社労士コラム

社会保険及び労働保険 出向者の取り扱い

2020.06.12.

出向者についての社会保険・労働保険の取り扱いは、
保険の種類によって違いがあります。

そもそも出向とは、自社との雇用契約はそのままで
他の企業において勤務させるものであり、自社との
雇用契約を終了させて他の企業で新たに雇用契約を
締結する転籍とは区別されます。
転籍は、転職のときのように新しい会社と雇用関係を
結ぶことになるため、社会保険・労働保険の取り扱いについて
複雑な問題は生じませんので、ここでは、出向元と出向先両方
との雇用関係が生じる出向のケースについてみてみましょう。

●社会保険(健康保険・厚生年金保険)・・・基本的に賃金を支払う側で適用

出向元及び出向先それぞれと雇用関係があり、どちらか一方を
選択して適用することになりますが、実務上では賃金を支払う
側でその支払う賃金に基づいて保険料を納付します。
   
●労災保険・・・出向先で適用

現実に労務を提供するのは出向先なので、出向先の事業内容に
基づく保険料率で保険料を納付します。
実務上注意する点は、出向先で保険料申告の手続きをする際には、
出向元から支払われる賃金があればその金額も合計して保険料を
算出することです。

●雇用保険・・・生計を維持するために必要な主たる賃金を払っている側で適用

2つの雇用関係を有することになるため、支払う賃金額が多い方で
適用となり、その支払う賃金に基づいて保険料を納付します。
従って、出向先で支払われる賃金が多い場合には、出向元で資格喪失、
出向先では資格取得の手続き行うことが必要です。
従たる賃金を支払う側では適用されず、従たる賃金を合算して保険料を
算出する必要もありません。

社会保険や労災保険の手続きでは、出向元、出向先とで賃金データの
共有が必要となる場合がありますので、漏れのないように行いましょう。

(金子)

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