社労士コラム

懲戒処分を行うためには

2025.11.07.

無断欠勤の繰り返しやハラスメントなど、職場の秩序を乱す問題行為があった場合、秩序維持のため懲戒処分が行われることがあります。
しかし適正に行わなければ処分が無効になる場合があります。
有効な懲戒処分とするために知っておきたい基本の要件を、2つの条文とともにみてみましょう。

(1)就業規則に定めがあること
労働基準法第89条は就業規則の作成及び届出の義務について記載されていますが、
89条9号には「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」との記載があります。処分をするためには、まずは就業規則に定めをおく必要がある、ということを押さえておきましょう。
例えば、懲戒処分には「けん責(始末書を提出させて将来を戒める)」や「減給(賃金から一定額を差し引く)」など問題行為の重さによって段階的な種類がありますが、
「降格」という種類の処分が定められていない事業場では、懲戒処分としての降格はできません。なお、就業規則は周知義務がありますので規定があるだけでなく周知されていることで有効となります。
また、どのような行為に対してどんな罰が与えられるかはあらかじめ定めがなければならないという考え方(罪刑法定主義の原則)から、懲戒の事由も定める必要があります。これは例えば、「正当な理由なく無断欠勤が7日以上に及んだとき」等の内容を指します。

(2)懲戒権の濫用でないこと
労働契約法第15条には「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」とあります。
行為と罰の釣り合いがとれていることが必要で、例えば遅刻1回で懲戒解雇、などは明らかに釣り合いが取れていないといえます。こうした処分は就業規則に規定されていても、懲戒権の濫用として無効となります。
他にも、処分の理由を伝えて本人に充分な弁明の機会を与えることや、対象者によって処分の重さを変えないことも、濫用とされないために大切です。

懲戒処分は従業員へ与える影響も大きく、慎重に行わなければなりません。
かといって業務上の注意や指導で改善しないまま問題行為を放置しておくと、他の従業員のモチベーションが下がるなどの悪影響が考えられます。
懲戒処分を行うような事態など起こらないに越したことはありませんが、就業規則を見直し、いま一度どのような懲戒処分が規定されているか、行為と罰の釣り合いがとれているか、実際の運用に足る内容かどうか確認しておくと、いざというときに慌てずに対処できるでしょう。

(遠藤)

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