妊娠中の女性が就労する場合の保護規定
2023.09.15.
男性の育児参画への取り組みが何かと話題に上がりますが、
女性が妊娠、出産を機に退職する割合も年々減少傾向にあることから
妊娠~出産まで就業を継続することが当たり前になっています。
就業中の妊産婦を保護する規定としては
主に男女雇用機会均等法、労働基準法で定められていますが
本日は、主に妊娠中の女性労働者に対し、
労働基準法で定められている母性保護措置についてご紹介します。
なお「妊産婦」とは、妊娠中及び産後1年を経過しない女性を指します。
(1)産前・産後休業(法第65条第1項及び第2項)
産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間
女性を就業させることはできません。
産前休業は女性が請求した場合、産後休業は必ず、就業させてはいけません。
ただし、産後6週間を経過し、女性が請求し医師が認めた場合には、就業させても差し支えありません。
なお、出産とは妊娠4ヶ月以上の分娩を指し、生産、死産を問いません。
(2)妊婦の軽易業務転換(法第65条第3項)
妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければなりません。
たとえば、外回りの営業職や現場職、立ちっぱなしの業務から、
オフィスでの事務業務に転換させるようなイメージです。
新たに軽易な業務を作り出す必要まではないとされています。
(3)妊産婦等の危険有害業務の就業制限(法第64条の3)
妊産婦等を妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせることはできません。
詳細はこちらで紹介されています。
女性に優しい職場づくりナビ 妊産婦等の就業制限の業務の範囲
(4)妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限(法第66条第1項)
変形労働時間制がとられる場合であっても、妊産婦が請求した場合には、
1日8時間週40時間の法定時間を超えて労働させることはできません。
(5)妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(法第66条第2項及び第3項)
妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、又は深夜業をさせることはできません。
会社としては、色々気を使って対応しなければならなくて大変、と感じるかもしれませんが
妊娠中から産後まで、安心して働ける環境を提供することで
戦力を失わずにすむというメリットにもなると思います。
可能性がある会社では特に、一度おさらいしておくと安心です。
参考:
厚生労働省:女性労働者の母性健康管理等について
働く女性の心とからだの応援サイト:妊娠中の女性労働者への対応
(高村)