社労士コラム

労働保険

現物給与の価額改正

2026.04.03.

健康保険、厚生年金保険、労働保険などで用いる現物給与の価額について、
一部改正が行われ、令和8年4月1日と令和8年10月1日から順次適用されます。
日本年金機構からは、Q&A付きの資料が公表されています。
【日本年金機構】令和8年4月から現物給与の価額改正されます

今回の改正は、見直しが2段階で行われます。
4月1日からは、「食事で支払われる報酬等に係る現物給与の価額」、
10月1日からは、「住宅で支払われる報酬等に係る現物給与の価額」が改正されます。

なかでも特に注意したいのは住宅の取扱いです。
今回は単に価額が見直されるのではなく、算出方法そのものが変更されます。

従来は、居住面積1畳当たりの価額をもとに計算していましたが、
10月1日以降は、総面積1㎡当たりの価額をもとに計算する方法に変わります。
また、これまではリビング、ダイニング、寝室など居住用の室を対象とし、
玄関、キッチン、トイレ、浴室、廊下などは含めていませんでしたが、
10月1日以降は、居住する住宅の床面積の合計(総面積)を対象として計算することになります。

現物給与として食事や住宅を扱っている企業では、
4月は食事、10月は住宅という適用時期の違いを押さえるとともに、
特に住宅については計算の前提が変わる点を早めに確認しておくと安心です。

弊所では、社会保険手続きや給与計算業務などのアウトソーシングを通じて、
企業の業務負担軽減と実務の適正化をサポートしております。
詳しくはこちらをご覧ください。

(菊沢)

令和8年度の労災保険料率・雇用保険料率が発表されました。

2026.03.13.

令和8年度の労災保険料率・雇用保険料率が発表されました。

労災保険料率は、令和8年度は令和7年度から変更はありません。
労災保険料は事業主が全額負担する保険料であり、
労働者から徴収することはなく、
変更があっても給与計算上は影響しません。
例年6月に行う労働保険料の年度更新では、
労災保険料の申告を行うので、
自社の業種区分や料率の確認を改めて行うと確実です。

一方、雇用保険料率には変更があり、
昨年より引き下げで決定されました。
一般の事業の場合の労働者負担分は0.5%となりました。
労働者負担分は給与計算で控除するため、
給与計算ソフトの料率の変更適用が必要です。
労働保険料の年度更新では、
令和8年度の概算保険料は新しい料率を適用します。

また、3月分保険料から、健康保険・介護保険の料率の変更(協会けんぽ東京)や、
4月分保険料から子ども子育て支援金の創設もあり、
給与計算時の保険料控除について注意が必要です。

参考:
・令和8年度労災保険料率
https://www.mhlw.go.jp/content/roumuhiritu_r05.pdf
・令和8年度雇用保険料率
https://www.mhlw.go.jp/content/001672589.pdf
・健康保険・介護保険の料額表(協会けんぽ東京支部)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r8/ippan/R8_13tokyo.pdf
・子ども子育て支援金制度
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fb3dbb28-102a-4840-90a5-00ad2e0d117f/0049a2f8/20260226policies-kodomokosodateshienkinseido-11.pdf

(斎藤)

令和8年3月分(子ども・子育て支援金は4月分)からの協会けんぽの保険料率

2026.02.20.

令和8年3月分(4月納付分)からの協会けんぽの保険料率が協会けんぽのHPで公表されました。

令和8年度保険料率のお知らせ | 全国健康保険協会
令和8年度保険料額表(令和8年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

令和8年度は保険料率が、
・引き下げ:40都道府県
・引き上げ:なし
・据置き:7都道府県
となっています。
東京都では、9.85%(事業主・被保険者:4.925%)で、前年度の9.91%から引き下げとなっています。

介護保険料率(全国一律)については、1.62%(事業主・被保険者:0.81%)となり、
前年度の1.59%から引き上げとなっています。
令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

保険料率の改定は3月分(4月納付分)から適用されますので、
4月給与から控除される保険料が対象となります。
3月に賞与支給がある場合は、変更後の保険料率で計算することになりますので、ご注意ください。

なお、子ども・子育て支援金の控除開始は、令和8年5月支払給与分からです。
給与計算ソフトの設定変更や控除項目の確認を早めに行っておきましょう。

さらに、令和8年度の雇用保険料率についても、引き下げが予定されています(正式決定は今後の告示により確定)。
年度替わりは改定が重なる時期です。適用月と控除月を確認し設定変更を忘れないようにしましょう。

(菊沢)

退職後の年金手続きについて

2025.10.10.

退職後の年金手続きは、退職後の状況(再就職する、扶養に入る等)や退職者の年齢によって異なります。
退職者から退職後の手続きについて問合せを受けることもあると思いますので、年齢別に手続きをご案内します。

①60歳未満
●厚生年金保険の適用事業所に再就職する場合
原則、厚生年金保険に加入します。
手続きは、再就職先の会社が行います。

●扶養家族になる場合
国民年金に加入し、第3号被保険者となります。
手続きは、家族が勤務する会社が行います。

●上記に該当しない場合
国民年金に加入し、第1号被保険者となります。
手続きは、ご本人または世帯主が住所地の市区役所にて行います。「マイナポータル」からマイナンバーカードを利用して、電子申請することも可能です。

②60~64歳
●厚生年金保険の適用事業所に再就職する場合
原則、厚生年金保険に加入します。
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給する場合は、支給額が調整される場合があります。さらに、雇用保険法の高年齢雇用継続給付を受ける場合は、老齢厚生年金の一部(最高で標準報酬月額の4%)が支給停止されます。

●上記に該当しない場合
原則、手続きはありません。
65歳になる前に年金を受け取りたい場合は、繰上げ受給の請求を行います。ただし、ハローワークで求職の申込みをしたときは、失業給付の受給有無に関係なく、一定期間は老齢厚生年金が全額支給停止されます。
※受給資格期間が10年未満の場合と満額(40年間保険料納付分)の老齢基礎年金が受けられない場合は、国民年金の任意加入が可能です。手続きは、ご本人が住所地の市区役所か年金事務所にて行います。

③65歳以上
●厚生年金保険の適用事業所に再就職する場合
70歳未満の場合は原則、厚生年金保険に加入します。70歳以上の場合は70歳以上被用者に該当しますが、被保険者ではないため保険料負担はありません。手続きはいずれも、再就職先の会社が行います。
老齢厚生年金を受給する場合は、支給額が調整される場合があります。

●上記に該当しない場合
年金を受け取りたいタイミングで、自宅に送付されている「年金請求書」を年金事務所(加入期間がすべて国民年金第1号のみの場合は住所地の市区役所)へ提出します。
75歳まで繰下げ受給が可能なため、繰り下げる場合は手続きはありません。
※受給資格期間が10年未満の場合のみ、国民年金の特例任意加入が可能です。手続きは、ご本人が住所地の市区役所か年金事務所にて行います。

日本年金機構からは、退職者向けに年金手続き等を説明したパンフレットが公開されています。
退職後の年金手続きガイド

退職後の健康保険手続きは、こちらの過去のコラムをご覧ください。

(山田)

労災保険制度の在り方に関する研究会 中間報告書公表

2025.08.14.

厚生労働省の「労災保険制度の在り方に関する研究会」による、
中間報告が公表されました。(令和7年7月30日公表)

「労災保険制度の在り方に関する研究会」は、
働き方の多様化や女性の労働参画の進展に対応するため、
労災保険の適用、給付、徴収など制度全体を網羅的に検討するために設置されたもので、
令和6年12月から議論が重ねられてきました。

この報告では、家事使用人や農林水産業への適用拡大、特別加入制度の明確化、
遅発性疾病の給付基礎日額見直し、特別支給金の保険給付化、
メリット制の適正運用、消滅時効延長(5年案)などが盛り込まれています。

給付関係において、報道などで話題になっているのは、
遺族(補償)等年金におけるの男女差(夫と妻との支給要件の差異)の見直しです。
現行制度では、生計維持要件を充足する妻は
年齢にかかわりなく受給権者となることができるのに対し、
夫は、生計維持要件に加え労働者である妻の死亡時に
55歳以上又は一定の障害がある場合に限られています。

中間報告では、この男女間の格差は合理的でないとして、
同一条件とする方向性が示されました。

厚生労働省はこの中間報告書をもとに今後、
労働政策審議会で具体的な政策を検討することにしています。
厚生労働省:「労災保険制度の在り方に関する研究会」の中間報告書を公表します

今後の動向に注目です。

(菊沢)

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