社労士コラム

法改正

令和7年度税制改正による所得税への影響

2025.05.23.

国税庁より、
リーフレット
「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
が発行されました。

令和7年12月の改正なので、現在の源泉徴収には影響はなく、
年末調整以降、改正内容が反映されていくこととなります。

主な変更点4点の概要は以下の通りです。

(1)基礎控除の見直し
 基礎控除額はこれまで一律48万円でしたが
改正後、令和7~8年は合計所得金額に応じて58万円~95万円と段階的に適用されることとなります。
また、令和9年以降は、
合計所得132万円以下の場合95万円、それより多い場合は一律58万円となります。

(2)給与所得控除の見直し
給与所得控除の最低保証額が現在の55万円から
給与収入が190万円以下の場合は一律で65万円となり、引き上げられます。

(3)特定親族特別控除の創設
特定親族(居住者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族)の合計所得に応じて
段階的に控除が受けられる、特定親族特別控除が創設されます。
これにより、所得123万円以下の特定親族までが控除の対象となります。
なお、年末調整において特定親族特別控除の適用を受けようとする人は、
会社に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出する必要があります。

(4)扶養親族等の所得要件の改正
扶養控除の対象となる所得要件が改正されます。
・扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の場合の子
48万円以下→58万円以下
・配偶者特別控除の対象
48万円超~133万円以下→58万円超~133万円以下
・勤労学生
75万円以下→85万円以下

申告書の様式も変更が予定されております。
また、5月末にはQAの更新が予定されているようです。
早めに情報の整理を進めておくとよいでしょう。

参考
国税庁HP 「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

(高村)

戸籍に氏名のフリガナが記載されます

2025.05.16.

令和7年5月26日に改正戸籍法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律)が施行され、戸籍に氏名のフリガナが記載されるようになります。

フリガナが記載されることで、次の効果等が期待されています。
・行政サービスのデジタル化促進
(データベース上の検索等の処理が容易になり、誤りを防止できる)
・本人確認情報としての利用
(住民票の写しやマイナンバーカードにも記載され、本人確認資料として使用できる)
・各種規制の潜脱行為の防止
(金融機関等で複数のフリガナを使用して別人を装った各種規制の逸脱行為を防止できる)

社会保険関係の手続きでは、雇用保険の氏名のフリガナ訂正を行う際は、氏名が確認できる書類(免許証やマイナンバーカード等)の添付が必要です。今までは、フリガナがない書類の場合は労働者名簿等の添付も必要でしたが、フリガナが記載されることで添付書類が1種類で済むようになります。

改正戸籍法の施行後は、本籍地の市区町村から戸籍に記載予定のフリガナの通知が届きます。フリガナが正しい場合は対応不要で、令和8年5月26日以降に自動的にフリガナが記載されます。しかし、氏が誤っている場合は原則戸籍の筆頭者が、名が誤っている場合は本人が、マイナポータル等から訂正の届出をする必要があります。
施行後に出生や帰化等により初めて戸籍に記載される場合は、出生届や帰化届等の届出時にフリガナを届け出ることで記載されます。
届出は本人が行うため、会社での対応事項はありません。

改正戸籍法については、法務省のホームページに内容がまとめられています。

(山田)

育児給付金等を受給中に退職した場合の給付金について

2025.05.02.

育児休業中に支給される雇用保険の各給付金は
退職した場合は支給されませんが退職日までは支給されます。
この取り扱いは令和7年4月以降の退職の場合で、
令和7年3月までの退職の場合は、退職日を含む支給単位期間の
一つ前までの支給期間が支給対象でした。

取り扱いが変更になりましたので
退職者への説明時や、手続き時に誤りの無いよう注意が必要です。

また、育児に関連する給付金は令和7年4月から4つとなりましたが、
退職した場合の給付金の支給期間は以下のとおり異なります。

■休業に対する給付金
・①育児休業給付金/②出生時育児休業給付金/③出生後休業支援給付金
→退職日まで支給される

■就業に対する給付金
・④育児時短就業給付金
→月の初日から末日まで続けて雇用保険の被保険者であることが条件のため
月の途中で退職した場合は、その月は支給されない。
(月の末日に退職した場合は結果として退職日まで支給される)

なお、高年齢雇用継続給付金は月の初日から末日まで続けて、
介護休業給付金は支給単位期間の初日から末日まで続けて、
雇用保険の被保険者であることが条件のため、
退職した場合は、退職日によって支給される期間が決まります。

(藤代)

職場における熱中症対策の強化

2025.04.18.

労働安全衛生規則が改正され、
令和7年6月から、職場における熱中症対策が事業主に義務付けられます。

対象は、WBGT値28度以上又は気温31度以上の環境下で
連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施が見込まれる作業が対象になります。
※WBGT値とは、熱中症予防のために使用される指標で、
「体感的な暑さ」を数値化したもの。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo89_1.html

下記の2つの事項が今回の改正で義務となります。

(1)熱中症の自覚症状がある作業者や、
熱中症の恐れがある作業者を見つけた場合に報告する体制を整備し、
関係者に周知することによる早期発見の体制整備

(2)作業からの離脱、身体の冷却、医師の診察や処置を受けさせる手順を定め、
関係者に周知することによる重篤化防止の措置

リーフレットには、熱中症の恐れがある者を見つけた時の処置のフロー図の参考例が掲載されており、
朝礼や休憩所などで周知することが例として挙げられています。
(フロー図の参考例は5~6ページ)
https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002212913.pdf

厚生労働省では、職場における熱中症死亡災害のほとんどに
初期症状の放置・対応の遅れの傾向があると分析しており、
現場において早急に対応することが求められており、今回の改正の内容となっております。

職場の熱中症予防対策には、STOP!熱中症クールワークキャンペーンの取り組み事項も参考になると思います。
https://neccyusho.mhlw.go.jp/pdf/2025/coolwork2024_jp.pdf
(斎藤)

社会保障協定の電子申請開始について

2025.04.04.

令和7年1月から社会保障協定の一部の手続きについて、電子申請ができるようになりました。
対象の手続きは下記6点です。

<厚生年金保険>
・適用証明書交付申請書
・適用証明期間継続・延長申請書
・適用証明書再交付申請書

<国民年金>
・適用証明書交付申請書
・適用証明期間継続・延長申請書
・適用証明書再交付申請書

申請書を添付する(e-Govの申請画面に申請情報をダイレクトに入力するものではない)ため、申請書のフォーマットは変更ありません。
e-Govから申請書入力画面を開くと「電子申請用送付書」が表示されるため、事業所情報を入力し、申請書(PDF形式及びJPEG形式の画像ファイルにしたもの)を添付して申請します。
ただし、1回の申請で1届書1名の申請となるため、複数種類や複数人分をまとめて申請することはできません。

申請書を作成するまでは今までと変わりなく、申請方法が郵送から電子に代わるのみのため、切り替えやすいのではないかと思います。
手続きの詳細は、e-Govの「電子申請用送付書(社会保障協定用)」のページから「記載要領」にて確認可能です。

社会保障協定については、2024.10.16.のコラムをご参照ください。

令和7年1月以降の電子申請様式の変更(社会保障協定関係)

(山田)

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