2023.10.20.
厚生労働省から、令和5年9月27日に、「成長と分配の好循環」等の実現や、社会全体の労働力不足への対応策として、「年収の壁・支援強化パッケージについて」の中で、次の①~④の対応が発表されました。
〈106万円※1の壁への対応〉
① キャリアアップ助成金のコース新設
雇用保険のキャリアアップ助成金に、「社会保険適用時処遇改善コース」を新設。
短時間労働者が被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用による手取り収入の減少を意識せず働くことができるよう、労働者の収入を増加させる取組(②の「社会保険適用促進手当」も対象)を行った事業主に対して、労働者1人当たり最大50万円の支援を行う。
(標準報酬月額・標準賞与額の15%以上分を追加支給した場合から対象)
こちらは本日詳細が発表されましたので下記リンク先でご確認ください。
[ご参考1] [ご参考2]
② 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
これまで加入対象外だった短時間労働者が新たに社会保険加入した場合に、事業主は「社会保険適用促進手当」を給与・賞与とは別に支給する事ができ、新たに発生した本人負担分の保険料相当額を上限として、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しないこととする。最大2年間の措置。
〈130万円の壁※2への対応〉
③ 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
被扶養者認定においては、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書等を確認しているところ、短時間労働者である被扶養者(第3号被保険者等)について、一時的に年収が130万円以上となる場合には、これらに加えて、人手不足による労働時間延⾧等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする。(同一の者について原則として連続2回までを上限とする)
④ 企業の配偶者手当の見直し促進
中小企業においても配偶者手当の見直しが進むよう、見直しの手順をフローチャートで示す等わかりやすい 資料を作成・公表する。
配偶者手当が就業調整の一因となっていること、配偶者手当を支給している企業が減少の傾向にあること等 を各地域で開催するセミナーで説明するとともに、中小企業団体等を通じて周知する。
※1:106万円の壁
被保険者100人超企業に週20時間以上で勤務する場合の社保加入基準額
※2:130万円の壁
106万円の壁に該当する以外の場合に社会保険の扶養対象外となる基準額
労働者に扶養される配偶者で社会保険料の負担が無い層のうち、約4割が就労しており、その中には一定以上の収入(106万円・130万円)になった時の社会保険料負担の発生や収入要件のある企業の配偶者手当不支給による手取り収入の現象を理由として、就業調整をしている方が一定数いるため、これらの方々が就業調整せずに働けるように後押しする為の対策となっています。
実際に事業主が対応する場合には、既に年収の壁を超えて就労している方々との不公平感が出ないようにするなどの課題もありそうですが、最新情報を確認しながら、取り組みやすいものについてはご検討頂けると良いですね。
(前田)