社労士コラム

2020年10月

厚生年金 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置について

2020.10.30.

厚生年金 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは、子どもが3歳までの間、従業員が
申し出をし事業主が手続きを行えば、標準報酬月額が下がった場合でも、将来の老齢厚生年金
の金額について、子どもが生まれる前の高い標準報酬月額に基づき年金額を計算する制度です。
養育特例は、育児休業から復帰し短時間勤務をすることで報酬月額が低下した女性従業員に
ついて行う手続きのイメージがありますが、男性従業員でも3歳未満の子どもを養育している
場合、対象となる可能性があります。

【考えられる具体例】
・共働きの従業員が、子どもが生まれる前は残業等が多く報酬月額が高めだったが、配偶者が
職場復帰後、子どもを保育園にお迎えに行く機会が増え、残業等が減ったことで、定時決定や
随時改定のタイミングで、報酬月額が低下した場合。
・新入社員の資格取得時の報酬月額が前職の報酬月額より低下した場合。
(ただしこの場合の従前の報酬月額とは、資格取得月前1年以内の被保険者期間の報酬月額に限ります。)

養育特例制度は男性女性どちらも申し出ができ、報酬が低下した理由は問いません。また、2年間は
遡って適用することができます。

手続きには必要な書類は以下の通りです。
・戸籍謄本
(申出者と子の身分関係及び子の生年月日を証明できるもの)
・住民票
(申出者と子が同居していることを確認できるもの)

子どもが生まれた従業員や新入社員で3歳未満の子どもを養育している場合は、男性女性問わず
養育特例制度の申請をすることができますので対象になりそうな従業員には案内をするとよい
かもしれません。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
(松原)

協会けんぽへの届出等の取扱いについて

2020.10.15.

日本年金機構に提出する届出等については、
その一部についてではありますが、今年の7月より、
新型コロナウィルス感染症感染防止等の観点から、
事業主の押印又は署名がなくても不備な届出として返戻しない
という取扱いがなされることになっています。

この度協会けんぽへの届出等についても、
押印又は署名に関して、
その手続の性質に応じて下記の取扱いがなされることとなりました。

①事業主及び事業主経由で書面提出する届出等で、その事業主の押印又は署名を省略して差し支えないもの 

該当手続例)任意継続被保険者資格取得申出書、被保険者証再交付申請書

②特に慎重に届出等の真正性を確認する必要があることから、事業主の押印又は署名が必要であるが、
他の方法(法人の印鑑証明書、印鑑カード写し、事業主の代理人選任の届出写し等の添付)で
確認することが可能であれば省略して差し支えないもの

該当手続)傷病手当金支給申請書、出産手当金支給申請書 ※現時点では2手続きのみ
  
③被保険者が直接書面提出する届出等で、その被保険者の押印又は署名を省略して差し支えないもの

該当手続例)限度額適用認定申請書、任意継続被保険者資格取得申出書、被保険者証再交付申請書

④被保険者が直接書面提出する届出等のうち、特に慎重に届出等の真正性を確認する必要があることから
被保険者の押印又は署名が必要であるが、届出等の記載で給付金の振込口座が確認できる場合には
省略して差し支えないもの

該当手続例)療養費支給申請書、高額療養費支給申請書、出産育児一時金支給申請書

上記の取扱いは、当面の間行われると発表されています。
しかしながら、河野行政改革担当大臣が表明した
行政手続きにおける押印の原則廃止という方針に基づき、
行政手続きの書面、押印、対面主義が抜本的に見直される方向で動いております。
今後の取扱に注視していきたいと思います。

全国健康保険協会「協会けんぽへの届出書等の取り扱いについて」

(金子)

新型コロナウィルスの影響による標準報酬月額の特例改定の期間が延長されました

2020.10.08.

以前にこのコラム内でも
新型コロナウイルス感染症の影響による休業により報酬が著しく下がった場合に、
通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から標準報酬月額の改定を可能としている旨をお知らせしておりました。

当初、対象期間(急減月)は令和2年4月から7月までの間とされていましたが
「令和2年8月から12月までの間」の休業についても対象とされることになりました。

延長後の特例の対象は、以下の2パターンとされており、それぞれ申請ができる条件が異なります。
申請期間は、令和2年10月5日~令和3年3月1日です。

①令和2年8月から12月までの間に新たに休業により報酬が著しく下がった方の特例
(急減月の翌月を改定月として標準報酬月額を改定)
条件
1.新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和2年8月から12月までの間に、報酬が著しく下がった月が生じた
2.著しく報酬が下がった月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がった
3.特例措置による改定内容に本人が書面により同意している

②令和2年4月または5月に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けている方の特例
(8月の報酬の総額を基礎として算定した標準報酬月額により、定時決定の保険者算定として決定)
条件
1.新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和2年4月または5月に報酬が著しく下がり、5月または6月に特例改定を受けた
2.8月に支払われた報酬の総額(1か月分)による標準報酬月額が、9月の定時決定で決定された標準報酬月額に比べて2等級以上下がった
3.特例改定による改定内容に本人が書面により同意している

①については、これまでの特例と同じ条件で期間が変更された内容となりますが、
②については今回新設されており、定時決定(算定)が8月の報酬のみで決定できる点が特徴です。

①、②のどちらの条件で申請するかによって、申請書の様式が異なっているので注意が必要です。
また、休業から回復した場合は、回復した月1か月分の報酬総額が、特例により決定された標準報酬月額と比較して2等級以上上がっていれば、
その翌月を改定月とした標準報酬月額の改定を行う必要があります。
こちらも、専用の申請書が準備されています。

今回も同様に、留意事項として
「届出に当たっては、被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要となる」点があげられています。
単に保険料が下がるだけでなく、将来の年金額、手当金関係への影響も十分説明したうえで、本人からの同意を得る必要があります。

参考:日本年金機構「【事業主の皆さまへ】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定の延長等のご案内」

(高村)

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