社労士コラム

労働条件

就業規則の本社一括届出

2025.03.07.

4月に向けて、就業規則の改定をされている会社が多いと思います。
10人以上の事業場で、就業規則を改定したときは、
就業規則を所轄労基署に届出する必要があります。

各地に支社・支店がある場合は、
就業規則を各支社の労働者代表の意見聴取をし、
各支社の所在地管轄の労基署に届ける必要がありますが、
本社の就業規則が他の支社にも適用される場合は、
本社の所在地の労基署に一括で届け出ることが可能です。
ただし、労働者代表の意見書は一括することはできず、
各支社で聴取して作成する必要があります。

電子申請で届け出る場合は、
「就業規則(変更)届(本社一括届出)」のフォームに入力し、
一括届出事業場一覧作成ツール(厚生労働省作成)により作成した
事業場一覧(CSV形式)と、各事業場の意見書・就業規則データを添付して、申請します。

36協定も同様に届出を本社一括で行うことができます。
ただし、協定事項のうち、労働保険番号、事業の種類、名称、所在地、
労働者数、協定成立日【以外】の項目がすべて同一の場合に、
一括届出が可能です。

また、電子申請の場合に限りますが、
1年単位の変形労働時間制や、専門業務型裁量労働制に関する協定届などについても、
本社で一括して届出することが可能です。
要件については、リーフレット11~12ページにまとめられています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000919894.pdf

(斎藤)

労働条件通知書や雇用契約書に必要項目はそろっていますか

2025.02.07.

3~4月は入社・退社が他の月よりも多く発生します。
有期雇用契約を結んでいる場合は更新の時期であることも
多いと思います。
文書で明示しなければならない労働条件は決まっています。
労働条件通知書や雇用契約書を使用する機会も増えますので
適切な内容となっているか確認しておきましょう。

■2024年4月の改正事項は反映できていますか。
次の項目が追加されています。
・入社後の就業場所の変更の範囲
・入社後の業務内容の変更の範囲
・(有期契約の場合)更新上限の有無
・(有期契約の場合)無期転換申込機会と無期転換後の労働条件

■パート又は有期雇用の場合に必要な項目は足りていますか
次の項目は無期フルタイムでは必須ではありませんがパートや有期では必須です。
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・雇用管理の改善等に関する相談窓口

■その他の必須事項に不足はないですか
・労働契約の期間
・有期契約の場合は更新の基準
・就業の場所(入社直後)
・業務内容(入社直後)
・始終業時刻、残業の有無、休憩、休日、休暇
・賃金の決定、計算、支払の方法、締切と支払期、昇給
・退職に関すること(解雇事由含む)

就業規則を引用する場合は条文番号等が正しいことの確認も必要です。
トラブル防止だけでなく会社と労働者の信頼関係の構築のためにも
是非適切な内容であることを確認しておきたいです。

厚生労働省「モデル労働条件通知書」に解説も掲載されています。

(藤代)

高年齢雇用継続給付の支給率変更(令和7年4月~)

2025.01.23.

令和2年の雇用保険法の改正により、
高年齢雇用継続給付の支給率が
令和7年4月から変更となります。

現在は、60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、
75%未満に低下した状態で働き続ける場合に、
支払われた賃金額の最大15%の支給となっています。

改正では、60歳に達した日が
令和7年3月31日までの方は従来の支給率15%、
令和7年4月1日以降の方は、10%に縮小します。
ですので、現在支給を受けている方の支給率は15%のままです。

60歳に達した時に雇用保険被保険者であった期間が5年以上ない方は、
その時点では高年齢雇用継続給付の受給要件を満たさないため、
上記の「60歳に達した日」を、
その期間が5年を満たすこととなった日と読み替えます。

また、現在は支払われた賃金の低下率が、
61%超~75%未満の場合、
低下率に応じて15%から徐々に支給率が下がりますが、
令和7年4月からは、低下率が64%超~75%未満の場合、
低下率に応じて10%から徐々に支給率が下がります。

詳しくは、リーフレット2ページ目に一覧表があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/001328827.pdf

高年齢雇用継続給付金の支給率が低下すると、
60歳以上の方の受け取る給付額は少なくなります。
会社が、60歳以上の方の収入減を改善する為、
賃金を増額改定する場合は、活用できる助成金もありますので、
詳細はリーフレットを確認ください。

高年齢労働者処遇改善促進助成金
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001082079.pdf
(斎藤)

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 就業者の範囲

2025.01.10.

東京都では令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されますが、昨年12月に「指針(ガイドライン)」が公表されました。
カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)

条例では、カスタマー・ハラスメントは「①顧客等から就業者に対し、②その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、③就業環境を害するものをいう」と定義されています。
条例の禁止規定に違反した場合の罰則規定はありませんが、刑法等の法律に基づく罰則を受ける可能性はあります。

被害者となり得る就業者とは、有償・無償を問わず、都内で業務を行うすべての者を指すとされています。
企業・国の機関・地方公共団体で働く者、企業経営者、個人事業主、フリーランス、ボランティア活動に従事する者、インターンシップ生、PTA活動に従事する保護者、議員等が該当します。業務には社会的な活動も含まれるため、自治会等の防犯・清掃活動の従事者や生活困窮者を訪問する巡回相談員等も該当します。

都内とは、法人登記や開業届等により事務所・事業所が都の区域内であること、その他、都内で事業を行っている実態があることを意味するとされています。
一方、都内企業で勤務する会社員が都外でテレワークを行う場合や、都外のコールセンターで勤務する会社員が都内の事業者への問合せに電話で対応する場合等、都内以外で業務に従事する場合も事業との間に合理的関連性が認められる場合は、就業者に含まれます。

対象範囲が広いため、都内以外の事業者も条例を確認しておく必要があるでしょう。

(山田)

2社目の資金移動業者が指定されました(給与のデジタル払い)

2024.12.20.

今年8月にPayPay株式会社が初めて指定されたのに続き、
12月13日に株式会社リクルートMUFGビジネス社が指定されました。
同日時点でさらに2社が審査中です。

2023年4月に給与のデジタル払いのための法的な整備がされてから
1年以上が経過し、デジタル払いに欠かせない指定資金移動業者が
複数となりました。

給与のデジタル払いは、
従業員にとっては選択肢が広がりますのでメリットと言える一方で、
会社にとっては手続きや振込処理の面でハードルが高いのではと
考えていましたが、指定資金移動業者による具体的なサービスの内容も
確認できるようになりました。

振込処理では、全銀協フォーマットで対応可能です。
従業員が、指定資金移動業者が提供する口座情報を用意し会社に申し出る、
という銀行口座の場合と同様に取り扱えるようです。
資金移動業者からは振込手数料や利用条件などの情報も提供されていますので
導入のメリット・デメリットなど具体的に検討できる段になってきたように思います。

本コラムでは給与のデジタル払いについて、制度概要についても取り上げています。
こちら

(藤代)

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