社労士コラム

労働条件

労働者名簿

2025.11.28.

労働者名簿は、労働基準法により調整し必須事項を記入することが定められていますが、労働基準監督官の監督指導等にて記載漏れ等の指摘を受けることがありますので、法令でどのように定められているのか、おさらいします。

①会社単位ではなく事業場単位で作成します。事業場が複数ある会社は、それぞれの事業場で作成が必要です。

②日雇労働者を除き、すべての労働者が作成の対象です。

③必須事項は以下のとおりです。
・氏名
・生年月日
・履歴
 ※最終学歴や主な職歴(期間と業務)について記載
・性別
・住所
・従事する業務の種類(労働者が常時30人未満の事業は不要)
・雇入れの年月日
・解雇または退職の年月日とその事由
・死亡の年月日とその原因

④変更があった場合は、遅滞なく訂正します。

⑤縦書きや横書き等、様式は限定されておらず、直ぐに写しが提出できる状態であればデータで管理することも可能です。

⑥退職の日から起算して3年間(法令により5年間のところ、当分の間は3年間)保存が必要です。

年次有給休暇管理簿・労働者名簿・賃金台帳を併せて調整することも認められています。

管理監督者や副業・兼業の労働者等が漏れている、履歴や退職者情報等が漏れている、情報が更新されていない、保存期限の到達前に破棄してしまっているといったことがありますので、再確認していただくと良いと思います。

(山田)

懲戒処分を行うためには

2025.11.07.

無断欠勤の繰り返しやハラスメントなど、職場の秩序を乱す問題行為があった場合、秩序維持のため懲戒処分が行われることがあります。
しかし適正に行わなければ処分が無効になる場合があります。
有効な懲戒処分とするために知っておきたい基本の要件を、2つの条文とともにみてみましょう。

(1)就業規則に定めがあること
労働基準法第89条は就業規則の作成及び届出の義務について記載されていますが、
89条9号には「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」との記載があります。処分をするためには、まずは就業規則に定めをおく必要がある、ということを押さえておきましょう。
例えば、懲戒処分には「けん責(始末書を提出させて将来を戒める)」や「減給(賃金から一定額を差し引く)」など問題行為の重さによって段階的な種類がありますが、
「降格」という種類の処分が定められていない事業場では、懲戒処分としての降格はできません。なお、就業規則は周知義務がありますので規定があるだけでなく周知されていることで有効となります。
また、どのような行為に対してどんな罰が与えられるかはあらかじめ定めがなければならないという考え方(罪刑法定主義の原則)から、懲戒の事由も定める必要があります。これは例えば、「正当な理由なく無断欠勤が7日以上に及んだとき」等の内容を指します。

(2)懲戒権の濫用でないこと
労働契約法第15条には「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」とあります。
行為と罰の釣り合いがとれていることが必要で、例えば遅刻1回で懲戒解雇、などは明らかに釣り合いが取れていないといえます。こうした処分は就業規則に規定されていても、懲戒権の濫用として無効となります。
他にも、処分の理由を伝えて本人に充分な弁明の機会を与えることや、対象者によって処分の重さを変えないことも、濫用とされないために大切です。

懲戒処分は従業員へ与える影響も大きく、慎重に行わなければなりません。
かといって業務上の注意や指導で改善しないまま問題行為を放置しておくと、他の従業員のモチベーションが下がるなどの悪影響が考えられます。
懲戒処分を行うような事態など起こらないに越したことはありませんが、就業規則を見直し、いま一度どのような懲戒処分が規定されているか、行為と罰の釣り合いがとれているか、実際の運用に足る内容かどうか確認しておくと、いざというときに慌てずに対処できるでしょう。

(遠藤)

令和7年度の最低賃金

2025.09.22.

令和7年度の最低賃金について
すべての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされ、
厚生労働省が結果を取りまとめ、公表しました。

それによると、最高額は東京都の1,226円(引上げ額64円)、
最低額は高知県・宮崎県・沖縄県の1,023円(引上げ額はいずれも71円)で、
最高額に対する最低額の比率(83.4%)は改善されました。

この後手続きを経て令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に
都道府県ごとに発効となります。
発効の時期は最大で6か月異なりますので注意が必要です。

過去最高とも言われる上げ幅ですが、
「賃上げ支援助成金パッケージ」として
各種助成金が用意されています。
単に賃金額を引き上げるだけでなく
生産性向上に資する計画や、労働時間削減の取組計画が必要など
各助成金によって要件があります。
申請集中のため時間に余裕を持った提出が呼びかけられてもいますので
対応はに早めに取り組む必要がありそうです。

最低賃金の大幅な上昇が続いています。
一部の助成金の要件にもなっていますが
生産性の向上には労使ともに、また各労働者レベルで
本気で取り組む必要性を強く感じます。

各情報はこちらから確認することができます。
すべての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました(厚生労働省
「賃上げ」支援助成金パッケージ(厚生労働省)

(藤代)

教育訓練休暇給付金(令和7年10月~)

2025.09.05.

令和7年10月から教育訓練休暇給付金が新設されます。

「教育訓練休暇給付金」は、労働者が自発的に教育訓練を受けるために休暇を取得した場合、
雇用保険から失業等給付の基本手当相当の給付を行う制度です。

□給付金の対象となる休暇
・就業規則等に規定された制度に基づく休暇であること
・労働者本人が教育訓練を受講するため「自発的に」取得することを希望し、
会社の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇であること
・学校教育法に基づく大学・大学院などが提供する教育訓練や、
教育訓練給付金の指定講座を実施している法人が提供する教育訓練を受けるための休暇であること

□被保険者の要件
・休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
・休暇開始前に5年以上雇用保険に加入していた期間があること

□手続きの流れ
①休暇開始から10日以内に会社からハローワークへ
「教育訓練休暇開始時賃金月額証明書」を提出。(休暇制度が規定されている就業規則等を添付)
②ハローワークから会社へ賃金月額証明票・教育訓練休暇給付金支給申請書が交付されるので、労働者に交付。
③②で受け取った書類に記載して本人からハローワークへ提出。
以降、30日ごとに本人が手続き、ハローワークで審査・支給決定。

注意点としては、就業規則等に教育訓練を目的とした休暇制度が規定されていることが前提となることや、
あくまで労働者が教育訓練休暇を自主的に希望した場合を想定しているので、
会社の業務命令で資格を取得させたい場合には受給できません。
会社からの案内がきっかけでも、労働者本人の意思で休暇取得を希望した場合は対象となります。
また、教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合、被保険者期間はリセットされるので、
一定期間は失業等給付が受け取れないことが発生します。

社内での問い合わせに備え、リーフレットをご確認いただくとよいと思います。

リーフレット(詳細版)
https://www.mhlw.go.jp/content/001543278.pdf

(斎藤)

仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール

2025.08.22.

育児・介護休業法の改正により、令和7年4月から事業主には、社員の仕事と介護の両立支援の実施が義務付けられています。

その中の次の3点について、厚生労働省から実務的な支援ツールが公表されています。
・介護離職防止のための雇用環境整備
・両立支援制度等の早期(40歳)の情報提供
・介護に直面した労働者への個別の制度周知・意向確認
企業・有識者等のヒアリングや研究会の議論等を基に、取り組みの意義や各取り組みのポイント、具体的な対応方法がまとめられています。
早期の情報提供用の配布資料や相談を受けた際の面談シート等のツールも用意されていて、自社用にカスタマイズして使用することができます。
これから準備する場合だけでなく、自社の取り組みの見直し用としても、利用可能です。

なお、弊所では雇用環境整備の選択措置(研修の実施、相談窓口の設置、事例の収集・提供、利用促進に関する方針の周知)の1つである研修や、介護に直面した労働者への個別説明・意向確認を行う介護支援面談サービスを行っています。

企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール

(山田)

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