社労士コラム

2025年11月

労働者名簿

2025.11.28.

労働者名簿は、労働基準法により調整し必須事項を記入することが定められていますが、労働基準監督官の監督指導等にて記載漏れ等の指摘を受けることがありますので、法令でどのように定められているのか、おさらいします。

①会社単位ではなく事業場単位で作成します。事業場が複数ある会社は、それぞれの事業場で作成が必要です。

②日雇労働者を除き、すべての労働者が作成の対象です。

③必須事項は以下のとおりです。
・氏名
・生年月日
・履歴
 ※最終学歴や主な職歴(期間と業務)について記載
・性別
・住所
・従事する業務の種類(労働者が常時30人未満の事業は不要)
・雇入れの年月日
・解雇または退職の年月日とその事由
・死亡の年月日とその原因

④変更があった場合は、遅滞なく訂正します。

⑤縦書きや横書き等、様式は限定されておらず、直ぐに写しが提出できる状態であればデータで管理することも可能です。

⑥退職の日から起算して3年間(法令により5年間のところ、当分の間は3年間)保存が必要です。

年次有給休暇管理簿・労働者名簿・賃金台帳を併せて調整することも認められています。

管理監督者や副業・兼業の労働者等が漏れている、履歴や退職者情報等が漏れている、情報が更新されていない、保存期限の到達前に破棄してしまっているといったことがありますので、再確認していただくと良いと思います。

(山田)

通勤手当の非課税限度額の引上げ

2025.11.21.

令和7年11月19日に「所得税法施行令の一部を改正する政令」が公布され、
マイカー・自転車等で通勤される方に支給する通勤手当について、
非課税限度額の引き上げが正式に決定しました。

今回の改正は 令和7年11月20日に施行され、
令和7年4月1日以後に“支払われるべき”通勤手当から
新しい非課税限度額が遡及適用されます。
(※同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除く)

このため、改正前の非課税限度額を超えていたため課税としていた通勤手当が、
改正後の非課税限度額の枠に収まるケースがあります。
その場合、令和7年分の年末調整で対応が生じることがあります。

なお、電車やバスなどの交通機関を利用している場合の
非課税限度額(1か月15万円)に変更はありません。
公共交通機関のみ利用者については、今回の改正に伴う追加対応は不要です。

国税庁の特設ページでは、改正内容や対応について公開されています。
【国税庁HP:通勤手当の非課税限度額の改正について】
・年末調整で精算する際の源泉徴収簿の記載例
・通勤手当の非課税限度額引上げに関するQ&A
・動画による解説

マイカー通勤者が多いと影響が大きくなるため、
該当者の洗い出しや規程・給与システムの確認など、
事前準備を進めておくとよいでしょう。
(菊沢)

セクハラ発言の例示

2025.11.14.

職場におけるセクハラは
「性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの」とされ、
セクハラ防止のために事業主が講ずべき措置などが
男女雇用機会均等法に規定されています。
これを受け指針やパンフレットではセクハラの典型例として
次の言動を例示しています。
・勤務先の廊下等で上司が女性部下の腰や胸に触ったため、
当該女性労働者の就業意欲が低下している
・同僚が社内や取引歳に対して
労働者に係る性的な内容の噂を流したため
当該労働者が苦痛に感じ仕事が手につかない

セクハラの状況は多様であり、平均的な労働者の受け取り方が
判断基準のひとつともされていることから
特に発言については例示が難しいことが想像されますが
「ホモ」「オカマ」「レズ」を含む言動と「〇〇(名前)ちゃん」は
例示が確認できます。

・「ホモ」「オカマ」「レズ」を含む言動
セクハラ防止啓発のパンフレットにおいて、
セクハラは相手の性的志向や性自認にかかわらず該当することがあり、
ホモ等を含む言動はセクハラの背景にもなり得ると注意を促しています。
セクハラパンフレットはこちら

・「〇〇(名前)ちゃん」
労災(心理的負荷による精神障害)の認定基準において
「〇〇ちゃん」等のセクハラに当たる発言をされたことは、
心理的負荷の評価に値する例とされています。
労災認定基準はこちら

いずれも例示ではありますが、使われる背景や環境を想像すると
問題を含んでいるとも考えられ、重みのある例示にも見えます。
社内でのセクハラ防止措置時に
こうした例示の解説も有効ではないかと思います。

(藤代)

懲戒処分を行うためには

2025.11.07.

無断欠勤の繰り返しやハラスメントなど、職場の秩序を乱す問題行為があった場合、秩序維持のため懲戒処分が行われることがあります。
しかし適正に行わなければ処分が無効になる場合があります。
有効な懲戒処分とするために知っておきたい基本の要件を、2つの条文とともにみてみましょう。

(1)就業規則に定めがあること
労働基準法第89条は就業規則の作成及び届出の義務について記載されていますが、
89条9号には「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」との記載があります。処分をするためには、まずは就業規則に定めをおく必要がある、ということを押さえておきましょう。
例えば、懲戒処分には「けん責(始末書を提出させて将来を戒める)」や「減給(賃金から一定額を差し引く)」など問題行為の重さによって段階的な種類がありますが、
「降格」という種類の処分が定められていない事業場では、懲戒処分としての降格はできません。なお、就業規則は周知義務がありますので規定があるだけでなく周知されていることで有効となります。
また、どのような行為に対してどんな罰が与えられるかはあらかじめ定めがなければならないという考え方(罪刑法定主義の原則)から、懲戒の事由も定める必要があります。これは例えば、「正当な理由なく無断欠勤が7日以上に及んだとき」等の内容を指します。

(2)懲戒権の濫用でないこと
労働契約法第15条には「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」とあります。
行為と罰の釣り合いがとれていることが必要で、例えば遅刻1回で懲戒解雇、などは明らかに釣り合いが取れていないといえます。こうした処分は就業規則に規定されていても、懲戒権の濫用として無効となります。
他にも、処分の理由を伝えて本人に充分な弁明の機会を与えることや、対象者によって処分の重さを変えないことも、濫用とされないために大切です。

懲戒処分は従業員へ与える影響も大きく、慎重に行わなければなりません。
かといって業務上の注意や指導で改善しないまま問題行為を放置しておくと、他の従業員のモチベーションが下がるなどの悪影響が考えられます。
懲戒処分を行うような事態など起こらないに越したことはありませんが、就業規則を見直し、いま一度どのような懲戒処分が規定されているか、行為と罰の釣り合いがとれているか、実際の運用に足る内容かどうか確認しておくと、いざというときに慌てずに対処できるでしょう。

(遠藤)

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