厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、
仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、
労災請求件数や「業務上疾病」と認定し労災保険給付を
決定した支給決定件数などを取りまとめています。
6月28日に令和5年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。
ポイントは下記のとおりです。
1)脳・心臓疾患に関する事案
・請求件数1,023件 前年度比220件増加
(うち死亡件数247件 前年度比29件増加)
・支給決定件数216件 前年度比22件増加
(うち死亡件数58件 前年度比4件増加)
2)精神障害に関する事案
・請求件数3,575件 前年度比892件増加
(うち未遂を含む自殺の件数212件 前年度比29件増加)
・支給決定件数883件 前年度比173件増加
(うち未遂を含む自殺の件数79件 前年度比12件増加)
精神障害の発病に関与したと考えられる事象として、
「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が
157件と一番多く、
続いて「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」111件、
「セクシュアルハラスメントを受けた」103件、
「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」100件
の順となっています。
脳・心臓疾患、精神障害とも、前年比で請求件数、支給決定件数も増え、
特に、精神障害に関する事案については、
昨年9月に精神障害の労災認定基準が改正された影響もあるかと思いますが、
5年連続で過去最高を更新しています。
厚生労働省:令和5年度「過労死等の労災補償状況」
労災認定は、精神的な苦痛による精神疾患が原因となっていることが想定されます。
健康的に仕事ができる環境を作っていくためにもメンタルヘルスケアが重要なカギとなっていると考えます。
(菊沢)