社労士コラム

労働基準監督署の「時間外労働指導見直し」

2026.08.28.

厚生労働省は8月19日に「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」とした文書を公開しました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75454.html

こちらの文書には、以下2点の取り組みが記載されています。
(1)36協定の締結等に関する相談・支援の充実
(2)労働基準監督署における対応の見直し

(2)について、「1か月45時間以内への削減を求める一律の指導を見直し」の部分が話題となり、月45時間の法規制が変更になる?と誤認されているケースもあるようです。
今回見直されるのは法律の内容ではなく、労働基準監督署における運用です。

労働時間の法規制の基本をおさらいすると、
◆1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならない
(法定労働時間:労基法32条)
◆法定労働時間を超えて月45時間、年360時間までの範囲で労働させることができる時間を定めて労使協定をし、届出た場合にその定めた時間内で労働させることができる
(限度時間:労基法36条)
◆限度時間を超えて(限度時間を含み)月100時間、年720時間までの範囲で労働させることができる時間を定めて労使協定をし、届出た場合にその定めた時間内で労働させることができる。
※臨時的な場合のみであること、適切に発動することが必要。月平均が80時間を超えない等のルールあり
(特別条項:労基法36条)
となっています。

これまで労働基準監督署では、適切に特別条項を結び、発動した場合でも、限度時間を超える労働については一律に削減するよう指導してきました。
9月1日からはこの対応を見直し、「各事業場が36協定で定める健康及び福祉を確保するための措置の実施状況を重点的に確認」すると運用を変更することになります。

事業者が新たに、なにか対応しなくてはならないことが発生するものではありませんが、特別条項を結んでいる場合には、選択した健康福祉確保措置がしっかりと実施できているか、確認しておくとよいでしょう。
実施した際には記録を作成・保存しておく必要もあります(労基法施行規則17条2項)。保存期間は協定有効期間中と満了後5年(当分の間3年)です。

なお、36協定指針には、限度時間を超えて労働させる場合にも「限度時間にできる限り近づけるように努めなければならない」との記載があります。指針の改正はありません。
特別条項を適切に発動するだけでなく、労働時間の管理も引き続き大切です。

◎36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/content/001500518.pdf

(遠藤)

 
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