社労士コラム

雇用保険

雇用保険の給付金の支給限度額の変更

2024.08.02.

令和6年8月1日から適用される雇用保険の給付金の支給限度額が公表されました。
変更後の金額は下記のとおりです。

●高年齢雇用継続給付
・支給限度額 370,452円 → 376,750円
・最低限度額 2,196円 → 2,295円
・60歳到達時等の賃金月額
 上限額:486,300円 → 494,700円
 下限額:82,380円 → 86,070円

●介護休業給付
・支給限度額 上限額 341,298円 → 347,127円

●出生時育児休業給付
・支給限度額
 上限額(支給率67%) 289,466円 → 294,344円

●育児休業給付
・支給限度額
 上限額(支給率67%) 310,143円 → 315,369円
 上限額(支給率50%) 231,450円 → 235,350円

支給限度額は、毎月勤労統計の平均定期給与額を基に定められています。
景気等による賃金額の増減を反映するために、毎年見直しが行われていますが、令和4年以降は上昇しています。
今までは支給限度額以上の賃金を受けていたため支給対象外だった方も、限度額の変更により、今後は支給対象となる可能性がありますので、申請漏れがないように注意しましょう。

https://www.mhlw.go.jp/content/001281481.pdf

(山田)

育児休業給付金の延長手続き時に必要となる書類が追加されます

2024.07.05.

来年4月1日以降に1歳となる子から、
育児休業給付金の延長手続き時に必要となる書類が追加されます。
7月に入り厚生労働省ホームページにも情報が掲載されました。
こちら

子が1歳までの育児休業中は
原則として雇用保険から給付金が支給されますが、
1歳以降は保育所利用ができない場合などに限られています。

1歳以降の期間について給付金を申請するには、
保育所利用ができないことの確認として
「保育所入所保留通知書」が必要ですが、
これに加えて
「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」と
「(市区町村への)保育所利用申込書の写し」の2点が必要になります。

この変更の背景には、保育所入所意思がないにもかかわらず
育児休業給付のために申し込みを行う場合があり
保育所利用を調整する市区町村の負担となっている実態があります。

実務上、保育所利用の申込を失念していたがどうしたらよいか、
申込期限を確認していなかったために期限を過ぎてしまったがどうしたらよいか、
子供を預ける先がなく延長せざるを得ないが給付金がないのは困る、
といった相談がされることがあります。

この変更はすでに育休を取得している人にも影響があります。
これから育休を取得する人だけだなく、育休中の人に対しても
復帰のための準備は早めに確実に行うことや、
延長の場合の要件や必要書類について
最新の情報を適切に伝えておくことが必要でしょう。
(藤代)

外国人労働者の労務管理支援ツール

2024.05.31.

日本で働く外国人労働者数は2,048,675 人(令和5年10月末時点)で、
200万人を超えており、外国人の方を雇用することも増えたのではないでしょうか。
外国人を雇用するときの注意ポイントはいくつかありますが、
まずは在留カードで就労できる状態か確認し、
入社・離職の際には外国人雇用状況の届出をしておくことは必要です。
こちらのリーフレットでわかりやすく解説されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000603552.pdf

入社した後も、外国人の方は日本の職場の文化や制度がわからず、
コミュニケーションがうまくいかないこともあるかもしれません。
厚生労働省では、外国人労働者の人事・労務支援ツールとして、
人事担当者が、外国人の社員に説明する際の例文集や、
労務管理で使用する言葉の多言語用語集、
優しい日本語で書かれたモデル就業規則を作成していますので、
参考になるかと存じます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17698.html

(斎藤)

令和6年度 労働保険の年度更新

2024.05.10.

令和6年度労働保険の年度更新の申告・納付期間は、6月3日(月)から7月10日(水)です。
電子申請は、6月1日(土)から申請可能です(受付は6月3日に行われます)。

昨年は、年度途中で雇用保険料率が変更されたため、前期・後期に分けて保険料を計算するイレギュラーな対応が必要でしたが、今年は通常通り1年分をまとめて計算します。

計算中に迷う箇所に、労働者の月平均人数や確定・概算保険料の計算時に発生する小数点以下の処理があると思いますが、小数点以下は切り捨てとなります。(ただし、雇用保険の被保険者数の月平均人数が0人となる場合は1人とします)

5月下旬に申告書類一式が事業所宛に送付されますが、今年度の案内は厚生労働省のホームページに公表されています。申告・納付期限が近づくと混み合いますので、事前に賃金集計を進めておくとスムーズに申告できると思います。

労働保険年度更新に係るお知らせ

(山田)

雇用保険法改正法案

2024.05.02.

雇用保険の適用拡大を盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が
4月11日の衆議院本会議で可決されました。今国会で成立する見通しです。

改正の概要は以下の通りです。
・多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築
・「人への投資」の強化等のため、雇用保険の適用拡大
・教育訓練やリスキリング(学び直し)支援の充実
・育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置
<雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)(厚労省)> 概要

この中で、雇用保険の適用拡大について、雇用保険の被保険者加入要件のうち、
週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に
適用対象を拡大するというものです。
令和10年10月1日から施行される予定です。

これに伴い、基本手当の支給等に関する基準等について
原則的には現行の取扱いが維持されることになりますが、
失業等給付等の被保険者期間の算定基準の見直しが行われます。

離職日から2年間に被保険者期間が12ヶ月以上のうち、
「1ヶ月として被保険者期間に算入されるための基準」が
以下のように変更される予定です。

離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に
賃金の支払の基礎となった日数が「11日以上」又は
賃金の支払の基礎となった労働時間数が「80 時間以上」ある場合

離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に
賃金の支払の基礎となった日数が「6日以上」又は
賃金の支払の基礎となった労働時間数が「40 時間以上」ある場合

また、現行では複数事業所で勤務している場合、
原則としてその者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける
雇用関係の事業所についてのみ被保険者となりますが、
適用拡大によりその判断が難しくなるのではというところが気になるところです。

パートタイマーなど短時間勤務者を多数雇用している事業所には影響が大きいと考えられます。
今後の動向に注目しておくとよいでしょう。
法律案要綱 法律案新旧対照条文
(菊沢)

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