社労士コラム

労働条件

10月1日以降の最低賃金確認

2024.09.20.

都道府県の令和6年度地域別最低賃金額がおおむね出揃ってまいりました。
(岩手、徳島は9月19日時点で未決定)
◇厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧◇

発効年月日は多くの都道府県で令和6年10月1日からとなっています。まだ確認されていない場合はご確認いただき、必要な場合給与額の見直しや時間給の引き上げを行いましょう。

月給者は最低賃金以上を支払っているかどうか、すぐには分かりにくい為、注意が必要です。

例えば、東京都で 月平均の所定労働時間が168時間 だった場合、本年10月1日以降は月額195,384円(通勤交通費、残業代等は含めない)以上の支払が必要となります。

詳しい確認ツールも公開されておりますので、こちらでご確認頂くと安心です。
◇最低賃金に関するセルフチェックシート◇

年々上がる最低賃金。毎年忘れず確認しましょう。
(前田)

賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)

2024.09.13.

厚生労働省から、賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和5年)が公表されています。

令和5年の結果は以下のとおりです。
・件数    :21,349件(前年比818件増)
・対象労働者数:181,903人(同2,260人増)
・金額    :101億9,353万円(同19億2,963万円減)

是正事例では、割増賃金が適正に支払われていなかったケースや労働時間が適正に把握されていなかったケースが紹介されています。

・月60時間超に対する割増賃金率は50%以上である必要があります。
・①~⑦以外の賃金は、割増賃金の基礎に算入しなければなりません。
①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
・固定残業代は、就業規則等にて通常の労働時間と割増賃金にあたる部分を判別できるようにしておき、実際の労働時間が固定残業代分を上回った場合は差額支給が必要です。
・労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、制服に着替える時間や業務終了後の清掃時間等も労働時間に該当します。
・労働時間の適正な把握のため、労働日ごとの始業・終業時刻の適正な記録が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html

(山田)

賃金のデジタル払いの資金移動業者の指定が行われました

2024.08.23.

2023年4月より認められた賃金のデジタル払いですが、
デジタル払いを行うための資金移動業者(○○ペイなど)は、
厚生労働大臣の指定を受けた事業者である必要がありました。
事業者についての審査が行われており、
8月に資金移動業者の指定が行われました。

賃金のデジタル払いの導入には、
労働者代表との労使協定の締結と本人の同意を得ることが必要になり、
今回の資金移動業者の指定に際し、厚生労働省では労使協定の様式例が公開されました。
導入の流れとしては、下記となります。
・資金移動業者の確認、導入するサービスの検討
・労使協定の締結等
労使協定例はこちら
・労働者への説明
・労働者の個別同意取得
同意書例はこちら
・賃金支払いの事務処理の確認・実施

新たに企業向けのリーフレットも公開されており、
導入の流れの詳細が確認できます。

現在審査中の資金移動業者もあり、
今後利用できる資金移動業者の数も増えていく見込みです。

(斎藤)

令和5年度の監督指導結果を公表

2024.08.15.

厚生労働省は、7/25付のプレスリリースにて
「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」をとりまとめ公表しました。
(令和5年4月から令和6年3月までに実施)

発表によると、
・各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり 80 時間を超えていると考えられる事業場
・長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場
等、26,117事業場を対象として監督指導を行い、
そのうち11,610事業場(44.5%)で違法な時間外労働を確認し、指導を行ったとのことです。

その他の違反内容としては
・過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場が5,848事業場(22.4%)
・賃金不払残業が見られたのが1,821事業場(7.0%)
と続きます。

また、11 月には「過重労働解消キャンペーン」を実施し、
期間中は重点的な監督指導を行うことと発表しています。

実際のプレスリリースには、詳細な集計結果や指導事例、
長時間労働削減のための取り組み例などがまとめてありますので
労働時間管理の参考にされるとよいでしょう。

厚生労働省 「長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します」

(高村)

育児休業給付金の延長手続き時に必要となる書類が追加されます

2024.07.05.

来年4月1日以降に1歳となる子から、
育児休業給付金の延長手続き時に必要となる書類が追加されます。
7月に入り厚生労働省ホームページにも情報が掲載されました。
こちら

子が1歳までの育児休業中は
原則として雇用保険から給付金が支給されますが、
1歳以降は保育所利用ができない場合などに限られています。

1歳以降の期間について給付金を申請するには、
保育所利用ができないことの確認として
「保育所入所保留通知書」が必要ですが、
これに加えて
「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」と
「(市区町村への)保育所利用申込書の写し」の2点が必要になります。

この変更の背景には、保育所入所意思がないにもかかわらず
育児休業給付のために申し込みを行う場合があり
保育所利用を調整する市区町村の負担となっている実態があります。

実務上、保育所利用の申込を失念していたがどうしたらよいか、
申込期限を確認していなかったために期限を過ぎてしまったがどうしたらよいか、
子供を預ける先がなく延長せざるを得ないが給付金がないのは困る、
といった相談がされることがあります。

この変更はすでに育休を取得している人にも影響があります。
これから育休を取得する人だけだなく、育休中の人に対しても
復帰のための準備は早めに確実に行うことや、
延長の場合の要件や必要書類について
最新の情報を適切に伝えておくことが必要でしょう。
(藤代)

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