ◇こちらのリンク◇後半の別表1に、心理的負荷評価表がございます。
  ・「業務による心理的負荷評価表」による「特別な出来事」に該当する
   業務起因の出来事があれば心理的負荷の総合評価を「強」とし
   それ以外の出来事についてはこの表の「具体的出来事」に当てはめ
   総合評価します。
業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

【今回改正された点】
1️⃣業務による心理的負荷評価表の見直し
  ・具体的出来事にカスタマーハラスメントや
   感染症等の病気や事故の危険性が高い業務への従事を追加など
  ・パワハラ6類型全ての具体例、性的指向・性自認に関する精神的攻撃等を
   含むことや、一部しか示されていなかった具体例を明記
2️⃣精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
  ・悪化前おおむね6ヶ月以内に「特別な出来事」がなくとも
   「業務による強い心理的負荷」により悪化した場合、悪化部分について認定可能に
3️⃣医学意見の収集方法を効率化
  ・専門医3名の合議により決定していた事案について
   特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更

「業務による心理的負荷評価表」の具体例が増えました。この表をひと通り確認すると参考になります。

(前田)

アウティングとハラスメント防止措置

2023.08.18.

上司に同意なく性的指向を暴露された(アウティング)ケースで、
その後発症した精神疾患について労災として認定されました。
アウティングを巡る労災認定は全国初とも報道されています。

(NHK NEWS WEB)”アウティング”後に精神疾患 初の労災認定か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230724/k10014140411000.html

事業主にはパワーハラスメントの防止措置が義務付けられており、
その指針では代表的な言動の類型と具体例が挙げられています。
アウティングに関する類型と具体例は次のとおりです。

■精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
具体例:人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認
に関する侮辱的な言動を行うことを含む。

■個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
具体例:労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、
当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。

(パワハラ措置指針)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf

情報の暴露は取り返しがつかないですし、
その内容が機微なものであれば
影響は広く重いものとなるでしょう。

捉え方は一様ではありませんが、
性的指向の暴露が肯定される場面はないのではないでしょうか。
「うっかり」「よかれと思って」などということがないよう
社員研修等実施していくことが重要です。

(藤代)

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