年次有給休暇の取得実態について
2020.12.15.
厚生労働省から、令和2年の「就労条件総合調査」の結果が公表されました。
これは、民間企業の就労条件の現状を把握するために、
労働時間制度や賃金制度に関する事項について調査した結果となります。
このうち、年次有給休暇の1年間の取得状況(平成31年・令和元年(又は平成30会計年度)は、
以下のとおりとなっています。
労働者一人あたりの平均付与日数 18.0日(前年調査18.0日)
平均取得日数 10.1日( 同 9.4日)
平均取得率 56.3%( 同 52.4%)
昭和59年以降で取得日数は過去最多、取得率は過去最高となったとのことで、
令和元年4月から年5日の年次有給休暇取得が義務化(対象:年次有給休暇が
10日以上付与される労働者)されたことが影響しているのかもしれません。
ただし、この調査は、常用労働者30人以上の企業を対象に行われており、
30人未満の企業の実態は反映されていません。
年次有給休暇の取得日数・取得率は、常用労働者の人数が多い企業ほど
高い数字であるという結果も出ていますので、
調査対象となっていない小規模の企業を含めてみると、
年次有給休暇の取得数はもっと低くなることも想定されます。
職場の仲間に迷惑がかかる、後で自分が忙しくなる等の理由で、
年次有給休暇を取得することにためらいを感じる人も多いようです。
自社の従業員の取得率が低いと感じる場合には、
年次有給休暇の計画的付与制度(※1)を採り入れたり、
複数人で業務内容を共有し、お互いにフォローし合えるような業務体制を構築したりと、
従業員が取得しやすい環境整備を行うことが有効でしょう。
厚生労働省では、「年次有給休暇取得促進特設サイト」も開設していますので、
ご参照ください。
(※1)年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、
計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度。労使協定の締結が必要。
(金子)