社労士コラム

2024年03月

出向・転籍後1年以内の者の出産手当金・育児休業給付金の手続き

2024.03.29.

産休・育休期間中は生活保障として出産手当金・育児休業給付金の制度が用意されていますが、休業開始前1年以内に出向や転籍等があった者の場合は、通常の申請書類のほか、追加の書類提出が求められます。

●出産手当金
(前勤務先・現在の勤務先ともに協会けんぽの場合に限ります)
産休開始月までの12ヶ月間に、勤務先の変更等により保険証の番号が変わった場合は、「別添」を添付します。

●育児休業給付金(出生時育児休業給付金を含む)
給付金受給には、育休開始前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることが必要です。
現在の勤務先のみで要件を満たさない場合は、前勤務先の被保険者期間を通算して要件を満たすかどうかが判断されます。
前勤務先の被保険者期間は、「期間等証明書」にて確認されるため、初回申請時に添付します。
期間等証明書は、前勤務先がハローワークへ申請することで発行されます。

特に期間等証明書は準備期間が必要なため、余裕をもって準備を進めると良いでしょう。

(山田)

二以上事業所勤務被保険者の随時改定(月額変更届)

2024.03.22.

複数(二以上)の事業所に勤務し、それぞれ社会保険の加入要件を満たす場合、
二以上の会社で健康保険・厚生年金保険に加入する必要があります。

被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動により、
変動月からの3カ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額と
これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合は、
随時改定の対象となり月額変更届の提出が必要となります。

二以上事業所勤務被保険者の場合、
各事業所について随時改定の要件に該当するかどうか判断することになりますので、
各事業所で2等級以上の変動がある場合は月額変更届の提出が必要です。

□片方の事業所(A事業所)が2等級以上の変動、合算で2等級以上の変動がある場合
 届出はA事業所のみ提出、改定後の標準報酬月額での決定通知書が通知される。

□各事業所で2等級以上の変動だが、合算では2等級以上の変動がない場合 
 各事業所で月額変更届の提出必要、合算した標準報酬月額の変更はないが、
 保険料按分率が変更となった決定通知書が送付される。

□各事業所で2等級以上の変動ないが、合算で2等級以上の変動がある場合
 どちらの事業所についても月額変更届の提出不要。

今年10月にはさらに50人超の事業所について社会保険適用拡大がされ、
二以上事業所勤務被保険者の対象となる労働者が発生する可能性もあります。
手続きについて、確認しておくと安心です。

資格取得時の手続きについては、下記コラムをご覧ください。
https://www.k-hamada.com/staff/?p=4219

(菊沢)

36協定届に記載する労働保険番号と法人番号

2024.03.15.

36協定は法所定様式で届出を行う必要がありますが、
この様式には労働保険番号と法人番号を記載する欄があります。

令和6年4月以降に有効期間が始まる36協定では、
この欄の記載が必須となります。
これまでは記載がなくても受付されていた
実態もあったようですが改まります。

労働保険番号は1社で複数有していることもあり
迷いやすいですが適切に記載しましょう。

未記載時には届出先労基署で受付がされない可能性があります。
記載番号が不明の場合は、その対応を事前に確認しておくなど
適切な36協定を作成する準備が必要です。
注意喚起をしている労働局もあります。
こちら(福井労働局)

記載欄自体はこれまでも設けられていましたので
法定様式で提出していた場合には影響がないかもしれません。

法定様式の届出事項を満たしていれば
任意様式での届出も認められていますが、
任意様式の場合は労働保険番号と法人番号が
記載されているか注意しましょう。

(藤代)

社会保険の適用拡大(令和6年10月から)

2024.03.08.

令和4年10月から101人以上の企業がすでに特定適用事業所となり、
3/4未満の短時間労働者の方も社会保険の加入対象となりましたが、
令和6年10月からは特定適用事業所の人数要件が51人以上の企業となり、
さらに拡大されることとなります。
51人以上のカウントは、厚生年金の被保険者数でカウントします。
1年間のうち、6か月以上51人以上となることが見込まれる企業が特定適用事業所に当たります。

短時間労働者とは、特定適用事業所に雇用される
下記の要件をすべて満たす方です。
・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
・所定内賃金が88,000円以上
・2ヵ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

令和6年10月以降は社会保険の加入対象となり、
「被保険者資格取得届」の提出が必要になるので、
対象の方を事前に確認しておきましょう。

また、短時間労働者の方は、
算定基礎届、月額変更届の提出の際の支払い基礎日数の要件が
パートタイム労働者の方とは異なりますので、注意が必要です。

・算定基礎届
①4月、5月、6月の支払い基礎日数が3か月とも11日以上あるときは、
3か月の報酬月額の平均額をもとに決定
②11日以上の月が1か月以上あるときは、11日以上の月のみの報酬月額の平均額をもとに決定
③3か月とも11日未満の場合は、従前の標準報酬月額で決定
・月額変更届
支払基礎日数が3か月とも11日以上あること

(斎藤)

令和6年度 労災保険料率の改定

2024.03.01.

令和6年4月~の労災保険料率、雇用保険料率が発表になりました。

労災保険料率は、複数の業種で料率が改定されます。
雇用保険料率は、令和5年度から据え置きです。

労災保険料率は、平成30年以来の改定となります。
多くの業種で料率引き下げとなっていますが、一部、引き上げられた業種もあります。
同時に、第二種特別加入(一人親方など)の料率も一部の区分で改定、
請負工事等の労務比率も改定されています。

事業所の料率について、年度更新前に一度確認しておくとよいでしょう。
以下リンクより、各料率について改定前後の一覧を確認できます。

参考
厚生労働省 労災保険・雇用保険の特徴

(高村)

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