社労士コラム

労災保険 海外特別加入制度と令和2年4月1日以降の手続き変更点について

2020.05.14.

労災保険は、本来、国内にある事業所に適用され、そこで就労する労働者が給付の対象となる制度なので、
海外の事業所で就労する人は対象となりません。
国内の事業所で就労していた人が国内事業所との雇用契約は継続しつつ、転勤などにより
海外の事業所で仕事をする場合、通常は現地の労災保険が適用になります。
しかし、海外の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分ではない可能性を想定して、
国内で働いている場合と同等の労災保険給付が受けることができる「特別加入」に
加入することができます。

【特別加入者の範囲】(①~③いずれかに該当する場合)
①日本国内の事業主から、海外で行われる事業で労働者となる人
②日本国内の事業主から、海外にある中小規模(業種により企業規模の規定あり)の事業に事業主等
(労働者ではない立場)となる人(例:海外の事業所の役員として働く場合)
③独立行政法人国際協力機構など発展途上地域に対する技術協力の実施の事業に従事する人

現地採用された人や、単なる留学が目的の人は特別加入の対象外です。
また、商談、打ち合わせ、市場調査などで海外出張のする場合も、
出張期間中に海外で労務提供をしているにすぎず、国内の事業場に所属しその事業場の使用者の指揮に
従って勤務する労働者であるため、たとえ海外出張中に被災しても国内の労災保険が適用となります。
したがって、海外出張の期間は特別加入の対象にはなりません。

【特別加入の手続き】
特別加入の手続きは、国内事業者が特別加入予定者をまとめて「特別加入申請書」に記入し、
所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長あてに提出することにより可能です。
この手続きは加入希望日の30日前から申請書を提出することができ、過去に遡って加入申請はできません。
海外特別加入手続きについては、事前申請だということを忘れないようにしましょう。

【令和2年4月1日からの手続き変更点】
令和2年4月1日以降に提出される申請から、加入手続き事務負担軽減により、
「海外派遣に関する報告書」が不要になりました。
海外派遣に関する報告書の廃止に伴う注意事項や記入見本が厚生労働省のHPから確認できますので、
よかったら確認してみてください。

厚生労働省特別加入制度のしおり<海外派遣者用>

(松原)

エキップオリジナルサービス
給与計算改善コンサルティング
RECRUIT
給与計算の最強チェックリスト
濱田京子著 出版書籍
濱田京子コラム
社労士コラム

お電話でのお問い合わせ

03-5422-6550

受付時間: 平日 9:00 〜 17:00

メールでのお問い合わせ