社労士コラム

2023年01月

2023年(令和5年)度以降の障害者雇用率

2023.01.27.

障害者の働く場を確保するため障害者雇用促進法では、企業に対し、
従業員に占める障害者の割合を一定以上とすることを義務づけていて、
現在の障害者雇用率は2.3%となっています。

障害者雇用率は、5年毎に労働状況やその割合の推移を考え、
設定されることが障害者雇用促進法で定められており、
令和5年度からの雇用率が改定されることが予定されています。

1/18に開かれた労働政策審議会障害者雇用分科会で議論され、
令和5年度は障害者雇用率は据え置き、
令和6年4月1日に2.5%、令和8年度中に2.7%になるとされています。

正式にこの内容で決定した場合、
対象企業は現在の43.5人以上の従業員を雇用している企業から
2.5%の時点で従業員40人以上、2.7%では37.5人以上の企業になります。

雇用すべき人数の計算方法
(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率
※「常用労働者数」…1週間の労働時間が30時間以上
 「短時間労働者」…1週間の労働時間が20時間以上30時間未満

去年6月時点で企業で働く障害者は61万人余りと増え続けていますが、
雇用率を達成した企業は48%にとどまっています。
厚生労働省では障害者の雇用を増やす企業への助成金を
拡充するなどの対応も検討されています。

自社で障害のある方を何人雇用する義務があるのか、
まずは法定雇用障害者数を計算することから始めてみてはいかがでしょうか。
(菊沢)

高度プロフェッショナル制度はどのくらい利用されているか

2023.01.20.

高度プロフェッショナル制度は平成30年の働き方改革関連法により
新たに設けられた制度で、平成31年4月に施行されました。
制度導入の効果として時間にとらわれない柔軟な働き方が可能となる一方、
長時間労働や健康面の心配にどう対応していくかが課題です。

実際にこの制度はどのくらい利用されているでしょうか。
厚生労働省資料「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況(令和4年3月末時点)によると
制度の対象となっている対象労働者数665人で、
対象全5業種の内訳では多い順に
コンサルタントの業務(550人)、
ファンドマネージャー等の業務(78人)、
証券アナリストの業務(34人)、
新技術等研究開発の業務(3人)、
金融商品の開発の業務(0人)となっています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000621159.pdf

全雇用者数が約5,700万人(労働力調査より)であることからしても
僅かな人数と言えるでしょう。

制度導入の主な要件は次のとおりです。
・対象業務は省令で決められた上記5業種であること
・年収が1,075万円以上であること
・健康確保のため年間104日以上の休日の確保など一定の措置を実施すること
・労使委員会を設置し必要な決議をすること

制度の対象となりうる労働者も限られますので
利用が僅かであることも驚くべきことではないかもしれませんが
働き方の選択肢が増え、よりよいものを目指しての動きもある
ということが分かります。

(藤代)

人材開発支援助成金の改正

2023.01.13.

最近、リスキリングという言葉をよく耳にするようになりました。

リスキリングとは、経済産業省の資料では
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」としています。
経済産業省 第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会 資料2-2 石原委員プレゼンテーション資料

近年ではDX化に対応するための新たなスキル習得を指すことが多く、
すでに社員のDX研修などで、リスキリングを実施している企業もあります。

2022年12月に厚生労働省の人材開発支援助成金の内容が改正され、
社内でリスキリングを実施する際に活用できる可能性がありますので、ご紹介いたします。

今回の改正では、「事業展開等リスキリング支援コース」の創設と、
「人への投資促進コース」の内容の拡充が行われました。

□「事業展開等リスキリング支援コース」(2022年12月に新設)
企業の持続的発展のため、新製品の製造や新サービスの提供等により新たな分野に展開する、または、デジタル・グリーンといった成長分野の技術を取り入れ業務の効率化等を図るため、
① 既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成
② 業務の効率化や脱炭素化などに取り組むため、デジタル化・グリーン化に対応した人材の育成
に取り組む事業主を対象に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を高率助成により支援する制度です。

□「人への投資促進コース」
高度デジタル人材の育成のための訓練や大学院での訓練を行う事業主に対する高率助成、
サブスクリプション型の研修サービスによる訓練への助成、
労働者が自発的に受講した訓練費用を負担する事業主への助成などがあります。
12月の改正では、メニューに「高度デジタル人材訓練の支給対象訓練」の追加、
助成限度額の引き上げや定額制訓練の助成率の引き上げ及び対象訓練の緩和などが行われました。

コースやメニューごとに支給要件や助成率・限度額は異なりますので、詳細内容は下記をご確認ください。

人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)
人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)

(斎藤)

2023年4月1日~ 中小企業で月60時間超の残業割増率が50%に

2023.01.06.

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

1日8時間・1週40時間を超える労働時間が月60時間を超えた場合、
越えた分の時間外労働に対する賃金の割増率を、50%としなければなりません。
大企業ではすでに適用済みで、中小企業は猶予期間が設けられていましたが
2023年4月1日より、中小企業でも割増率50%が適用されます。

月60時間を超える時間外労働を深夜(22:00~5:00)の時間帯に行わせる場合、
深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。

また、月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれませんが、
それ以外の休日に行った労働時間は含まれます。
(法定休日の割増率は35%です)
60時間の算定をわかりやすくするため、法定休日を明らかにしておくのが望ましいとされています。

これに伴い、就業規則の割増率の規定も変更する必要が出てくる場合があります。
また、労使協定を締結することで、割増賃金を支払う代わりに代替休暇を付与することも可能です。

残業が多い事業所ではすでにご対応済みのことと思いますが
4月1日の適用前に再度ご確認くださいませ。

参考:厚生労働省パンフレット
・【中小企業の皆様へ】月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
・月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません

(高村)

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