私傷病による労務不能での解雇はできるのか
2026.02.06.
従業員が健康を害してしまい、働くことができなくなってしまうことがあります。
厚生労働省のモデル就業規則では「解雇」の条項の中に「精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき」という項目があるので、自社の就業規則におなじように規定している例も多いと思います。
健康を事由に労務の提供ができない事態が起こった場合、すぐに就業規則を当てはめる前に確認したいのが、労働契約法第16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とあることです。
ともすれば何十年もの長期間にわたる従業員の雇用において、例えば風邪など数日程度の労務の提供不能で解雇としてしまっては「社会通念上相当」とは言い難いのは想像しやすいと思います。では解雇権の濫用とされない、「社会通念上相当」な労務の提供不能とはどういった状態か、ということを判断する必要があります。
また、本来の業務へ就くことができなくても、総合職など業務内容や職種を限定されない形で雇用契約をしている場合、人事異動等によって労務の提供ができる業務があるなら、なお労務の提供がある状態(会社側は解雇を回避するための措置をとれるはず)とされた事例もあります。
このようなことを考えると、労務を提供するという契約を履行できない場合には従業員側の契約不履行なので「客観的に合理的な理由」があり「社会通念上相当」であるという要件を満たせば普通解雇が可能、しかし、すぐに適切な判断をすることが大変難しい、ということがわかります。
実務的には休職制度を利用すると運用しやすいと言えます。私傷病による労務の提供不能が申し出られた際には休職を発令できるよう規定しておき、休職期間満了時に復職できない場合には自然退職となる旨を定めておくことができます。休職自体は法律に定めのあるものでなく、各会社の就業規則によるものなので制度設計が必要、休職が規定されていない場合もあると思いますが、規定する利点として解雇の猶予措置として運用できること、自然退職としておくと復職できない場合に一種の合意退職となるのでトラブルになりにくいことが挙げられます。
もちろん、休職期間に休養してもらい健康を回復して復職していただくことが趣旨です。
(遠藤)







