社労士コラム

社会保険

マイナ保険証と健康保険証

2026.09.11.

健康保険証からマイナ保険証へ移行しましたが、
次の区分で整理してみたいと思います。

■経緯
2024(R6)年12月2日 従来の健康保険証発行停止
2025(R7)年12月1日 すべての健康保険証の有効期限
2025(R7)年12月2日 マイナ保険証利用義務化(原則として健康保険証の利用不可) 
2026(R8)年7月31日 健康保険証の例外的利用終了 

■健康保険の加入資格を証明するもの
(1)「マイナ保険証」
・健康保険証の利用登録がされたマイナンバーカード
・医療機関や薬局で提示することで健康保険の利用が可能

(2)「資格確認書」
・マイナ保険証を持っていない(マイナンバーカードの健康保険証
利用登録をしていない場合を含む)場合に、
医療機関や薬局で提示することで健康保険の利用が可能
・カード形状のもので、マイナ保険証を持っていない場合のほか
必要に応じて発行される(加入している健保組合による)

(3)「資格情報のお知らせ」(加入している健保組合によって
「資格情報通知書」など名称が異なることがある)
・入社や扶養追加など、新たにその健保組合で健康保険の
資格を取得した際に発行される書類(氏名変更時は発行されない)
・健康保険の各種給付金を申請する際に必要となる記号や番号
を確認することができる
・医療機関や薬局に提示しても、健康保険の利用はできない
・マイナ保険証に対応していない医療機関では、この書類と
マイナンバーカードの両方を提示することで健康保険の利用が可能

「マイナ保険証」のことを「健康保険証」と呼んだり
資格情報のお知らせは持っていないと思っていたが実は持っていたり
と、正確に使い分けらるようになるにはまだ時間がかかりそうです。
事務手続きをする際には、しっかり理解した上で
何のために何が必要なのか丁寧なコミュニケーションが必要と感じます。

(藤代)

療養・育児・介護と仕事を両立する方の標準報酬月額の特例措置

2026.08.13.

2027年1月から、「療養・育児・介護」と「仕事」を両立するために、時短勤務等の就労調整を行ったことで報酬が大幅に減少した場合の標準報酬月額の特例措置が開始されます。

通常の随時改定は固定的賃金の変動から3ヶ月経過後に判断しますが、特例措置は急減した月から標準報酬月額を改定できます。
具体的には、急減後の報酬総額を基にした標準報酬月額が従前より2等級以上低下し、かつ、その状態が3ヶ月以上続くことが見込まれる場合に、対象者が書面で同意することで申請ができます。随時改定と異なり、固定的賃金の変動は必要ありません。

注意点として
・対象者から書面による同意を得る必要があり、申請時にはその同意書を添付します。
・標準報酬月額が低下することにより社会保険料が低下しますが、将来受給する年金額や傷病手当金・出産手当金の支給額も減少となりますので、同意を得る際には対象者へ十分に説明する必要があります。
・申請時は、特例用の申請様式を使用します。
・就労調整が終了・縮小し、報酬増加後の総額を基にした標準報酬月額が2等級以上上昇した場合は、固定的賃金の変動に関わらず申請が必要で、報酬が増加した月から標準報酬月額が改定されます。通常の随時改定と申請時期が異なりますので、注意が必要です。

社内のチェックリストや対象者への案内文書へ追加する等、手続き漏れが無いように工夫すると良いでしょう。

療養、育児又は介護により報酬が急減した者についての健康保険法及び厚生年金保険法の標準報酬月額の保険者算定の特例について

(山田)

健康保険の高齢受給者

2026.06.19.

健康保険では、70歳以上74歳までの年齢の方は
「高齢受給者」となります。
(65歳以上で一定の要件により後期高齢者医療制度へ
加入している場合は除きます)

健康保険の自己負担割合は3割ですが、
高齢受給者は収入状況などにより、
現役並み所得者区分に該当する場合は3割負担、
一般区分に該当する場合は2割負担、です。

高齢受給者制度は会社で加入する健康保険でも
個人で加入する国民健康保険でも共通ですが、
以下は会社で加入している健康保険の場合です。

健康保険の加入者が70歳に達すると
マイナ保険証利用者には資格情報のお知らせが、
マイナ保険証を利用していない人には資格確認書が
交付され、負担割合も確認することができます。

負担割合は、標準報酬月額が28万以上の場合は3割(現役並み)、
28万円未満の場合は2割(一般)です。
随時改定や定時改定により標準報酬月額が28万円の前後で
変更する場合は負担割合も変更となり
資格情報のお知らせや資格確認書が改めて交付されます。

標準報酬月額が28万円以上(3割負担)でも
年収383万円未満の場合などは、申告により2割負担となります。
被扶養者がいる場合は被扶養者の年齢や収入も要件ですが、
これらは本人の申告手続きが必要です。

70歳以上で健康保険に加入している従業員に対しては
健康保険組合から会社を通じて資格情報のお知らせ等が
交付されますので、速やかに本人に渡す等確実に対応しましょう。

(藤代)

育児休業からの復職者が多い今こそ確認したい「養育特例」の手続

2026.06.12.

4月の保育園入園を経て、育児休業から職場復帰を迎える従業員は多く、この時期は人事労務担当者にとって休業明けの社会保険手続きが集中する時期です。
その中で見落とされやすいのが、3歳未満の子を養育する期間に標準報酬月額(給与の等級)が下がっても、将来受け取る年金額が下がらないようにする「厚生年金保険 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(養育特例)」です。時短勤務の選択や残業の減少によって給与が下がりやすい復職直後には、従業員の将来の安心を支える制度となります。
この手続きについて、日本年金機構は申出書に関する“不備・誤りの多い事例”を公表しています。よくある誤りとして、次のケースがあります。
●「養育特例開始年月日」に「子の生年月日」を誤記するケース
子どもが生まれた日ではなく、「実際に仕事を再開して養育が始まった日」(原則、休業終了日の翌日=復職日)を記入します。
●産前産後休業または育児休業が終了する前に提出してしまうケース
産前産後休業または育児休業等による保険料免除期間は本特例の対象外となるため、復職(休業終了)後に手続きを行います。

また、注意しておきたい点として本特例は自動適用ではなく「本人の申出」を受けて会社が申請するため、復職時の丁寧な案内が従業員の安心につながります。男女問わず利用できるほか、上の子が3歳になる前に次の子の養育を開始する場合、上の子の休業前に登録されていた等級が引き継がれる仕組みもあります。
復職後の手続きタスクに加えておくなどして、従業員への案内と手続きをスムーズに進められるように準備しましょう。
弊所では、社会保険・労働保険の手続きのアウトソーシングを通じて、企業の事務処理負担軽減をサポートしています。コチラをご覧ください。
(小林)

36協定の提出様式の種類と選び方

2026.05.01.

年度の切り替わり前後を36協定(時間外・休日労働に関する協定届)の見直し時期としている企業も多いと思います。
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(通称:働き方改革関連法)の施行で36協定のルールが整理され、36協定の様式は一般条項・特別条項に加えて業種別特例が整備され、以前より複雑になりました。
今回は様式の種類と選び方について整理します。

36協定の様式は3つの系統に分類されます
・一般条項(様式第9号)
・特別条項付き(様式第9号の2)
・業種別特例(建設・運転・医師・研究開発)

■一般条項(様式第9号)
時間外労働が月45時間かつ年360時間以内に収まる場合に使用する標準様式です。
【作成前の確認ポイント】
・時間外労働の上限時間を超えないか
・休日労働の有無
・対象労働者の範囲
・労働者代表の選出手続
(管理監督者は代表になれない、会社が指名してはならない、民主的な選出が必要)

■特別条項付き(様式第9号の2)
繁忙期など月45時間を超える、または年間で360時間を超える可能性がある場合に使用します。
※休日労働は時間外労働の上限時間(月45時間・年360時間)には含まれませんが、特別条項の上限規制(下記参照)には算入されます。
【作成前の確認ポイント】
・特別条項の発動要件(理由・手続・対象者など)を明確にする
・上限規制を遵守すること
年720時間以内、2~6か月平均80時間以内(休日労働含む)、月100時間未満(休日労働含む)、発動は年6回以内

■業種別特例(専用様式)
建設業・自動車運転・医師・研究開発など、上限規制に特例がある業務は専用様式を使用します。
•建設業:9号の3の2(一般)/3の3(特別)
•自動車運転:9号の3の4(一般)/3の5(特別)
•医師:9号の4(一般)/9号の5(特別)
•研究開発:9号の3

■提出様式を決めるときの考え方
①一般条項で足りるか
②特別条項が必要か
③業種別特例の対象か

締結に向けて、繁忙期の見込みや業務内容を早めに確認しましょう。
参考:厚生労働省 東京労働局「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
(小林)

 
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