社労士コラム

労働条件

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 就業者の範囲

2025.01.10.

東京都では令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されますが、昨年12月に「指針(ガイドライン)」が公表されました。
カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)

条例では、カスタマー・ハラスメントは「①顧客等から就業者に対し、②その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、③就業環境を害するものをいう」と定義されています。
条例の禁止規定に違反した場合の罰則規定はありませんが、刑法等の法律に基づく罰則を受ける可能性はあります。

被害者となり得る就業者とは、有償・無償を問わず、都内で業務を行うすべての者を指すとされています。
企業・国の機関・地方公共団体で働く者、企業経営者、個人事業主、フリーランス、ボランティア活動に従事する者、インターンシップ生、PTA活動に従事する保護者、議員等が該当します。業務には社会的な活動も含まれるため、自治会等の防犯・清掃活動の従事者や生活困窮者を訪問する巡回相談員等も該当します。

都内とは、法人登記や開業届等により事務所・事業所が都の区域内であること、その他、都内で事業を行っている実態があることを意味するとされています。
一方、都内企業で勤務する会社員が都外でテレワークを行う場合や、都外のコールセンターで勤務する会社員が都内の事業者への問合せに電話で対応する場合等、都内以外で業務に従事する場合も事業との間に合理的関連性が認められる場合は、就業者に含まれます。

対象範囲が広いため、都内以外の事業者も条例を確認しておく必要があるでしょう。

(山田)

2社目の資金移動業者が指定されました(給与のデジタル払い)

2024.12.20.

今年8月にPayPay株式会社が初めて指定されたのに続き、
12月13日に株式会社リクルートMUFGビジネス社が指定されました。
同日時点でさらに2社が審査中です。

2023年4月に給与のデジタル払いのための法的な整備がされてから
1年以上が経過し、デジタル払いに欠かせない指定資金移動業者が
複数となりました。

給与のデジタル払いは、
従業員にとっては選択肢が広がりますのでメリットと言える一方で、
会社にとっては手続きや振込処理の面でハードルが高いのではと
考えていましたが、指定資金移動業者による具体的なサービスの内容も
確認できるようになりました。

振込処理では、全銀協フォーマットで対応可能です。
従業員が、指定資金移動業者が提供する口座情報を用意し会社に申し出る、
という銀行口座の場合と同様に取り扱えるようです。
資金移動業者からは振込手数料や利用条件などの情報も提供されていますので
導入のメリット・デメリットなど具体的に検討できる段になってきたように思います。

本コラムでは給与のデジタル払いについて、制度概要についても取り上げています。
こちら

(藤代)

身だしなみのルール

2024.10.11.

クールビズやウォームビズ、在宅勤務の増加などから
オフィスでの服装は多様になりました。

最近では、ファーストフード店がスタッフの髪色を自由化したり
スーパーがネイルやつけまつげを認めたといった
ニュースが続いています。

背景には深刻な人手不足が垣間見えますが
個々の価値観を尊重するという視点からすると
会社のイメージアップにつながったり
働く人のモチベーションアップにつながる効果もありそうです。

身だしなみについて、就業規則等の会社ルールで一定の制限を
することは可能ですが、身だしなみは本来は個人の自由です。
違反に対する懲戒処分となると慎重に検討する必要があります。

身だしなみのルールは、安全面、衛生面、効率面、
取引先や顧客への印象、社内秩序の維持など、
必要性から制限が作られたものと想像できますが、
その必要性は今も変わらないのか、
変えることで得られる効果はないのか、
改めて整理をする意義があるかもしれません。

(藤代)

10月1日以降の最低賃金確認

2024.09.20.

都道府県の令和6年度地域別最低賃金額がおおむね出揃ってまいりました。
(岩手、徳島は9月19日時点で未決定)
◇厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧◇

発効年月日は多くの都道府県で令和6年10月1日からとなっています。まだ確認されていない場合はご確認いただき、必要な場合給与額の見直しや時間給の引き上げを行いましょう。

月給者は最低賃金以上を支払っているかどうか、すぐには分かりにくい為、注意が必要です。

例えば、東京都で 月平均の所定労働時間が168時間 だった場合、本年10月1日以降は月額195,384円(通勤交通費、残業代等は含めない)以上の支払が必要となります。

詳しい確認ツールも公開されておりますので、こちらでご確認頂くと安心です。
◇最低賃金に関するセルフチェックシート◇

年々上がる最低賃金。毎年忘れず確認しましょう。
(前田)

賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)

2024.09.13.

厚生労働省から、賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)が公表されています。

令和5年の結果は以下のとおりです。
・件数    :21,349件(前年比818件増)
・対象労働者数:181,903人(同2,260人増)
・金額    :101億9,353万円(同19億2,963万円減)

是正事例では、割増賃金が適正に支払われていなかったケースや労働時間が適正に把握されていなかったケースが紹介されています。

・月60時間超に対する割増賃金率は50%以上である必要があります。
・①~⑦以外の賃金は、割増賃金の基礎に算入しなければなりません。
①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
・固定残業代は、就業規則等にて通常の労働時間と割増賃金にあたる部分を判別できるようにしておき、実際の労働時間が固定残業代分を上回った場合は差額支給が必要です。
・労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、制服に着替える時間や業務終了後の清掃時間等も労働時間に該当します。
・労働時間の適正な把握のため、労働日ごとの始業・終業時刻の適正な記録が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html

(山田)

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