社労士コラム

2021年06月

改正 育児・介護休業法のポイント②

2021.06.28.

引き続き、令和3年6月に改正された育児・介護休業法の主な内容を解説します。
前回の記事はこちらをご参照ください。
「改正 育児・介護休養法のポイント①」

4.育児休業取得状況の公表を義務化
常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況についての公表が義務付けられます。
施行日は令和5年4月1日とされています。

5.有期雇用労働者の取得制限の撤廃
有期雇用労働者の育児休業および介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件が廃止されます。
ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することができます。
施行日は令和4年4月1日です。

育児・介護休業法の主な改正ポイントは以上5つになりますが
この改正に伴って、雇用保険法も以下2点について見直される予定です。

①育児休業の分割取得に対応した育児休業給付の規定を整備する
②出産日のタイミングによって受給要件を満たさなくなるケースを解消するため、被保険者期間の計算の起算点に関する特例を設ける

施行日は、①は公布から1年6か月以内、②については3か月以内で政令で定める日とされています。
給付に関することは労働者の関心も高い部分ですので、正確な情報を把握・発信することが望まれます。
今後の情報に注目しましょう。

参考:厚生労働省 育児・介護休業法について

(高村)

休日の振替と代休について

2021.06.25.

休日労働時に休日を与える際には、「休日の振替」と「代休」、2つの方法があります。
似たような仕組みで違いが分かりにくいところがありますので、それぞれご案内します。

①休日の振替

休日として定められていた日を労働日とし、他の労働日を休日にする場合をいいます。休日に労働させる前に、振り替える休日を決めておく必要があります。
また、労働基準法に基づき、毎週少なくとも1回(就業規則等で変形休日制を定めている場合は、4週間を通じ4日以上)休日を確保しなければなりません。

休日の振替の場合は、元々の休日は労働日となりますので休日労働にはあたらず、休日労働に対する割増賃金(35%以上)の支払いは発生しません。
ただし、週の法定労働時間(40時間)を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金(25%以上)の支払いが必要です。

 

②代休

休日労働をさせた後に、休日労働の代償として他の労働日を休日にする場合をいいます。

後から休ませるとしても、既に休日労働をさせていますので、割増賃金の支払いが発生します。
休日労働させた日が法定休日の場合は、休日労働に対する割増賃金(35%以上)の支払いが必要です。

法定休日以外の休日の場合は、休日の振替と同様、週の法定労働時間(40時間)を超えた場合に、時間外労働に対する割増賃金(25%以上)の支払いが必要です。

なお、休日労働分として支払った賃金(135%または125%)のうち、代休を与えた分(100%)を後から控除し、最終的に割増賃金分のみ(35%または25%)を支払うことも可能です。トラブル防止のため、就業規則等に定めておくことが望ましいです。

 

休日の振替・代休は、どちらも就業規則や雇入通知書に明記しておかなければなりません。

社内で振休という言葉を使っていても、実際には代休だったということもあります。
あらかじめ休日にする日を決めておくのが「休日の振替」
休日労働した後に休日を決めるのが「代休」
ですので、間違えないように注意しましょう。

(山田)

改正 育児・介護休業法のポイント①

2021.06.25.

令和3年6月に育児・介護休業法が改正されました。
主な内容や施行時期などについて、2回に分けて解説します。

1.産後8週間以内に取得できる新たな育児休業の枠組みを創設
子の出生後8週間以内に、4週間まで取得することができる育児休業の枠組みを創設します。
メディアなどで「男性産休」と称されることもあり、注目されている部分です。
この新たな枠組みの休業については、
①休業の申し出期限は2週間前まで(現行は1か月前まで)
②分割して2回まで取得できる(現行は原則1回のみ)
③休業中に就業できる(現行では原則就業不可。労使協定の締結および個別に労使間の合意が必要)
といった柔軟な対応が可能となっています。

2.育児休業取得を円滑にするための雇用環境の整備、および育児休業に関する情報の周知、取得意向確認の義務化
①育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
②妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して、事業主から個別の制度周知および休業の取得意向の確認のための措置
以上2点を講ずることが事業主に義務付けられます。
①の具体的な内容は、いくつかの選択肢から選んで実施することになる予定とされています。
②についても、周知の方法は選択肢から選んで実施すること、
また、育児休業の取得を控えさせるような形での周知及び意向確認を認めないことを指針において示す予定、とされています。
こちらは施行日が令和4年4月1日と決定しており、1年を切っていますので
今後の動向をよく確認し、特に早めの検討が必要な部分といえます。

3.育児休業の分割取得が可能に
現行では、育児休業は1人の子に対して原則1回しか取得できませんが
上記の1.の休業とは別に、分割して2回まで取得できるようになります。
また、1歳以降に延長する場合の育休開始日が柔軟化され、
夫婦間での休業の交代が、期間の途中からでも可能になります。
(現行は、1歳~1歳半、1歳半~2歳の各期間の初日でないと交代不可)

1.と3.については1年6か月以内に施行予定とされています。
育児休業の取得状況の管理が煩雑になることが予測されますので、
早めに対応を検討されるのがよいでしょう。

参考:厚生労働省 育児・介護休業法について

(高村)

事実婚の場合の社保加入について

2021.06.18.

昨今ではライフスタイルが多様化し、また手続きの煩雑さなどからも
婚姻届を提出せずに同居生活を営むという「事実婚」を選択する人も
増えています。

事実婚の場合、パートナーが死亡しても法定相続人になれないといったように、
法律上の婚姻関係がある場合と異なる取り扱いとなることもありますが、
社会保険に関しては事実婚であってもその実態が重視され、
被扶養者になることが可能です。

被扶養者異動届を提出する際(協会けんぽの場合)には、
添付書類として以下のものが必要となります。

①被保険者・被扶養者の戸籍謄本(抄本)・・・・重婚確認のため

②被保険者の住民票(配偶者が出ているもの、マイナンバーないもの、続柄の記載があるもの)・・同一世帯確認のため
  ※同居していない場合は、本人及び配偶者それぞれの住民票のほか、
   仕送りをしていることの証明が必要となります。
  ※法律婚の場合は、届出書へのマイナンバーの記載+事業主が続柄を
   確認したことの証明で添付書類を省略することができますが、
   事実婚の場合は、①②の書類では事業主が続柄を確認できないこともあり、
   その場合は添付を省略することができないので注意が必要です。

③課税(非課税)証明書等・・・収入確認のため
  ※事実婚の場合は税法上の扶養にはなれないので、事業主が証明することによる
   添付書類の省略はできません。
 
法律婚の場合と異なる取り扱いになる部分もありますので、実態を確認の上、
もれのないように準備を進めていくとよいでしょう。

(参考)日本年金機構 健康保険被扶養者(異動)届

(金子)

退職後の健康保険

2021.06.11.

健康保険については、退職後すぐに再就職が決まっている場合は、
転職先で健康保険に加入することになるので問題ありませんが
それ以外の場合は、
1.任意継続健康保険、2.国民健康保険、3.ご家族の健康保険(被扶養者)の
いずれかに加入する手続きが必要です。

1.任意継続健康保険
加入していた健康保険で手続き
【参考:協会けんぽ 健康保険任意継続制度】

2.国民健康保険 
住所地の市区町村で手続き
【参考:東京都福祉保健局 国民健康保険のあらまし】

3.家族の健康保険(被扶養者)
家族が加入する健康保険で手続き
※扶養要件に該当する場合に加入できます

なお、任意継続健康保険については、
全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律が
可決され、2022年1月1日施行予定で
被保険者からの申請による資格喪失が可能となります。

現状では次のいずれかの事由に該当する以外、
任意の申出により途中でやめることはできません。
•再就職で他の医療保険の被保険者となった場合
•保険料を期限まで納めなかった場合
•後期高齢者医療制度の被保険者となった場合
•任意継続の被保険者が死亡した場合

国民健康保険に加入する場合は、本人が資格喪失後14日以内に各市町村で手続きを、
また任意継続の被保険者となる場合には
資格喪失後20日以内に本人が資格取得の申請をしなければならないため、
しっかり説明しておきましょう。
詳細をリストにして手渡すのもオススメです。
(菊沢)

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