社労士コラム

2025年01月

令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果が発表されました

2025.01.31.

65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施済みの企業は全体で99.9%[変動なし]です。企業規模でみると中小企業が99.9%[変動なし]、大企業では100.0%[0.1ポイント増加]です。
措置内容の内訳は、「継続雇用制度の導入」により実施している企業が67.4%[1.8ポイント減少]、「定年の引上げ」により実施している企業は28.7%[1.8ポイント増加]と「定年の引上げ」を選択する企業が増えてきています。

70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は31.9%[2.2ポイント増加]。企業規模でみると中小企業では32.4%[2.1ポイント増加]、大企業では25.5%[2.7ポイント増加]と中小企業の方が積極的に70歳までの就業を確保しています。

企業における定年制の状況は65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)が32.6%[1.8ポイント増加]。企業規模でみると中小企業では33.6%[1.8ポイント増加]、大企業では20.6%[2.5ポイント増加]と定年の引上げも中小企業の方が積極的です。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では65歳までの雇用確保が義務で、①65歳までの定年引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入(経過措置は令和7年3月で終了)、③定年廃止のいずれかの措置を取らなければなりません。
上記に加えて、70歳までの就業確保(努力義務)があります。
70歳までの就業確保(努力義務)の対象となる事業主は定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主及び65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主です。該当する場合は次の①から⑤までのいずれかの措置を講じるよう努める必要があります。
①70歳までの定年引上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
④70歳まで継続的に業務委託を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出費(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
※④⑤については過半数労働組合等の同意を得た上で、措置を講ずる必要があります。

65歳超雇用促進助成金も活用して、これを機に65歳以上の雇用確保を検討してみてはいかがでしょうか。
https://www.mhlw.go.jp/content/001233792.pdf
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」
https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/001357147.pdf

(齋藤)

高年齢雇用継続給付の支給率変更(令和7年4月~)

2025.01.23.

令和2年の雇用保険法の改正により、
高年齢雇用継続給付の支給率が
令和7年4月から変更となります。

現在は、60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、
75%未満に低下した状態で働き続ける場合に、
支払われた賃金額の最大15%の支給となっています。

改正では、60歳に達した日が
令和7年3月31日までの方は従来の支給率15%、
令和7年4月1日以降の方は、10%に縮小します。
ですので、現在支給を受けている方の支給率は15%のままです。

60歳に達した時に雇用保険被保険者であった期間が5年以上ない方は、
その時点では高年齢雇用継続給付の受給要件を満たさないため、
上記の「60歳に達した日」を、
その期間が5年を満たすこととなった日と読み替えます。

また、現在は支払われた賃金の低下率が、
61%超~75%未満の場合、
低下率に応じて15%から徐々に支給率が下がりますが、
令和7年4月からは、低下率が64%超~75%未満の場合、
低下率に応じて10%から徐々に支給率が下がります。

詳しくは、リーフレット2ページ目に一覧表があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/001328827.pdf

高年齢雇用継続給付金の支給率が低下すると、
60歳以上の方の受け取る給付額は少なくなります。
会社が、60歳以上の方の収入減を改善する為、
賃金を増額改定する場合は、活用できる助成金もありますので、
詳細はリーフレットを確認ください。

高年齢労働者処遇改善促進助成金
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001082079.pdf
(斎藤)

R7.4月~出生後休業支援給付金の創設

2025.01.17.

R7年4月1日~
共働き・共育てを推進するため、「出生後休業支援給付金」が創設されます。
両親双方が一定期間のうちに
14日以上の育児休業または出生児育児休業を取得した場合、
最大28日間、育児休業給付金または出生児育児休業給付金に
13%上乗せして支給される、という内容です。
受給開始後6か月間の給付率67%と合算すると最大80%の給付率となり
実質、手取り相当額が受給できるという想定です。

具体的な支給要件は、
①被保険者が、対象期間に出生時育児休業給付金が支給される出生時育児休業、
 または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得したこと。
②被保険者の配偶者が、出生児育児休業が取得可能な期間に
 通算して14日以上の育児休業を取得したこと
 または、子の出生日の翌日において
 「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること。
※ここで言う育児休業は給付金の対象となる育児休業を意味します。

となります。
先日公開されたリーフレットの図がイメージしやすいように思います。
リーフレット「出生後休業支援給付金」を創設します

支給要件②の「配偶者の育児休業を要件としない場合」は
具体的に7つに分類されています。
1.配偶者がいない(行方不明の場合(一定要件あり)も含む)
2.配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
3.被保険者が配偶者から暴力を受け別居中
4.配偶者が無業者
5.配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない
6.配偶者が産後休業中
7.1~6以外の理由で配偶者が育児休業をすることができな

それぞれの場合において、申請に必要な添付書類が異なります。
住民票や戸籍謄本、課税証明書等公的書類が必要になる場合もありますので
意向確認のタイミングなどで案内できていると
申請がスムーズではないでしょうか。

詳細な要件や具体的な添付書類は
「育児休業等給付の内容と支給申請手続 (R7年1月1日改訂)」
13ページ以降で解説されています。

(高村)

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 就業者の範囲

2025.01.10.

東京都では令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されますが、昨年12月に「指針(ガイドライン)」が公表されました。
カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)

条例では、カスタマー・ハラスメントは「①顧客等から就業者に対し、②その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、③就業環境を害するものをいう」と定義されています。
条例の禁止規定に違反した場合の罰則規定はありませんが、刑法等の法律に基づく罰則を受ける可能性はあります。

被害者となり得る就業者とは、有償・無償を問わず、都内で業務を行うすべての者を指すとされています。
企業・国の機関・地方公共団体で働く者、企業経営者、個人事業主、フリーランス、ボランティア活動に従事する者、インターンシップ生、PTA活動に従事する保護者、議員等が該当します。業務には社会的な活動も含まれるため、自治会等の防犯・清掃活動の従事者や生活困窮者を訪問する巡回相談員等も該当します。

都内とは、法人登記や開業届等により事務所・事業所が都の区域内であること、その他、都内で事業を行っている実態があることを意味するとされています。
一方、都内企業で勤務する会社員が都外でテレワークを行う場合や、都外のコールセンターで勤務する会社員が都内の事業者への問合せに電話で対応する場合等、都内以外で業務に従事する場合も事業との間に合理的関連性が認められる場合は、就業者に含まれます。

対象範囲が広いため、都内以外の事業者も条例を確認しておく必要があるでしょう。

(山田)

養育特例に係る添付書類の省略

2025.01.06.

以前のコラムでも紹介しておりますが、
申出者と子に日本の戸籍があり、
申出者および子の双方の個人番号が記入されている場合は、
戸籍抄本等の添付書類が不要でしたが、
令和7年1月1日からは、上記扱いに加え、
申出者が使用される事業の事業主が続柄を確認したときは
戸籍抄本等の添付が不要となります。
具体的には、養育特例の申出書(養育期間標準報酬月額特例申出書)の
届出書の「確認済み」の□にチェックを付している場合に添付省略が可能となります。

従前の様式の場合は、備考欄に事業主が続柄を確認済みである旨を記載することでの対応となります。

通達が、年金局の新着の通知(令和6年12月25日掲載)として、
厚生労働省のホームページにおいて公表されています。
<厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令の施行に伴う養育期間標準報酬月額特例申出書の取扱いについて(令和6年年管管発1223第3号)>

添付書類の案内に影響がありますので、内容を確認しておくと安心です。
(菊沢)

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