社労士コラム

2021年10月

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置申出 住民票の添付が省略可能に

2021.10.28.

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置 とは
子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、
子どもを養育する前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができるしくみです。
養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないよう、被保険者の申出に基づき、
より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算することができます。

こちらの申出の際、

1.戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
(申出者と子の身分関係および子の生年月日を証明できるもの)
2.住民票の写し
(申出者と子が同居していることを確認できるもの)

以上2種類の添付書類が必要でしたが、
令和3年10月より、申出者と養育する子の個人番号がどちらも記載されている場合は
2.住民票が省略できることとなりました。

1.戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書 は引き続き添付が必要となりますが、
申出者が世帯主の場合は、申出者と養育する子の身分関係が確認できる住民票の写しでも代用可とされていますので
必要な書類を正確に案内するようにしましょう。

この変更に伴って、申出書の様式も変更されていますので
あわせてご確認ください。

厚生労働省 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届

(高村)

公正採用選考人権啓発推進員を選任していますか

2021.10.22.

ハローワークなどから公正採用選考人権推進員(以下「人権推進員」)
の選任を促されたことはありませんか。

人権推進員とは何かと言いますと次のとおりです。

人権教育及び人権啓発の推進に関する法律というものがあり
この中で「国」は人権教育啓発に関する計画を策定しなければならないとされ、
この計画の取り組みの一環として東京労働局は50人以上の事業所に対して
人権推進員を通して人権教育を行っていくとしています。
一連の仕組みの中で会社には選任義務まではありません。

東京労働局の具体的な取り組み(実施はハローワーク)として
毎年基準人数以上の事業所に対して人権推進員の選任を促し、
人権推進員に対しては年に数回の人権に関する研修会を案内しています。
また、もし採用面接時に差別的質問があり面接者からクレームがあった場合には
人権推進員に対して対応を求めるといった活動もしています。
人権推進員には公正な採用選考の実施が期待されています。

東京以外の地域でも具体的な基準や方法に違いはあっても
同様の活動がされています。

公正な採用選考についてはこちらから確認することができます。

人権推進員を選任しないまでも、採用に携わる場合には参考になる
情報が掲載されています。
(藤代)

職場の安全衛生管理体制

2021.10.15.

先月より、脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されています。
詳細は〈こちら〉

この機に安全衛生管理体制を再確認してみたいと思います。

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保する・快適な職場環境の形成を促進する・労災を防ぐ などを目的としており、業種や労働者の人数ごとに安全衛生管理体制を整える事も定めています。

届出が必要な事項があるのは労働者50人以上の事業所ですが、実は労働者1人以上から枠組みは決まっています。

□労働者の人数規模に対する安全衛生の管理者
1人から9人 :事業者
10人から49人:(安全)衛生推進者(事業者が専任)
50人以上から :産業医、衛生管理者、業種により安全衛生管理者、など(事業者が選任)

詳細は、〈こちら〉〈こちら〉をご確認下さい。

労働者が50人以上の場合、開催すべき委員会[(安全)衛生委員会]も定められています。
委員会では、参加者や審議する事項がある程度決められており、ルール通り開催すると経営者も労災リスクや問題点を確認することができ、改善案を検討できるなど、取り組み方次第かもしれませんが、案外(?)効果を感じられるものと思います。

重篤な労災などが生じると労使双方辛く大変なものです。
今一度会社の安全衛生管理体制を見直し、必要であれば法律で定めらていない規模でも委員会を定期開催するなど、積極的にご検討いただくと安心です。

(前田)

(2022年1月1日新設)雇用保険マルチジョブホルダー制度

2021.10.08.

2022年1月1日より、雇用保険マルチジョブホルダー制度が新設されます。

これは、従来の制度では加入要件を満たさなかった労働者が、以下の要件を満たす場合に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になれる制度です。

1.複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
2.2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して、1週間の所定労働時間が20時間以上であること
3.2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

離職時は、一定の要件を満たすと高年齢求職者給付金を受給できます。

被保険者になる場合は、希望するご本人がハローワークへ申出します。
通常の被保険者と異なり事業主に手続き義務はありません。
ただし、事業主の証明(雇用の事実や所定労働時間等)が必要なため、ご本人から証明を求められた場合には対応が必要です。

被保険者になると、資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生します。
取得日は、ハローワークからご本人及び事業主へ発行される通知で確認可能です。
給与から雇用保険料の控除を忘れないようにしましょう。
また、年度更新の計算にも含みます。年に1度のことなので抜けのないよう注意しましょう。

事業主向けリーフレット

(山田)

育児休業期間中の社会保険料免除について

2021.10.01.

育児休業期間中の健康保険料・厚生年金保険料は、
事業主経由で年金機構や健康保険組合に申し出ることにより、
被保険者・事業主分ともに免除されます。

ここでいう育児休業期間とは、
厳密にいうと「育児休業及び育児休業に関する制度に準ずる措置としての休業」
期間であり、対象となるのは、3歳未満の子を養育する場合の休業です。

具体的には次の期間です(「達する日」とは、前日のことをいいます)。
①1歳未満の子を養育するための育児休業
②保育所に入れなかった場合等特別な事情がある場合の1歳から1歳6か月に達する日までの育児休業
③保育所に入れなかった場合等特別な事情がある場合の1歳6か月から2歳に達する日までの育児休業
④1歳から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業制度に準ずる措置による休業
(②の場合は1歳6か月から、③の場合は2歳からとなります)

④により、1歳になった以降で保育園に入れない等の特別な事情がない場合
または2歳から3歳に達するまでの子を養育する場合でも、
社内規程等により育児休業を取得するときには保険料の免除ができますので、
手続き漏れには注意が必要です。

日本年金機構「従業員が育児休業を取得・延長したときの手続き」

ただし、雇用保険法で定める育児休業給付金を受給できる期間は、
あくまで①~③の育児休業期間に限られますので、
社員が3歳までの休業を予定している場合には、
2歳以降の期間は給付金の支給がないことを事前に説明しておくとよいでしょう。

※なお、令和4年10月からの保険料免除期間は下記のとおり改正されます。

(現在)育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が
    属する月の前月までの期間免除される。
(変更後)上記のほか開始日と終了日が同一の月である場合でも、
    休業期間が14日以上ある場合には当該月の保険料が免除となる
    (短期の育児休業の取得に対応)。
    賞与保険料については、連続して1ヶ月を超える育児休業の場合のみ
    免除される。

厚生労働省HP社会保障審議会資料「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」の成立について

(金子)

エキップオリジナルサービス
給与計算改善コンサルティング
RECRUIT
給与計算の最強チェックリスト
濱田京子著 出版書籍
濱田京子コラム
社労士コラム

お電話でのお問い合わせ

03-5422-6550

受付時間: 平日 9:00 〜 17:00

メールでのお問い合わせ