社労士コラム

雇用保険法改正法案

2024.05.02.

雇用保険の適用拡大を盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が
4月11日の衆議院本会議で可決されました。今国会で成立する見通しです。

改正の概要は以下の通りです。
・多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築
・「人への投資」の強化等のため、雇用保険の適用拡大
・教育訓練やリスキリング(学び直し)支援の充実
・育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置
<雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)(厚労省)> 概要

この中で、雇用保険の適用拡大について、雇用保険の被保険者加入要件のうち、
週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に
適用対象を拡大するというものです。
令和10年10月1日から施行される予定です。

これに伴い、基本手当の支給等に関する基準等について
原則的には現行の取扱いが維持されることになりますが、
失業等給付等の被保険者期間の算定基準の見直しが行われます。

離職日から2年間に被保険者期間が12ヶ月以上のうち、
「1ヶ月として被保険者期間に算入されるための基準」が
以下のように変更される予定です。

離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に
賃金の支払の基礎となった日数が「11日以上」又は
賃金の支払の基礎となった労働時間数が「80 時間以上」ある場合

離職日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に
賃金の支払の基礎となった日数が「6日以上」又は
賃金の支払の基礎となった労働時間数が「40 時間以上」ある場合

また、現行では複数事業所で勤務している場合、
原則としてその者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける
雇用関係の事業所についてのみ被保険者となりますが、
適用拡大によりその判断が難しくなるのではというところが気になるところです。

パートタイマーなど短時間勤務者を多数雇用している事業所には影響が大きいと考えられます。
今後の動向に注目しておくとよいでしょう。
法律案要綱 法律案新旧対照条文
(菊沢)

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