社労士コラム

育児・介護

育休終了後に行う社会保険手続き

2024.06.20.

育児休業(出生時育児休業を含む、以下同様)に伴う社会保険手続きの中から、今回は育児休業終了後に提出する書類をご案内します。

①育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届
手続き時期の目安:育休終了後
育休期間中の社会保険料免除を受けていた方が、当初届出ていた終了予定日よりも前に育休を終了した場合に提出します。
(終了日が当初の予定通りだった場合は、提出不要です)

育児休業等終了予定日前に育児休業等を終了したとき

②育児休業等終了時報酬月額変更届
手続き時期の目安:育休復帰月の3~4ヶ月目
育休から復帰した月から3ヶ月間(支払基礎日数が17日(短時間労働者は11日)未満の月は除く)の報酬の平均額から算出した標準報酬月額が、従前の標準報酬月額と1等級以上の差があった場合に、提出可能です。
(ご本人からの申出を受けて会社が手続きします)

育児休業等終了時報酬月額変更届の提出

③養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
手続時期の目安:子の出生後~(②と同時期に手続きを行うと管理しやすいと思います)
3歳未満の子の養育期間中に標準報酬月額が低下しても、将来受け取る年金額は低下する前の標準報酬月額に基づいて算出、支給されます。
実際に低下していなくても提出が可能なため、あらかじめ提出しておくと、低下したときの提出漏れの防止になります。
(ご本人からの申出を受けて会社が手続きします)

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

育休終了から手続き開始までに期間が空く手続きもありますので、事前に予定しておくと失念防止につながると思います。

(山田)

仕事と介護の両立支援が強化されます

2024.06.07.

5月に育児・介護休業法が改正されました。
来年(令和7年4月)施行となります。
これまでも改正が重ねられてきていますが、
今回の改正でも対象者の拡大や働き方の選択肢が追加されるなど
会社の両立支援体制が強化される内容の改正です。

中でも介護に関する改正はインパクトがあるのではないかと思います。
介護に関する主な改正は次の通りです。
・介護申出者に対して個別に会社の介護支援制度を周知し意向確認をすることの義務化
・40歳など早い段階で、会社の介護支援制度などの情報提供をすることの義務化
・研修や相談窓口等を設置することの義務化
・介護休暇利用対象者の拡大(労使協定で入社6か月未満者を対象外とする仕組みの廃止)

すべての会社に義務として対応を迫っています。
介護支援制度をしっかり周知し、利用しやすい環境を整えることで、
知らない、利用しづらいことを理由とした離職を防ぐ狙いがあるでしょう。

来年には団塊の世代が75歳以上となるなど
多くの人が介護に相対することが具体的になってきました。
人手不足も深刻な状況ですので、法律改正がなかったとしても
社内体制を整えておくことは必要に迫られていると思います。

育児介護休業法に関する情報はこちらから確認できます。
厚生労働省 育児・介護休業法について

(藤代)

出向・転籍後1年以内の者の出産手当金・育児休業給付金の手続き

2024.03.29.

産休・育休期間中は生活保障として出産手当金・育児休業給付金の制度が用意されていますが、休業開始前1年以内に出向や転籍等があった者の場合は、通常の申請書類のほか、追加の書類提出が求められます。

●出産手当金
(前勤務先・現在の勤務先ともに協会けんぽの場合に限ります)
産休開始月までの12ヶ月間に、勤務先の変更等により保険証の番号が変わった場合は、「別添」を添付します。

●育児休業給付金(出生時育児休業給付金を含む)
給付金受給には、育休開始前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることが必要です。
現在の勤務先のみで要件を満たさない場合は、前勤務先の被保険者期間を通算して要件を満たすかどうかが判断されます。
前勤務先の被保険者期間は、「期間等証明書」にて確認されるため、初回申請時に添付します。
期間等証明書は、前勤務先がハローワークへ申請することで発行されます。

特に期間等証明書は準備期間が必要なため、余裕をもって準備を進めると良いでしょう。

(山田)

出生時育児休業給付金 受給資格と支給申請の迷いやすい点

2023.11.24.

出生時育児休業給付金の迷いやすい点についてご案内します。

①支給対象期間
原則、
〝子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間の中で、
4週間(28日)以内〟
ですが、出産予定日と出生日が異なった場合に取得できる期間は次の期間となります。

【出産予定日前に生まれた場合】
出生日~出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日

【出産予定日後に生まれた場合】
出産予定日~出生日から起算して8週間を経過する日の翌日

②申請書類
次の書類の添付が必要です。
●休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できる書類
(賃金台帳、出勤簿、育児休業申出書、育児休業取扱通知書 等)
●出産予定日・出産日が確認できる書類
(母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、医師の診断書(分娩(出産)予定証明書) 等)
※出産予定日は、「育児休業申出書(出産予定日が記載されているもの)」や「出産手当金の医師・助産師による証明欄」でも確認が可能です。

休業期間中に勤務した等、休業期間を対象に賃金が支給された場合は、申請書に支給額を記載しますが、対象となるのは〝休業日数・時間に応じて支給された額〟であり、家族手当等の休業日数・時間に関わらず一定額が支給される手当を含める必要はありません。

③申請時期
〝出生時育児休業終了日~2ヶ月を経過する日の属する月の末日〟の間に申請書類を提出します。
2回に分割して取得した場合も、申請は1回にまとめて行います。
特に支給対象期間の前半に取得した場合は給付までに期間が空きますので、対象者へ事前に案内しておくと安心です。

育児休業給付の内容と支給申請手続

(山田)

妊娠中の女性が就労する場合の保護規定

2023.09.15.

男性の育児参画への取り組みが何かと話題に上がりますが、
女性が妊娠、出産を機に退職する割合も年々減少傾向にあることから
妊娠~出産まで就業を継続することが当たり前になっています。
就業中の妊産婦を保護する規定としては
主に男女雇用機会均等法、労働基準法で定められていますが
本日は、主に妊娠中の女性労働者に対し、
労働基準法で定められている母性保護措置についてご紹介します。

なお「妊産婦」とは、妊娠中及び産後1年を経過しない女性を指します。

(1)産前・産後休業(法第65条第1項及び第2項)
産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間
女性を就業させることはできません。

産前休業は女性が請求した場合、産後休業は必ず、就業させてはいけません。
ただし、産後6週間を経過し、女性が請求し医師が認めた場合には、就業させても差し支えありません。
なお、出産とは妊娠4ヶ月以上の分娩を指し、生産、死産を問いません。

(2)妊婦の軽易業務転換(法第65条第3項)
妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければなりません。

たとえば、外回りの営業職や現場職、立ちっぱなしの業務から、
オフィスでの事務業務に転換させるようなイメージです。
新たに軽易な業務を作り出す必要まではないとされています。

(3)妊産婦等の危険有害業務の就業制限(法第64条の3)
妊産婦等を妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせることはできません。

詳細はこちらで紹介されています。
女性に優しい職場づくりナビ 妊産婦等の就業制限の業務の範囲

(4)妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限(法第66条第1項)
変形労働時間制がとられる場合であっても、妊産婦が請求した場合には、
1日8時間週40時間の法定時間を超えて労働させることはできません。

(5)妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(法第66条第2項及び第3項)
妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、又は深夜業をさせることはできません。

会社としては、色々気を使って対応しなければならなくて大変、と感じるかもしれませんが
妊娠中から産後まで、安心して働ける環境を提供することで
戦力を失わずにすむというメリットにもなると思います。
可能性がある会社では特に、一度おさらいしておくと安心です。

参考:
厚生労働省:女性労働者の母性健康管理等について

働く女性の心とからだの応援サイト:妊娠中の女性労働者への対応

(高村)

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