社労士コラム

社会保険

傷病手当金の待機期間について

2024.06.28.

仕事以外が原因の病気やケガで仕事を休む場合であって
給与が支給されないとき、健康保険から傷病手当金が受けられますが、
受けられるのは、連続する3日間(待機期間)の後の
4日目以降の期間についてです。

この待機期間は連続している必要がありますが、
土日等の公休日や有給休暇利用日等も含み、
給与が発生していたかどうかは関係ありません。

待機期間は支給申請用紙に記載する「申請期間」から
カウントされますので、支給されない期間と分かっていても
申請用紙には待期期間を含めて記載することになります。

仕事の休みはじめは有給休暇を利用するケースも多いですが、
このような場合に意図せず有休利用日を除いた期間を
申請期間として記載していることがあります。

傷病手当金の申請者は休んだ本人ですので
本人の責任で記載するものではありますが、
状況に応じて適切に応じられるようにしておきたいです。

もし申請期間が意図せず短くなっていた場合には
追加で申請することも可能です。

(藤代)

育休終了後に行う社会保険手続き

2024.06.20.

育児休業(出生時育児休業を含む、以下同様)に伴う社会保険手続きの中から、今回は育児休業終了後に提出する書類をご案内します。

①育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届
手続き時期の目安:育休終了後
育休期間中の社会保険料免除を受けていた方が、当初届出ていた終了予定日よりも前に育休を終了した場合に提出します。
(終了日が当初の予定通りだった場合は、提出不要です)

育児休業等終了予定日前に育児休業等を終了したとき

②育児休業等終了時報酬月額変更届
手続き時期の目安:育休復帰月の3~4ヶ月目
育休から復帰した月から3ヶ月間(支払基礎日数が17日(短時間労働者は11日)未満の月は除く)の報酬の平均額から算出した標準報酬月額が、従前の標準報酬月額と1等級以上の差があった場合に、提出可能です。
(ご本人からの申出を受けて会社が手続きします)

育児休業等終了時報酬月額変更届の提出

③養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
手続時期の目安:子の出生後~(②と同時期に手続きを行うと管理しやすいと思います)
3歳未満の子の養育期間中に標準報酬月額が低下しても、将来受け取る年金額は低下する前の標準報酬月額に基づいて算出、支給されます。
実際に低下していなくても提出が可能なため、あらかじめ提出しておくと、低下したときの提出漏れの防止になります。
(ご本人からの申出を受けて会社が手続きします)

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

育休終了から手続き開始までに期間が空く手続きもありますので、事前に予定しておくと失念防止につながると思います。

(山田)

算定基礎届ガイドブック公表されました(社会保険適用促進手当)

2024.06.14.

6月給与が確定する頃ですが、7月は算定基礎届(定時決定)提出の時期です。
算定基礎届は7月1日に社会保険に加入している被保険者及び70歳以上被用者について
4月、5月、6月の報酬をもとに届出するものです。

日本年金機構から、算定基礎届事の記入・提出ガイドブック(令和6年度)が公表されました。
日本年金機構:算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和6年度)

今回、公表されたガイドブックには
いわゆる「年収の壁・支援強化パッケージ」で用意された、
社会保険適用促進手当の取り扱いについても記載されています。

社会保険適用促進手当は、
短時間労働者が新たに社会保険に加入するにあたり
事業主が労働者の保険料負担を軽減するために支給する場合の手当のことで、
保険料算定の基礎となる標準報酬月額の算定から除外されます。
・対象者
標準報酬月額10.4万円以下
・除外される手当の上限額
本人負担分の保険料相当額
・期間の上限
最大2年間

なお、本人負担分の保険料相当額を超えて手当を支払った場合でも、
除外されるのはあくまで本人負担分の保険料額となりますので、
超えた部分については標準報酬月額の算定に含まれますので、
届出時には注意が必要です。

算定基礎届事務説明動画も公表されていますので、こちらも内容確認しておくとよいでしょう。
令和6年度 算定基礎届事務説明【動画】
(菊沢)

社会保険適用拡大特設サイトリニューアルについて

2024.05.17.

本年10月から、厚生年金被保険者数51人以上の事業所は社会保険の適用対象が広がります。

現時点では、正社員の4分の3以上勤務の方が社会保険加入対象とされていますが
10月からは次の要件”全て”に該当する方も社会保険加入対象となります。
・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
・所定内賃金が88,000円以上
・2ヵ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

この適用拡大詳細については弊所コラムでも既にご案内しておりますが、実際の現場では「該当になりそうだがどう進めてよいかわからない」とお困りのご担当者様もいらっしゃる事と思います。

厚生労働省による社会保険適用拡大特設サイトが、先月大幅にリニューアルされましたのでご紹介いたします。
◇社会保険適用拡大特設サイト◇

従業員数のカウント方法、対象となる従業員の要件等の基本情報から、「対象となる従業員の把握方法例」や「社内周知までの流れ」「従業員への説明用チラシ」等、ステップに沿って資料や情報を確認できるようになっており、大変わかりやすく変更されていました。

まだ未対応のご担当者様はこちらをベースに進めると効率がよさそうです。
既に進めておられる場合も進め方の再確認に役立つのではないでしょうか。
まだ確認されていない場合は、一度ご確認頂くとよいかもしれません。

(前田)

雇用保険法改正法案

2024.05.02.

雇用保険の適用拡大を盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が
4月11日の衆議院本会議で可決されました。今国会で成立する見通しです。

改正の概要は以下の通りです。
・多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築
・「人への投資」の強化等のため、雇用保険の適用拡大
・教育訓練やリスキリング(学び直し)支援の充実
・育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置
<雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)(厚労省)> 概要

この中で、雇用保険の適用拡大について、雇用保険の被保険者加入要件のうち、
週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に
適用対象を拡大するというものです。
令和10年10月1日から施行される予定です。

これに伴い、基本手当の支給等に関する基準等について
原則的には現行の取扱いが維持されることになりますが、
失業等給付等の被保険者期間の算定基準の見直しが行われます。

離職日から2年間に被保険者期間が12ヶ月以上のうち、
「1ヶ月として被保険者期間に算入されるための基準」が
以下のように変更される予定です。

離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に
賃金の支払の基礎となった日数が「11日以上」又は
賃金の支払の基礎となった労働時間数が「80 時間以上」ある場合

離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に
賃金の支払の基礎となった日数が「6日以上」又は
賃金の支払の基礎となった労働時間数が「40 時間以上」ある場合

また、現行では複数事業所で勤務している場合、
原則としてその者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける
雇用関係の事業所についてのみ被保険者となりますが、
適用拡大によりその判断が難しくなるのではというところが気になるところです。

パートタイマーなど短時間勤務者を多数雇用している事業所には影響が大きいと考えられます。
今後の動向に注目しておくとよいでしょう。
法律案要綱 法律案新旧対照条文
(菊沢)

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