健康保険傷病手当金の見直しに関する請求権消滅時効の取扱い
2022.01.07.
1月1日に施行された健康保険法等の一部改正により傷病手当金の支給期間が通算化され、
傷病手当金の支給期間が暦日1年6ヶ月から通算1年6ヶ月となります。
一方で、健康保険給付を受ける権利は、受けることができるようになった日の翌日から2年で時効になります。
時効の起算日は「労務不能であった日ごとにその翌日」です。
消滅時効の取扱いが、追加で公表されたQ&Aに出ていました。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220104S0060.pdf
【例】待期期間が完成した令和4年9月1日から9月 30日までの労務不能期間について、
令和6年9月 15 日に傷病手当金の請求があった場合
○ 令和4年9月1日から9月 14 日までの期間については、
請求権の消滅時効が完成しているため、傷病手当金の支給は行わない。
○上記のケースにおいては、令和4年9月1日(支給を始める日)を基準として
傷病手当金の支給額を算定するとともに、
同月 15 日(支給を始めた日)を基準として総支給日数を算定し、
同月 15 日から 30 日まで支給する
また、消滅時効により傷病手当金が支払われなかった場合、
支給期間の通算はどのような取扱いになるかについて、
○ 消滅時効により傷病手当金が支給されない場合には、支給期間は減少しない。
○ なお、消滅時効により傷病手当金が一度も支給されていない場合については、
実際に傷病手当金の支給が開始された日を「支給を始めた日」とし、
当該日において支給期間を決定する。
消滅時効は労務不能であった日ごとですが、
消滅時効により支給されなかった期間については、
支給期間が減少しないというのがポイントです。
この傷病手当金の通算化は同一の傷病について適用されますので
一度復帰した従業員だけでなく、転職者など保険者が異なっている場合でも該当します。
色々なケースが想定されますので、支給手続きや従業員への案内には慎重に行う必要があります。
【参考:全国健康保険協会 健康保険法等の一部改正に伴う各種制度の見直しについて】
(菊沢)