社労士コラム

法改正

「同一労働同一賃金」に関する施行規則と告示の改正

2026.05.22.

パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるために、「同一労働同一賃金」に関する施行規則と告示が改正され、2026年10月1日に施行されます。
厚生労働省のホームページでは、改正内容をまとめたリーフレット、モデル労働条件通知書等が公表されています。

厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ

主な改正事項は次の3点です。
①雇い入れ時の労働条件明示事項の追加
現行の明示事項は「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」ですが、10月1日以降の入社者には、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨の明示も必要となります。
(違反者は10万円以下の過料に処されます)

②同一労働同一賃金ガイドラインの改正
ガイドラインは、正社員と非正規社員との間の待遇差について、不合理か不合理でないかの原則となる考え方と具体例が示されています。
今回の改正では、最高裁判決を踏まえた、待遇に関する記載の追加や内容の充実等が行われました。

③雇用管理の改善等に関する措置内容(雇用管理指針)の改正
会社は、パートタイム・有期雇用労働者から、正社員との待遇差について説明を求められた場合は、対象の労働者が内容を理解できるように、口頭、または説明すべき事項をすべて記載した分かりやすい内容の資料を交付する等の方法により、説明することになります。
なお、口頭説明も可能ですが、関連資料を交付することが望ましいとされています。

施行に向けて、労働条件通知書の見直しや待遇差の説明が求められた時の対応方法の準備等を行っておくと良いでしょう。

(山田)

(令和9年1月から)源泉徴収票のみなし提出の特例

2026.05.15.

令和5年度税制改正により、令和9年1月1日以後に提出する
「給与所得の源泉徴収票」および「公的年金等の源泉徴収票」について、
「みなし提出」の特例が創設されました。

この特例は、給与支払報告書または公的年金等支払報告書を
市区町村へ提出した場合には、
税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされます。

対象となるのは、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票からです。
つまり令和8年分以後の源泉徴収票からが対象となります。

今後は、市区町村へ支払報告書を提出することで、
税務署提出用の源泉徴収票を別途作成・提出する必要がなくなります。

市区町村への提出については、
eLTAX(地方税ポータルシステム)、
光ディスク等、書面のいずれの方法でも、
この特例が適用されます。

国税庁では、この「源泉徴収票のみなし提出の特例」について
特設ページを設けており、Q&Aも公開しています。
源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A(令和8年4月)
例えば、次のようなQ&Aが取り上げられています。

Q:合計表についてはどのような取り扱いとなりますか
A:合計表(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)は、
法定調書を税務署に提出する場合に併せて提出するものです。
みなし提出の特例により源泉徴収票の税務署提出が不要となると、
原則として合計表も提出不要となります。
ただし、給与以外の法定調書(退職所得の源泉徴収票など)を
税務署に提出する必要がある場合は、合計表の提出が必要です。
その際、給与所得の源泉徴収票に関する記載は不要となります。

Q:法定調書の電子的提出の義務はどのように判定しますか
A:令和9年1月1日以後に提出すべき法定調書については、
基準年に提出すべきであった法定調書の枚数が30枚以上の場合、
e-Tax等による電子的提出が必要になります。
なお、源泉徴収票の枚数については、令和9年1月1日以後も
改正前の提出範囲で税務署に提出すべきであった枚数で判定します。

源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ
なお、受給者本人へ交付する源泉徴収票については、
これまでどおり作成・交付が必要です。
改正内容については、給与計算システムなどの対応状況も含め
事前に確認しておきたいところです。
(菊沢)

クールワークキャンペーンが始まりました

2026.05.08.

厚生労働省では、職場における熱中症予防対策を呼びかける
「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を5月から開始しました。
期間は9月まで、そのうち7月は重点取組期間です。
キャンペーンについてはこちらから確認できます。

安全衛生法では昨年6月から事業者に対して
熱中症防止措置を義務付けていますので、対応が必要です。

義務の内容は、
WBGT(湿球黒球温度)28度以上または気温31度以上の環境下で
連続1時間以上または1日4時間を超える業務を行う場合に、
熱中症の自覚・他覚症状の報告体制の整備を整備・周知し、
熱中症を重症化させないための措置を講じることです。

このほか、今年3月には「職場における熱中症防止のためのガイドライン」
が定められました。
また、4月から混在作業所においては労働者だけでなく
個人事業者等を含む「作業従事者」に対応の範囲が拡大されています。

5月には熱中症による重篤な事象が確認され、
6月・7月にはその数が急増する傾向にあります。

暑い時期が早く到来するようになり、
ドレスコード(ネクタイやシャツの着用)の内容や適用時期を見直したり、
制服がある場合は夏服への切り替え時期を早めるなどの動きも見られます。
各所から出されている資料・情報も参考に自社に応じた対応が必要です。
(藤代)

保険料調整制度

2026.04.17.

社会保険の適用拡大は年々進んでおり
現在は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上で特定適用事業所となり
短時間労働者が被保険者となりますが
令和9年10月からは、対象が同36人以上の事業所へ拡大する予定となっています。

それを見越して、今年R8年10月から、
保険料調整制度が開始されます。
この制度を利用した場合、事業主が被保険者の保険料を一時的に負担することにより、
対象となる被保険者の健康保険・厚生年金保険の保険料負担を、通算3年間軽減することができます。
事業主が一時的に負担した保険料は
一定期間経過後に追加負担分を調整することとなっており、
最終的に事業主が納付する保険料は増えません。
また、被保険者が将来受け取る年金額にも影響はありません。

対象となる事業所は以下、いずれかに該当する事業所です。
(1)令和8年10月1日以降、任意特定適用事業所になる事業所
(2)令和9年10月1日以降、順次対象となる事業所

対象となる被保険者は、以下いずれにも該当する被保険者です。
(1)短時間労働者として健康保険・厚生年金保険に加入する被保険者
(2)標準報酬月額が126,000円以下の被保険者

保険料の負担割合は、
制度利用の年数と、被保険者の標準報酬月額ごとに細かく定められています。

制度を利用するには、事業所が保険料調整制度の対象となった日から2年以内に、事業主からの申し出が必要です。
様式などはこれから発表になるようです。

適用拡大により被保険者となる労働者にとっては、保険料負担はネックの一つになりますので
通常よりも少ない負担で社会保険に加入できることはメリットと言えるでしょう。
一方で、事業主にとっては一時的とはいえ負担が増加することや
給与処理時、保険料の確認が煩雑になることが予想されます。

来年の適用拡大による影響と照らし合わせて
制度を利用するかどうか、検討する必要がありそうです。

日本年金機構「保険料調整制度のご案内」

(髙村)

カスハラに関する実態調査結果

2026.04.10.

令和8年10月1日からカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化されますが、東京都では令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されており、事業者には指針に基づき、体制整備・カスハラを受けた就業者への配慮・カスハラ防止手引の作成等の努力義務が定められています。

この度、東京都産業労働局から「令和7年度 カスタマーハラスメントに関する実態調査 報告書」が公表されましたので、企業アンケートの調査結果の一部をご紹介します。

・過去1年間の従業員からの相談
 相談を受けたことがある 12.4%
 相談を受けたことはないが、見聞きしたことはある 13.1%

・事案
 継続的な、執拗な言動(頻繁なクレーム、同じ質問を繰り返す) 61.8%
 威圧的な言動(大声で責める、反社会的な者とのつながりをほのめかす等) 55.5%
 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の要求等) 50.4%

・被った損害や被害
 従業員の仕事への意欲・やりがいの低下 77.0%
 通常業務の遂行への悪影響 65.1%
 従業員の離職 15.5%

・防止対策の具体的な取組状況
 相談窓口の整備 65.7%
 実態把握のための調査 52.9%
 カスハラを受けた従業員のケア 50.9%
 教育・研修等の実施 47.8%
 基本方針等の作成 43.0%
 就業規則の整備(準ずるものを含む) 42.7%
 労働者や労働組合等との意見交換・衛生委員会の活用等 42.3%

・防止対策を進める上での課題
 正当なクレームとの判断の難しさ 71.1%
 ノウハウ不足 30.7%
 発生状況の把握が困難 30.4%

・防止のために特に効果があると思う取組
 カスハラを受けた従業員が相談できる窓口の整備 44.3%
 実態把握のための調査 41.1%
 カスハラを受けた従業員のケア 39.2%

・カスハラを受けた従業員のケアに関する取組状況
 上司や同僚によるサポート 65.7%
 現場における対応の引き継ぎ 52.9%
 カスハラを受けた従業員が相談できる窓口の整備 50.9%

カスハラ対策の義務化まで残り半年となりました。
弊所でもハラスメント規程策定サービス・相談窓口サービスハラスメント研修等を実施していますので、ご相談いただければと思います。

令和7年度 カスタマーハラスメントに関する実態調査 報告書

(山田)

 
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