社労士コラム

労働条件

様々な育児休業の取得と社会保険料免除

2025.06.20.

育児休業を取得する人のうち特に男性は取得期間の長短など、
人により様々です。
育児休業と会社固有の特別休暇や年次有給休暇を組み合わせる
場合もありますし、複数回の取得も可能ですので
バリエーションは期間だけではありません。

ただ、社会保険料免除や雇用保険の給付金などの公的な支援は
育児介護休業法での育児休業を前提としていますので、
育児を理由とした休暇・休業の取得でも、公的支援は対象外となることも
あるので注意が必要です。

例外的な扱いもあり、社会保険料免除では、
育休と育休の間が所定休日や年次有給休暇である場合には、
社会保険料の免除上は、1つの育休期間として取り扱われます。

この取扱いは通知で明らかにされています。
(令和4年8月9日保保発0809第2号/年管管発0809第1号)

「被保険者が連続する2以上の育児休業等を取得する場合
(1の育児休業等終了日とその次の育児休業等開始日の間に、
当該被保険者が就業した日がない場合を含む。)における本制度の適用については、
その全部を1の育児休業等とみなすものであること。」

通知全体はこちらで確認ができます。
(健康保険、船員保険及び厚生年金保険の育児休業等期間中の保険料免除等の取扱いについて(通知)〔厚生年金保険法〕

様々な育児休業の取得に対しても適切な対応ができるよう注意しましょう。

(藤代)

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の閣議決定

2025.03.28.

3月14日に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出されました。

改正法案の概要としては、以下の通りです。
1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進【労働安全衛生法】
2.職場のメンタルヘルス対策の推進【労働安全衛生法】
3.化学物質による健康障害防止対策等の推進【労働安全衛生法、作業環境測定法】
4.機械等による労働災害の防止の促進等【労働安全衛生法】
5.高齢者の労働災害の防止の推進【労働安全衛生法】
労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要

このうち、2.職場のメンタルヘルス対策の推進として、
現在当分の間努力義務となているストレスチェックについて、
労働者数50人未満の事業場についても実施を義務化とする法律案となっています。

背景としては、50人未満の事業場でも精神障害の労災決定件数の増加があります。
厚生労働省が公表した令和5年度の「過労死等の労災補償状況」によると
精神障害に関する労災の支給決定件数は過去最多の883件となっており、
労働者のメンタルヘルス対策が喫緊の課題になっています。

50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までに十分な準備期間を確保するとされています。

今後の動向を注目したいと思います。
(菊沢)

高年齢者雇用確保措置の経過措置が終了します(2025年3月31日)

2025.03.21.

60歳で定年退職とし、60歳以降65歳までは有期の嘱託社員などとして
雇用を継続する、いわゆる定年再雇用制度においては、
希望する労働者全員を対象に65歳まで雇用を継続することが原則です。

高年齢者雇用安定法によるこの原則は2013(平成25)年4月からのものですが、
例外的に、経過措置として労使協定で雇用継続の基準を定めた場合には、
基準に達しない場合は60歳以降の雇用を継続しないことも
許容されていました。
「過去3年間の人事考課がB評価以上」などが雇用継続の基準例です。
経過措置は労働者の年齢に応じて段階的に終了し、
今年3月31日すべてが終了します。

これにより、基準によることなく、希望する労働者は65歳まで
雇用を継続することが義務となります。

雇用継続基準を運用していた場合は、
運用の変更と、就業規則の該当規定の削除や労使協定の
無効を確認するなどの対応が必要です。
段階的な経過措置の廃止ということで
影響は限定的であると思われますが、
適宜対応しておくことが適当でしょう。

なお、年金制度改革により厚生年金の支給開始年齢が段階的に
引き上げられていますが、今年4月から65歳開始となります。
継続雇用義務の終了年齢と年金支給開始年齢がともに65歳となります。

(藤代)

就業規則の本社一括届出

2025.03.07.

4月に向けて、就業規則の改定をされている会社が多いと思います。
10人以上の事業場で、就業規則を改定したときは、
就業規則を所轄労基署に届出する必要があります。

各地に支社・支店がある場合は、
就業規則を各支社の労働者代表の意見聴取をし、
各支社の所在地管轄の労基署に届ける必要がありますが、
本社の就業規則が他の支社にも適用される場合は、
本社の所在地の労基署に一括で届け出ることが可能です。
ただし、労働者代表の意見書は一括することはできず、
各支社で聴取して作成する必要があります。

電子申請で届け出る場合は、
「就業規則(変更)届(本社一括届出)」のフォームに入力し、
一括届出事業場一覧作成ツール(厚生労働省作成)により作成した
事業場一覧(CSV形式)と、各事業場の意見書・就業規則データを添付して、申請します。

36協定も同様に届出を本社一括で行うことができます。
ただし、協定事項のうち、労働保険番号、事業の種類、名称、所在地、
労働者数、協定成立日【以外】の項目がすべて同一の場合に、
一括届出が可能です。

また、電子申請の場合に限りますが、
1年単位の変形労働時間制や、専門業務型裁量労働制に関する協定届などについても、
本社で一括して届出することが可能です。
要件については、リーフレット11~12ページにまとめられています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000919894.pdf

(斎藤)

労働条件通知書や雇用契約書に必要項目はそろっていますか

2025.02.07.

3~4月は入社・退社が他の月よりも多く発生します。
有期雇用契約を結んでいる場合は更新の時期であることも
多いと思います。
文書で明示しなければならない労働条件は決まっています。
労働条件通知書や雇用契約書を使用する機会も増えますので
適切な内容となっているか確認しておきましょう。

■2024年4月の改正事項は反映できていますか。
次の項目が追加されています。
・入社後の就業場所の変更の範囲
・入社後の業務内容の変更の範囲
・(有期契約の場合)更新上限の有無
・(有期契約の場合)無期転換申込機会と無期転換後の労働条件

■パート又は有期雇用の場合に必要な項目は足りていますか
次の項目は無期フルタイムでは必須ではありませんがパートや有期では必須です。
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・雇用管理の改善等に関する相談窓口

■その他の必須事項に不足はないですか
・労働契約の期間
・有期契約の場合は更新の基準
・就業の場所(入社直後)
・業務内容(入社直後)
・始終業時刻、残業の有無、休憩、休日、休暇
・賃金の決定、計算、支払の方法、締切と支払期、昇給
・退職に関すること(解雇事由含む)

就業規則を引用する場合は条文番号等が正しいことの確認も必要です。
トラブル防止だけでなく会社と労働者の信頼関係の構築のためにも
是非適切な内容であることを確認しておきたいです。

厚生労働省「モデル労働条件通知書」に解説も掲載されています。

(藤代)

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