社労士コラム

厚生年金保険

育児休業からの復職者が多い今こそ確認したい「養育特例」の手続

2026.06.12.

4月の保育園入園を経て、育児休業から職場復帰を迎える従業員は多く、この時期は人事労務担当者にとって休業明けの社会保険手続きが集中する時期です。
その中で見落とされやすいのが、3歳未満の子を養育する期間に標準報酬月額(給与の等級)が下がっても、将来受け取る年金額が下がらないようにする「厚生年金保険 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(養育特例)」です。時短勤務の選択や残業の減少によって給与が下がりやすい復職直後には、従業員の将来の安心を支える制度となります。
この手続きについて、日本年金機構は申出書に関する“不備・誤りの多い事例”を公表しています。よくある誤りとして、次のケースがあります。
●「養育特例開始年月日」に「子の生年月日」を誤記するケース
子どもが生まれた日ではなく、「実際に仕事を再開して養育が始まった日」(原則、休業終了日の翌日=復職日)を記入します。
●産前産後休業または育児休業が終了する前に提出してしまうケース
産前産後休業または育児休業等による保険料免除期間は本特例の対象外となるため、復職(休業終了)後に手続きを行います。

また、注意しておきたい点として本特例は自動適用ではなく「本人の申出」を受けて会社が申請するため、復職時の丁寧な案内が従業員の安心につながります。男女問わず利用できるほか、上の子が3歳になる前に次の子の養育を開始する場合、上の子の休業前に登録されていた等級が引き継がれる仕組みもあります。
復職後の手続きタスクに加えておくなどして、従業員への案内と手続きをスムーズに進められるように準備しましょう。
弊所では、社会保険・労働保険の手続きのアウトソーシングを通じて、企業の事務処理負担軽減をサポートしています。コチラをご覧ください。
(小林)

保険料調整制度

2026.04.17.

社会保険の適用拡大は年々進んでおり
現在は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上で特定適用事業所となり
短時間労働者が被保険者となりますが
令和9年10月からは、対象が同36人以上の事業所へ拡大する予定となっています。

それを見越して、今年R8年10月から、
保険料調整制度が開始されます。
この制度を利用した場合、事業主が被保険者の保険料を一時的に負担することにより、
対象となる被保険者の健康保険・厚生年金保険の保険料負担を、通算3年間軽減することができます。
事業主が一時的に負担した保険料は
一定期間経過後に追加負担分を調整することとなっており、
最終的に事業主が納付する保険料は増えません。
また、被保険者が将来受け取る年金額にも影響はありません。

対象となる事業所は以下、いずれかに該当する事業所です。
(1)令和8年10月1日以降、任意特定適用事業所になる事業所
(2)令和9年10月1日以降、順次対象となる事業所

対象となる被保険者は、以下いずれにも該当する被保険者です。
(1)短時間労働者として健康保険・厚生年金保険に加入する被保険者
(2)標準報酬月額が126,000円以下の被保険者

保険料の負担割合は、
制度利用の年数と、被保険者の標準報酬月額ごとに細かく定められています。

制度を利用するには、事業所が保険料調整制度の対象となった日から2年以内に、事業主からの申し出が必要です。
様式などはこれから発表になるようです。

適用拡大により被保険者となる労働者にとっては、保険料負担はネックの一つになりますので
通常よりも少ない負担で社会保険に加入できることはメリットと言えるでしょう。
一方で、事業主にとっては一時的とはいえ負担が増加することや
給与処理時、保険料の確認が煩雑になることが予想されます。

来年の適用拡大による影響と照らし合わせて
制度を利用するかどうか、検討する必要がありそうです。

日本年金機構「保険料調整制度のご案内」

(髙村)

現物給与の価額改正

2026.04.03.

健康保険、厚生年金保険、労働保険などで用いる現物給与の価額について、
一部改正が行われ、令和8年4月1日と令和8年10月1日から順次適用されます。
日本年金機構からは、Q&A付きの資料が公表されています。
【日本年金機構】令和8年4月から現物給与の価額改正されます

今回の改正は、見直しが2段階で行われます。
4月1日からは、「食事で支払われる報酬等に係る現物給与の価額」、
10月1日からは、「住宅で支払われる報酬等に係る現物給与の価額」が改正されます。

なかでも特に注意したいのは住宅の取扱いです。
今回は単に価額が見直されるのではなく、算出方法そのものが変更されます。

従来は、居住面積1畳当たりの価額をもとに計算していましたが、
10月1日以降は、総面積1㎡当たりの価額をもとに計算する方法に変わります。
また、これまではリビング、ダイニング、寝室など居住用の室を対象とし、
玄関、キッチン、トイレ、浴室、廊下などは含めていませんでしたが、
10月1日以降は、居住する住宅の床面積の合計(総面積)を対象として計算することになります。

現物給与として食事や住宅を扱っている企業では、
4月は食事、10月は住宅という適用時期の違いを押さえるとともに、
特に住宅については計算の前提が変わる点を早めに確認しておくと安心です。

弊所では、社会保険手続きや給与計算業務などのアウトソーシングを通じて、
企業の業務負担軽減と実務の適正化をサポートしております。
詳しくはこちらをご覧ください。

(菊沢)

令和8年度の労災保険料率・雇用保険料率が発表されました。

2026.03.13.

令和8年度の労災保険料率・雇用保険料率が発表されました。

労災保険料率は、令和8年度は令和7年度から変更はありません。
労災保険料は事業主が全額負担する保険料であり、
労働者から徴収することはなく、
変更があっても給与計算上は影響しません。
例年6月に行う労働保険料の年度更新では、
労災保険料の申告を行うので、
自社の業種区分や料率の確認を改めて行うと確実です。

一方、雇用保険料率には変更があり、
昨年より引き下げで決定されました。
一般の事業の場合の労働者負担分は0.5%となりました。
労働者負担分は給与計算で控除するため、
給与計算ソフトの料率の変更適用が必要です。
労働保険料の年度更新では、
令和8年度の概算保険料は新しい料率を適用します。

また、3月分保険料から、健康保険・介護保険の料率の変更(協会けんぽ東京)や、
4月分保険料から子ども子育て支援金の創設もあり、
給与計算時の保険料控除について注意が必要です。

参考:
・令和8年度労災保険料率
https://www.mhlw.go.jp/content/roumuhiritu_r05.pdf
・令和8年度雇用保険料率
https://www.mhlw.go.jp/content/001672589.pdf
・健康保険・介護保険の料額表(協会けんぽ東京支部)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r8/ippan/R8_13tokyo.pdf
・子ども子育て支援金制度
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fb3dbb28-102a-4840-90a5-00ad2e0d117f/0049a2f8/20260226policies-kodomokosodateshienkinseido-11.pdf

(斎藤)

短時間労働者の社会保険加入拡大

2026.01.30.

短時間労働者の社会保険の加入について、
現在は、以下の4つの要件を満たす必要があります。
①所定内賃金が月額8万8千円以上であること
②週所定労働時間が20時間以上であること
③2か月を超える雇用見込みがあること
④学生でないこと
※厚生年金保険の被保険者が51人以上の企業

しかし、令和7年度の地域別最低賃金が1,016円を超えたことにより、
週20時間以上働く学生でない方は、月額賃金が8万8千円以上となるため、
2026年10月に、この8万8千円以上という賃金要件(いわゆる106万円の壁)
が撤廃される予定となり、社会保険加入となる短時間労働者の要件は、②~④のみとなります。

企業規模について、現在は厚生年金保険の被保険者が
51人以上の企業となっておりますが、
以下のスケジュールで拡大予定で、最終的にはすべての企業で
短時間労働者は社会保険に加入することとなります。

令和9(2027)年10月〜:36人以上の企業
令和11(2029)年10月〜:21人以上の企業
令和14(2032)年10月〜:11人以上の企業
令和17(2035)年10月〜:すべての企業

これまで社会保険料負担のなかった
アルバイト・パートにも保険料負担が発生するので、
対象者の確認等の準備をしておくとよいと思います。

参考:
・短時間労働者の社会保険加入拡大のポイント
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf
・社会保険適用拡大ガイドブック
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kouseinenkin.files/jigyounushi_guidebook.pdf

(斎藤)

 
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