社労士コラム

2025年03月

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の閣議決定

2025.03.28.

3月14日に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出されました。

改正法案の概要としては、以下の通りです。
1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進【労働安全衛生法】
2.職場のメンタルヘルス対策の推進【労働安全衛生法】
3.化学物質による健康障害防止対策等の推進【労働安全衛生法、作業環境測定法】
4.機械等による労働災害の防止の促進等【労働安全衛生法】
5.高齢者の労働災害の防止の推進【労働安全衛生法】
労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要

このうち、2.職場のメンタルヘルス対策の推進として、
現在当分の間努力義務となているストレスチェックについて、
労働者数50人未満の事業場についても実施を義務化とする法律案となっています。

背景としては、50人未満の事業場でも精神障害の労災決定件数の増加があります。
厚生労働省が公表した令和5年度の「過労死等の労災補償状況」によると
精神障害に関する労災の支給決定件数は過去最多の883件となっており、
労働者のメンタルヘルス対策が喫緊の課題になっています。

50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までに十分な準備期間を確保するとされています。

今後の動向を注目したいと思います。
(菊沢)

高年齢者雇用確保措置の経過措置が終了します(2025年3月31日)

2025.03.21.

60歳で定年退職とし、60歳以降65歳までは有期の嘱託社員などとして
雇用を継続する、いわゆる定年再雇用制度においては、
希望する労働者全員を対象に65歳まで雇用を継続することが原則です。

高年齢者雇用安定法によるこの原則は2013(平成25)年4月からのものですが、
例外的に、経過措置として労使協定で雇用継続の基準を定めた場合には、
基準に達しない場合は60歳以降の雇用を継続しないことも
許容されていました。
「過去3年間の人事考課がB評価以上」などが雇用継続の基準例です。
経過措置は労働者の年齢に応じて段階的に終了し、
今年3月31日すべてが終了します。

これにより、基準によることなく、希望する労働者は65歳まで
雇用を継続することが義務となります。

雇用継続基準を運用していた場合は、
運用の変更と、就業規則の該当規定の削除や労使協定の
無効を確認するなどの対応が必要です。
段階的な経過措置の廃止ということで
影響は限定的であると思われますが、
適宜対応しておくことが適当でしょう。

なお、年金制度改革により厚生年金の支給開始年齢が段階的に
引き上げられていますが、今年4月から65歳開始となります。
継続雇用義務の終了年齢と年金支給開始年齢がともに65歳となります。

(藤代)

男女間の賃金格差解消のためのガイドラインが公表されました。

2025.03.14.

女性の職業生活において個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が2016年に施行され、さらに、女性活躍推進法に基づき常時雇用する労働者301人以上の事業主を対象として、2022年7月からは、男女の賃金の差異の情報公表が義務付けられています。

男女間賃金差異は依然として大きく、一般労働者の男性の平均賃金水準を100としたときに、一般労働者の女性の平均賃金水準は令和5年で74.8%でした。この差異は男女の管理職比率や平均勤続年数に差異があることが主な原因となっています。

管理職比率は長期的には上昇傾向にありますが、国際的に見るとスウェーデン41.7%に対して日本は12.9%と非常に低くなっています。勤続年数についても令和5年で男性13.8年に対して女性9.9年とおおよそ4年も短くなっています。

男女間賃金差異解消のために、賃金・雇用管理に問題がないか、以下3つの視点から見直してみてはいかがでしょうか。
①公正・明確かつ客観的な賃金・雇用管理制度の設計とその透明性の確保
例:出産・育児がハンデにならない評価制度や両立支援制度を整備する
②配置や仕事配分、人材育成など、賃金・雇用管理の運用面における取り扱いの見直し改善
例:男女で異なる取り扱いになっていないか見直しをする
③過去の雇用管理や固定的な男女の役割分担意識によって事実上生じている格差を解消するための取組
例:女性活躍推進法に沿って、自社の女性活躍に関する行動計画を策定し、研修の積極的な実施等への取り組みを行う

男女間の賃金格差解消のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001429995.pdf

男女間賃金差異分析ツールも公表されています。
同業種・同従業員規模の企業データと比較することで、自社の強みや課題の把握、要因分析ができます。また、同業他社の参考値を見ることもできます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

(齋藤)

就業規則の本社一括届出

2025.03.07.

4月に向けて、就業規則の改定をされている会社が多いと思います。
10人以上の事業場で、就業規則を改定したときは、
就業規則を所轄労基署に届出する必要があります。

各地に支社・支店がある場合は、
就業規則を各支社の労働者代表の意見聴取をし、
各支社の所在地管轄の労基署に届ける必要がありますが、
本社の就業規則が他の支社にも適用される場合は、
本社の所在地の労基署に一括で届け出ることが可能です。
ただし、労働者代表の意見書は一括することはできず、
各支社で聴取して作成する必要があります。

電子申請で届け出る場合は、
「就業規則(変更)届(本社一括届出)」のフォームに入力し、
一括届出事業場一覧作成ツール(厚生労働省作成)により作成した
事業場一覧(CSV形式)と、各事業場の意見書・就業規則データを添付して、申請します。

36協定も同様に届出を本社一括で行うことができます。
ただし、協定事項のうち、労働保険番号、事業の種類、名称、所在地、
労働者数、協定成立日【以外】の項目がすべて同一の場合に、
一括届出が可能です。

また、電子申請の場合に限りますが、
1年単位の変形労働時間制や、専門業務型裁量労働制に関する協定届などについても、
本社で一括して届出することが可能です。
要件については、リーフレット11~12ページにまとめられています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000919894.pdf

(斎藤)

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